2012年5月31日木曜日

人気者

人を見る目がないので、人間関係で失敗が多い私だが、かつて、この人は絶対、将来テレビに出て有名になる、と思い、本当にそうなった人がいる。
 それは1981年か82年だと思うが、当時、イギリスの小説家トマス・ハーディを研究する大学院生だった私は、同じくハーディの詩を研究していた同期の院生とハーディ学会に出かけた。若い大学院生の研究発表のあと、ハーディの小説「ダーバヴィル家のテス」のシンポジウムがあり、そこにパネラーとして出ていたのが、あの田嶋陽子・法政大学教授(当時)。マジメな話をする他のパネラーの中にあって、田嶋教授はとにかく声がでかく、話すこともアカデミックではなく、ひたすらフェミニズムなのだが、その話しぶりが面白くて、聴衆を笑わせていた。
 同席した院の友人は、「あの人の話はおもしろおかしく人を笑わせるだけ、研究の中身がない、でも、有名大学の教授だからあれでもなんとかなっている」ときびしかった。しかし、私は、あの教授は将来、必ずテレビで有名になり、人気タレントになる、と確信した。
 それから10年近くたって、本当に、田嶋陽子氏はテレビの人気タレントになった。その男性をびびらせる舌鋒は、欲求不満を抱えていた女性からは絶大な支持を得た。その後、大学教授をやめて政治家になり、最近は政治的発言でネトウヨの攻撃も受けているようだ(5年前からテレビが見られない状態なので、最近はよく知らないけど)。
 田嶋氏は30年前からすでにタレントであり、研究者としてどうとかなどどうでもよく、とにかくテレビタレント向きの人気者だということはその当時から明らかだった。

「有名になる人や活躍する人は実力があるわけじゃない、人気があるだけなのよ、人気者にならないとだめなのよ」と歌うミュージカルがあるらしい。
 この歌詞のことを書いていたブログの主は、1日の訪問者数が数千人という人気者で、6月には大手出版社から初の著書を出版予定。その本の担当編集者のブログを見ると、この著者を売り出そうと、シンポジウムを開いたり、準備にぬかりがない。スタイリストが計算して作ったと思われる若手キャリアウーマンの肖像写真、「大型新人」という言葉。そして、アマゾンなどで二転三転する著書のタイトルと内容説明。最終的に決まったと思われるタイトルは、それ以前のタイトルよりずっと読者をひきつけるものになっている。
 かくして人気者は作られる。いや、この人自身が前から人気者だったので、出版社はそれに乗ったのだが、いずれ、テレビに出るほどの人気タレント(?)になるかもしれない(田嶋教授と違って、ジツブツを拝んだことがないので、テレビのタレント性については確信がもてないが)。
 この人が自分のブログで、上の歌詞について書いたのは、自分がこういうふうに売り出されるのは実力ではなく、人気ではないかと危惧してのことだろう。
 彼女は経済のスペシャリストなので、正直、彼女が優秀なのかどうかは私にはわからない。彼女のブログを初めて読んだのは、英語教育についての記事が検索に引っかかってきたときだったが、英語教育の現場を知らない人の意見で、あまり感心しなかった。しかし、経済に関する記事は非常に意欲的で、私にはよくわからないというか、言ってることはわかるけど、それが日本や世界の経済にどういう影響を与えるのかがわからないので、なんともいえないのだが、あれだけの人に支持されているということは、経済の最先端にいるビジネスマンには役に立つのだろう。
 すでにネット上ではバッシングの書き込みもあるこの「大型新人」。コメント欄できついことを書かれても、相手を尊重して上手に受け答えするだけの懐の深さもある。この人がネットの外でどう発展するのか、しないのか、なんとなく注目している(でも、経済のことはやっぱりわかりません)。

2012年5月26日土曜日

ホッケーの話題(追記あり)

セイバーズの掲示板ではハシェックは何をしても話題になるのですが、ハシェックがNHL復帰を望んでいて、エージェントがレッドウィングスとセイバーズにアプローチしたという記事が。
(追記 その後、希望チームにタンパが加わったようです。)
(追記2 その後、NHL公式サイトにニュースがあり、そこではデトロイトとタンパだけになっているそうですが、うちのパソコンでは開けない…。)
http://www.hockeysverige.se/article/13173124/hasek-vill-teruppta-karriaren-i-nhl
チェコのサイトみたいで、記事は読めませんが(ハシェックの写真がなんか売り出し中の指揮者みたいだが)、セイバーズのファンの掲示板では、
1 ミラーをトレードして、ハシェックとエンロスで行こう!
2 ハシェックはスターターは無理、バックアップで!
という意見が出ております。
しかし、ミラーは現在、セイバーズの顔なんですが、トレードしろ!の意見が絶えませんね。シカゴのケインとトレード!というのがファンの願望らしい。
まあ、ミラーとハシェックなら最強ですが、その場合、将来有望なエンロスが…。

ところで、セイバーズがプレーオフ進出ならず、その時点で、今季のホッケー・シーズンは終わり、世界選手権もNHLプレーオフもアウト・オブ・眼中な私ですが、先日、youtubeで、1980年レイクプラシッド冬季五輪の、あの有名なミラクル・オン・アイス、映画「ミラクル」にもなったアメリカ対ソ連の試合がばっちり見られました。映画じゃなくて本物の試合です。アメリカのESPNが放送したのを誰かがアップしたらしい。アメリカではブロックされてしまっているようですが、日本からは見られました。1ピリ終了1秒前で同点ゴールとか、なかなか見ごたえある試合でした。
あのときはホッケーは決勝トーナメントではなく、メダル・ラウンドといって、決勝ラウンドに進んだ4チームが総当りで、ポイントで順位が決まる方式だったのですね。なので、アメリカ対ソ連は決勝戦ではなかったのですが、勝ったときはまるで優勝したような喜びようでした。アナウンサーも「アンビリーバブル!」と叫んでいた。そのくらい、ソ連に勝つということ自体がすごいことだったんですね。

2012年5月24日木曜日

夜のスカイツリー

営業開始したので、ライトアップされてますが、猫スポットのそばで撮った方がよかったのに、条件の悪い近所で撮ってしまった。しかし、ライトアップで比較しても東京タワーの方がはるかに美しい。

 つまり、夕方、猫スポットへ行っていたのです。
 これは快傑ゾロふう猫。

 こちらは尻尾の先が白い猫。

 後ろから迫るゾロ。

 エサをねらっているのですが、手前の白い猫よりシャイで、近づかない。

 こちらは別の人にエサをもらった猫たち。満腹そう。

 金環食も終わり、話題の映画の記事へのアクセスも減って、1日のアクセス数がだいぶ減りました。金環食関係は、役に立つことなど何も書いてないのにアクセスがたくさんあって、驚きました。
 金環食はいつのまにか金環日食なんぞと改名していましたが、うちのパソコンはキンカンニッショクでは変換できません。今回頼りになった某サイトの天文ファンさんも、なじみのある金環食という言葉にこだわって使っていました。勝手に改名しやがって、そう簡単には合わせてやらねーぞ、という人がいてもいいよね。
 私にとって、金環食というと、まず思い浮かぶのは、1970年代に作られた日本映画「金環蝕」です。政界のドロドロを描く映画で、キネマ旬報の試写会に応募して当たって見たのでした。当時は日本映画はあまり見ていなかったので、当たらなければ見なかったでしょう。
 金環食が話題になっているのにこの映画がまったく触れられていない、ということを指摘するブログがありました。DVDはアマゾンでは3000円余りで売られています。

2012年5月22日火曜日

本日開業

金環食はうちのカメラではどうせうまく撮れないだろうと踏んで、観察オンリーにしましたが、月曜は仕事がないので夕方、猫スポットへ。そういえば、22日はスカイツリーの開業の日。というわけで、開業前日のスカイツリーを。

 開業したらライトアップもするのでしょうね。さすがにスカイツリーは風呂場の窓からは見えないと思いますが、屋上がある! 大晦日のライトアップは屋上で見ました。まあ、屋上よりももっといい場所がありますけど。
 思えば、一昨年の暮れから去年の春まで、引越のための部屋探しをしていて、8箇所くらい見ましたが、自室の窓から金環食が見える部屋は今住んでいるこの部屋だけでした。金環食があるなんてことはわりと最近知ったので、偶然でしたけどね。

 さて、こちらは夕方の猫。向こうからやってくる白い猫が最近、体調が悪いようで心配。

 こちらは別のテリトリー。こことその近くのテリトリーは今、大規模工事中というか、道路のアスファルトをはがして砂利だらけの道になっていて(自転車の人がカーブでコケた)、機械も入ってかなりやかましいです。このあと、工事の人たちが来たので、猫たちは奥の方へ避難していました。でも、ここにいないとエサにありつけないかもしれないし、困ったものです。

 この猫は初めて見ました。エサをほしがって出てくるのだが、やろうとすると逃げてしまう。結局、エサはあげられませんでした。手前は前からよく知っている猫。

 昨日、ツイッターで見たつぶやき。「金環食は終わりましたが、月曜は続きます(悲話)」
 みんな、日食見たあとは学校や仕事に行ったのですね。私は休みだったので、日食全部終わったあと、また寝ました。
 実は今回の金環食はアメリカと中国でも見られたそうで、特にアメリカは夕暮れの金環食または部分日食で、三日月形の太陽が地平線に沈んでいく映像がyoutubeにアップされています。
 6月6日には金星の太陽面通過があるということで、日食グラスは捨てないで、とネットに書かれていますが、日食グラスで見えるかは微妙らしい。この金星の太陽面通過は、太陽が出ていればどこでも見られるのかな。セイバーズの掲示板でも、バッファローのファンがこれを楽しみにしてるみたいな書き込みがありました。バッファローは部分日食だったようです。

追記 ウィキペディアによると、
2012年
6月6日
22:0901:2904:49ハワイ、オーストラリア、太平洋、東アジアで全過程が、
北アメリカで始まりが見られる。

だそうで、すべての地域で見られるのではないようです。なお、時刻は日本時間ではありませんね。日本では早朝からお昼すぎまで見られるようです。(でも、上の記述って、太陽が出ているすべての場所のような気がしますけど。)

2012年5月21日月曜日

ゴールデン・リング

金環食、風呂場の窓からばっちり見えました。
 午前6時40分頃に起床。すでに太陽は欠けていました。空はほぼ快晴。やったあ、神様、ありがとう、と思ったものの、細い三日月のようになったあたりから雲が出てきて、日食グラスで見ていると、ぼけたりくっきりしたりの繰り返し。風が出ていて、雲が動いている。そして、雲がどんどん増えている…。
 そして7時30分すぎ、多少ぼけているが金のリングになったのがわかり、そして、一番いいときに雲が晴れて、くっきりと浮かび上がるゴールデン・リング! が、そのあと、また雲が来て、ぼけてる、ぼけてる、と思っているうちに、金環食は終わっていました。なんとかビーズは全然見えなかった。
 まだ太陽は欠けていて、あと30分くらいで戻るようです。金環食は風呂場の床にしゃがみこんで見たけれど、今はもう、バスタブにしゃがまないと見えません。屋上に出れるんだけど、日食グラスでは太陽以外は真っ暗なんで、見えればどこでも同じです(屋上は子どものいる家族が上がってみていた模様)。
 ツイッターで、ロード・オブ・ザ・リング、と書いている人がいたけど、まさに指輪の王=太陽と月ですね。

2012年5月20日日曜日

ピラネージ展

今日が最終日の西洋美術館、ピラネージの「牢獄」展。同じく今日が最終日のユベール・ロベール展のチケットの半券で見られるので、なんとか見てきましたが、例によって出足の遅い性格が災いし、美術館に着いたのが閉館50分前。常設展の中だというけど、残り時間わずかとなればまずピラネージ展へ直行すべし、と思い、係員に聞くも、私の聞き方がまずく、右往左往するはめになってしまいました。まあ、聞き方もまずかったけど、係員も、ピラネージ展が目当ての客なんてはなからいないと思ってんのか、要領を得ない答えばかりでねえ。結局、常設展の順路どおり行くと、最後の方にあることが判明。何度も見ている常設展の展示はすべて素通りして一目散にピラネージ展へ行きました。
 うーん、やっぱり、という感じで、私以外に興味深そうに見ている人は1人だけ。たぶん、美術の学生。確かに素描や版画は自分でも少しは絵を描く人じゃないと興味がわかない、というのはわかるんですけどね。私も、描き方のテクニックとか見てますからね。で、「牢獄」の方は思ったより凄みもなく、うーん、こんなものか、という感じでした。
 残り時間で常設展を軽くまわってみましたが、しばらく来ていなかったので、これまでに見たこのない絵が何枚か入っていました。映画監督ジャン・ルノワールの奥さんの肖像画もありました。
 そんなわけで、初めて見た絵で気に入った2枚と、ロベールの西洋美術館所蔵の絵1枚のポストカードを購入。小さいのが80円。大きいのが150円。80円と150円で同じ絵がありますが、150円の方が色が見たときの印象に近いです。美術館へ行って、気に入った絵があっても、ポストカードの色が記憶と違うと買う気がしないのですよね。ルノワール夫人の絵はポストカードになっていなかった。下の写真は蛍光灯の下で、フラッシュなしで撮影しているので、色がだいぶ悪くなっています。本物はもっといい色です。左上は美術館の無料パンフレット。

 さて、明日の金環食。今日の昼間、薄曇りだったので、日食グラスで太陽を見てみました。影がうっすらと落ちている程度の曇りなら、太陽はしっかり見えますが、影が落ちない曇りになるとかなりきびしいです。夕方になったら雲が厚くなってきましたが、明日は金環食帯では大阪だけが曇り時々晴れで、あとはすべて曇りですね。うっすらと影が落ちる程度の薄曇りであってほしいです。
 熱心な人はたぶん、明日早朝の飛行機の東側の窓際の席を予約しているのでしょうね。羽田・大阪ならばっちりだろうなあ。

2012年5月19日土曜日

ユベール・ロベール 時間の庭

国立西洋美術館で明日20日までやっているユベール・ロベール展。18世紀の風景画が好きなので、行かねば行かねばと思いつつ、やっと行ってきました。


 古代ローマの遺跡の風景が多かったので、「テルマエ・ロマエ」を思い出したりしていました。
 西洋美術館の常設展で何度も見た絵も何枚か飾られていて、ああ、これがロベールだったのか、と。入場料も1300円で、絵がたくさんあって、前のゴヤ展よりお得な感じがしました(そういう問題ではないが)。
 いつもぎりぎりに入って閉館時間に出るので、常設展が見られないのですが(常設展は本展をやってないときに行くことが多い)、明日までピラネージの「牢獄」展をやっているらしい。ゴヤ展のときは結局、ブレイク展を見逃しているので、明日行かねば…。

 ところで、月曜の天気、ついに予報が曇りになっていました。晴れてる場所を探すにはかなり移動しないとだめかもしれない。なんだか金環食ではない地域が晴れの予報なんだよね。

2012年5月16日水曜日

首都圏のイオン

都心に住んでいるとイオンというものにはほとんど縁がないのですが、ホッケー観戦で北海道へ行ったとき、釧路のイオンへ行って、それが私のイオン初体験(数年前)。そして今年は苫小牧のイオンへ行ってシネコンで映画を見てきたのですが、北海道のイオンはとにかく細長く、端から端まで歩くのがかなり大変。建物は2階までで、まわりに広い駐車場。さすがは北海道、広いね、と思っていたのですが、火曜日の夜、初めて首都圏のイオンへ行ってきました。
 場所は埼玉県南部ですが、まあ、中に入ったら、釧路や苫小牧とまるで変わらない。やっぱり細長い、広い建物で、端から端まで歩くのが大変。ただ、2階建てではなく3階建てでした(北海道のイオンほどは長くなくて、その分3階建てのような気がします)。夜だったので駐車場が広いかどうかはわかりませんでしたが、窓から外を見ると、平野が広がって、家もあまりないので、ほんと、釧路や苫小牧のイオンにいるみたいでした。ただ、人は北海道より少なかったです。こんなにすいていてやっていけるのか、イオン?
 さすがに首都圏なので、駅から歩いていけます(釧路と苫小牧は駅からバス)。んなわけで、駅からてくてくと歩いて、イオンの建物にはすぐ着くんだけど、シネコンが駅から一番遠い端なので、シネコンに着くまでが大変。でもまあ、なんとかたどり着いて、「テルマエ・ロマエ」を見てきました。
 なんで埼玉のイオンのシネコンに行ったかというと、ここが週に1度行く仕事先の近くで、しかも15日は1000円の日だったからです。ただ、仕事先から近いといっても、駅までバスで10分、それから電車で3分なのですが、その電車がなんと10分近く遅れていた。けっこうぎりぎりだったんで心配しましたが、なんとか上映開始前に到着。初めての映画館で指定席というのは、どの席が自分好みかわからず、困るのですが、入ってみたら、ガラガラでした。ほんとにヒットしてるのか、「テルマエ・ロマエ」?
 映画は前半は原作の風呂エピソードをいくつかつなぎ合わせたもので、なかなかうまく絵にしてあります。後半は原作にはない話で、漫画家志望の若い女性がルシウスに恋してしまい、実家の湯治場に来ていた大学教授の助けで古代ローマやラテン語を勉強、そして、古代ローマへタイムトリップしてしまう、という、原作の温泉芸者よりかはずっと面白い。ルシウスが日本に来るたびにそこに彼女がいて、というのも「ジェニーの肖像」とかを思わせてニヤリです。また、原作だとルシウスが温泉芸者に惚れるんだけど、ルシウスの方が惚れられるようにしたのも正解ですね。ルシウスは女にあまり興味なさそうなんだもの。漫画家志望の女性とも、一緒に住んでも兄妹みたいな感じ。
 ローマ人を日本人が演じるというのも、思ったよりうまくいっていました。古代ローマのシーンは日本語吹き替え、ルシウスが日本に来るとラテン語を話す、というのもなかなかよい。で、ヒロインが古代ローマへ行くと、せりふは日本語で、バイリンガルと右上に出るという趣向。そのあと、湯治場の老人たちが来てしまったりするんだけど。
 でも、「テルマエ・ロマエ」の真髄はやはり、ルシウスが日本の風呂を見て感激、ローマに持ち帰って、というエピソードの羅列で、それが中心の前半に比べて、ストーリー性が強くなる後半が弱いのはいたしかたないか。最後まで風呂エピソードでやるわけにはいかなかったのかなあ(ヒロインはルシウスが来るたびにそこにいていいと思うけど)。
 ルシウスを演じる阿部寛に加え、皇帝役の市村正親がびっくりするほどのはまり役。思えば、アメリカ人がローマ人を演じるハリウッド映画だって、よく考えたら変なはずなんだから、日本人がローマ人を演じてどこが悪い、という気がします。この映画のような作りだったら、今後、日本人が西洋人を演じても違和感ない映画ができそうな感じ。何か、そういう新しいジャンルを切り開きそうな予感もします(そこまで言うか?)。
 イタリア・オペラの名曲が次々と出てくるのも魅力でした。ルシウスが日本に吹っ飛ばされるたびに登場してアリアを歌うおっさんが、途中から出てこなくなったのも残念だったな。最後にまた出てきますが。

2012年5月13日日曜日

上野公園の噴水

長らく工事中の場所が多かった上野公園も、ようやくフェンスなどがすべてなくなり、新しい噴水が完成していました。
 以前はど真ん中にドッパーンと高く噴き上がる噴水を中心に、という感じでしたが、新しい噴水は合計23の噴水が3列に並び、あるパターンで次々と噴き上がるという演出。噴水の真下に白いライトが光って、池の両サイドからはスモークまで出るという…。ああ、電気のむだだねえ、と思っていたら、7時半になったらぴたりと止まりました。どうやら特定の時間だけの噴水のようです(私が見たのは午後7時から7時半)。
 その噴水の前の広場にはスタバとカフェレストランができていますが、私が通るときはいつもすいている。閉店まぎわなのか? カフェレストランは入り口のメニューだけだとイマイチ、入る気がしない。昼間は混むのでしょうけど。
 そして、上野公園の近くのヨドバシカメラへ行ったら、なんと、手塚治虫の漫画の絵が入ったビクセンの日食グラスを売っている。「鉄腕アトム」と、手塚キャラ(アトム、ブラック・ジャック、リボンの騎士、ジャングル大帝など)と、「火の鳥」の3種類で、「火の鳥」が一番売れてました(そりゃ、外で出せるのはこれしかない)。このほか、立派なケースに入った「手塚治虫」セットの日食グラスも。中身がわからないのですが、上のような日食グラスがいくつも入っているのかな。ビクセンじゃないけどウルトラマンや仮面ライダーもあって、年配者をねらった商品というか、やっぱりお父さんが家族の分、3つとか4つとか買っていって、アトムなんかは子どもに持たせるのだな、と思いました(お父さんは火の鳥)。それにしても、早まって4月に買うんじゃなかった。売り切れるなんていって、けっこう売れ残ってるよ、日食グラス。あまり関心のない人も多いのだろうか。
 さて、金環食まであと8日。今朝は太陽が昇るまで起きていたので、5時半くらいに屋上に出てみましたが、太陽はすでに高くて、これならOKです。その上、浴室の窓からも見えそうだ。バスタブの中に立って、窓から身を乗り出して見るような感じだけど(屋上はマンションの住民がたくさん出てくると狭くてゆっくり見られなさそう)。でも、5時半であの高さなら、7時半には開けた場所ならどこでも見えるだろうと思います。今日は昼間に4月に買った日食グラスで太陽を見て予行演習。あとは晴れるのを祈るのみ。

2012年5月11日金曜日

ハシゴ

久々に試写室ハシゴ。
 まずはドリュー・バリモア主演「だれもがクジラを愛してる。」(最後に。があるようだ)。
 1988年、アラスカで起こったクジラ救出作戦の実話をもとにした映画化で、氷に閉じ込められたクジラの親子を、利害の対立する石油会社、グリーンピース、地元の先住民、それに冷戦末期のアメリカとソ連が力をあわせて救出する感動の実話……だったら見に行かねーよ、と思っていたのだが、Rotten Tomatoesの評価がやけにいい。それで試写状をよく見たら、この利害の対立するグループがそれぞれ思惑を抱えながらクジラ救出に協力、という、ただの感動の実話ではないらしいと思ったので見に行った。
 結論。こういう下心のある美談って、やっぱりアメリカだよね。日本じゃ下心のある美談は受けないよね?
 でも、その下心のある美談が面白い。ていうか、人間ならともかくクジラの救出にこんだけ人がたくさん出てきていろいろやるって、下心がなければかえって嘘くさい。
 たとえば、環境保護地区の石油の採掘を決めた石油会社の社長は、クジラ救出に協力することで、環境にも配慮する企業だというイメージを手に入れる。
 捕鯨で食料を得ている先住民はクジラを捕りたいが、マスコミの注目を集めているので、クジラを殺したりすると捕鯨自体ができなくなる恐れがあるので救出に協力。
 この石油会社と捕鯨先住民の両方を敵視しているのが、バリモア扮するグリーンピースの活動家。特にクジラを崇め、貴重な食料として捕鯨を続けてきた先住民を悪者扱いする彼女は、最初はかなりイヤな女。グリーンピースは役に立つこともしているのですが、やはり嫌われる部分も多いのですね。石油会社からお金もらえるのだから捕鯨やめろと先住民の集まりで言うと、先住民の代表が、「石油がなくなったらお金がもらえない。そのとき捕鯨ができなくなっていたら、誰が自分たちを食わせてくれるのか」という。さすがにこれには彼女も黙るが、先住民の長老が、捕鯨を続けるためには氷に閉じ込められたクジラを助ける方がいいと判断するのだ。
 映画はこの長老の孫のナレーションで始まり、ナレーションで終わる、つまり、この少年の回想のようになっているのだけど、この幼い孫がまた資本主義の申し子のような子供で、クジラ救出の取材に集まったマスコミ連中に物を高く売り付ける。地元のテレビ局のキャスターに、「いいかげんにしろ、ゴードン・ゲッコー」といわれるが、ゴードン・ゲッコーは88年の映画「ウォール街」の貪欲な主人公。でも、最近、この続編「ウォール・ストリート」ができなかったら、ゴードン・ゲッコーでは意味がわからない人が多かったかも?
 そんなわけで、幼い少年までもが下心いっぱいの資本主義全開の世界なのだけれど、そのあたりがとてもユーモラスに描かれているのがいい。テッド・ダンソン扮する石油会社社長も欲の塊みたいな人なのだけど、この少年と同じく憎めない。彼らは下心で動いているが、それと同じくらい、クジラを助けたいという気持ちにも動かされているからだ。人間は美しい心だけで動くものではない、下心もあるが、純粋な気持ちもある、それが人間だということを、ユーモアたっぷりに描いている。
 環境保護で対立していた石油会社社長とグリーンピース活動家が、最後にお互いを認め合い、これからも対立するといいながら笑顔で分かれるのは、まさにagree to disagree(合意しないことで合意する)。こういうの、いいなあ、と思うけど、日本人にはこれが相当にむずかしいんだよね。
 このほか、次期大統領選挙でブッシュ(父の方)に有利にしたいレーガン政権もイメージアップの思惑に乗っかり、近くにいるソ連の砕氷船に頼むしかないとなると、今度はゴルバチョフ政権イメージアップの下心でソ連が協力。このほか、ホッケーリンクをすぐにプールに変えます、というミネソタの氷を溶かす機械のメーカーが、やっぱり、自分たちの製品を売り出すチャンス、という下心でやってきたりもする。
 結局、下心がないのは、ソ連の砕氷船の乗組員と、アラスカ州兵たち、つまり、任務でクジラ救出にやってくる人たちなのだね。グリーンピース活動家も、お金をたくさん集めている、とかいわれるし。
 それにしても、こんなに下心満載の人たちばかりが出てくるのに、彼らがみんな感じのいい人たちで、気持ちよく見られるというのも驚きです。人間らしくて、かわいげのある下心だからだけどね。
 エンドクレジットを見ていたら、元アラスカ州知事のサラ・ペイリンが本人役で出ていました(最後に流れるニュース映像の1つに州知事になる前のペイリンが映っているらしい)。

 さて、ハシゴのもう1本は、イタリア映画「ローマ法王の休日」(ナンニ・モレッティ監督)。思いがけずローマ法王に選ばれてしまった主人公が、恐れをなしてローマの街に逃げてしまう、という、法王版「ローマの休日」、かと思ったら、予想とはかなり違っていました。「ローマの休日」のような展開ではまったくないし、特にラストは全然違います。また、法王だけでなく、法王がいなくなったバチカンの枢機卿たちのエピソードもかなりあって、特に枢機卿たちを世界の地域別に分けてバレーボールの試合をさせるのが面白い。枢機卿って、世界各地から来ているんですね。日本人もいました。
 コメディなんですが、観客の中に1人、よく笑っている女性がいて、笑いのタイミングから見て、イタリア語がわかる人なのかなと思いましたが、イタリア語がわからない私はせりふでは今ひとつ笑えませんでした。でも、動作で笑わせる部分は笑えます。

 4月には韓国映画「ムサン日記 白い犬」や、終戦直後のブラジルの日系人を描くブラジル映画「汚れた心」といった秀作を見ましたが、こちらは気軽には書けない、重いテーマの内容です。「ムサン日記」のような映画を見ると、韓国はキリスト教的なものが浸透しているのだなと感じます。「汚れた心」はブラジル人監督だからこその視点で、日本人監督ではこういうふうには描けないと思いました。

2012年5月7日月曜日

今日のスカイツリー&京成電車

陸橋からスカイツリーと京成電車を撮ってみました。もちろん、ズームです。
スカイライナーを待つほど「撮り鉄」ではないので、この2枚のみ。


 帰りに近所のセブンイレブンに寄ってびっくりというかがっくりというか、なんと、ビクセンの日食グラスを売っていた…。わざわざ北千住の東急ハンズまで行って、ビクセンじゃないのしかないのでしかたなくそれを買ってきたというのに…(ビクセン、その後、量産体制に入ったのでしょう)。
 なんだか5月に入ってあちこちで日食関連用品を売っていますね。5月に入ると売り切れで買えない、と某サイトに書いてあったので急いだのだが、別に急ぐことはなかったのか(でも、売り切れる可能性もあるので、買うつもりの人はお早めに)。
 とかなんとかいって、当日、朝早くから家を出て太陽が見えるところを探して行くのが面倒になる可能性大なのですが。それに、低気圧発生で日本中が雨だったらどうする?

2012年5月6日日曜日

月の入り

しつこく夜中まで月を撮ってました。



 実はうちは西に十数階から20階建てのマンションがあります。なので、月はそのマンションの向こうに沈むのです。
 肉眼では月の海が見えているのですが、残念ながらデジカメには写りません。でも、夜中に外を散歩して、ふだんより明るくて大きな月を満喫しました。

満月最接近

雨ばかりでいいかげんうんざりだったゴールデンウィーク、土曜日にやっと晴れてくれました。
 しかし、晴れたというのに洗濯やら何やらで外出できず、夕方5時過ぎにやっと散歩に出かけました。まずは近所のつつじで有名な神社。すでに満開の時期は過ぎていました。

 鯉の泳ぐ池。

 神社を離れ、坂をあがっていくと、猫カフェがありました。この辺は猫で有名な場所なので、猫カフェや猫グッズの店がいくつもあります。

 客寄せ係の猫。ちょいとお兄さん、寄っていかない? と言っているのか?

 ガラス窓とガラス戸の間にいる猫。中で猫と遊ぶタイプの猫カフェではないのかもしれない。

 猫グッズがいろいろ。

 すでに6時頃で、まもなく閉店という感じでした。

 不忍池のほとりに建つ超高層マンションを谷中の高台から。

 あれ、墓地でよく見る猫では?

 しかし、どんどん逃げていくので、確かめることはできなかった。

 ふと反対側を見ると、これは確かに墓地でよく見る猫。

 が、場所が違うせいか、向こうはこっちを認識してくれない。

 そして墓地へ。もう6時半近いので光が少なく、きれいに撮れません。

 カメラを持って出た目的は、実は猫でもつつじでもなく、月。
 年に1度の月が満月で地球に最接近という日なのです。正確には日本時間5月6日正午頃がそうらしいけど、正午に月が見られるわきゃない。おまけに6日は雨の予報。今日しかない、と思って月がよく見えるところへ行ったのですが、確かに最接近らしく、月は明るく、いつもよりやや大きくみえましたが、うちのデジカメだと月の海が写らない。肉眼ではしっかり見えているのに、月の海…。12倍ズームで大きいのも撮りましたが、白い円が写っているだけでした。

 写真を撮ろうとするとそっぽ向くくせに、私が月の写真を撮り始めると、月と私の間に割り込んでくる、それが猫というものです。

2012年5月3日木曜日

駅前ロマエ?

4巻一気読みしてしまった「テルマエ・ロマエ」ですが、読む前にアマゾンの読者レビューを見てびっくり。
 第4巻はそれまでのと展開が違い、ローマに帰れなくなったルシウスがラテン語が話せる東大大学院出の考古学者で温泉芸者の美女と出会い、長編ラブストーリーになってしまうのだと。
 それで、風呂も出てこないし、絵が雑になっているとか、ネタ切れだとか、編集部の余計な口出しでこうなったのだろうとか、映画化に合わせてヒロインを出して恋愛ものにしたのだとか、いろいろな推測が出ています。
 実際、読んでみると、これは3巻目までで十分だな、4巻の展開だったらもう買わない、と私も思いました。
 読者レビューの中では、評価の高い有用性のあるレビューと、評価の低い有用性のあるレビューの両方がすべてを言い表しています。

最も参考になった評価の高いレビュー
☆☆☆☆ 梃子入れっていうか最終話だよね
正直、この新展開には猛烈な違和感を覚えますが、もう作者もネタ切れなんじゃないかな。
ラテン語がしゃべれるローマオタクで天涯孤独の温泉芸者なんて無理が有り過ぎですが、浴場設計士として成功しつつもプライベートは不幸な主人公が幸せになって、めでたしめでたしってことで良いんじゃないかと。
これで次巻完結なら、最終話としてならこの展開もアリということで星は4つです。


最も参考になった評価の低いレビュー
☆☆ あれ?おもしろくない
(前略)
私にとって、テルマエ・ロマエは、
主人公と平たい顔族(日本人)の全力勘違いを主体とした
ギャグストーリーの中に知性がちらっと光る
そんな漫画でした。

でも、今回は全体的に勘違いの笑いが弱い。
ない、わけではないが、
長編ストーリのための人物像を描く部分にコマをさいたことにより
全体的に薄まっていると感じてしまいました。

私としては、前のままでよかったのに(泣)
偉大なるマンネリ(ほめ言葉)だったじゃないですか。
事件→おぼれる→日本へワープして平たい顔族との掛け合い→
ローマに戻る→勘違いしたままローマで再現→ハッピーエンド!
1~3話で完結!
水戸黄門の今回も印籠出しちゃうぞ!でも面白いの法則とでもいいますか。。。

ひとつのパターンで物語を作り続ける
作者の苦労も確かに想像できるのですが。。。
でも、変えて欲しくなかった部分が変わってしまったそんな印象です。
(後略)


そして、こういうレビューもあります。
(前略)

若い子を描くのが苦手で気が乗らないし(小学生くらいまでは好き)、現代日本の若い子と接点があまりない事もあって、もし自分一人でテルマエを描き進めていたとしたら、絶対出て来なかった'W巻の登場人物、さつき。

私だったら、もし同じ立場の登場人物を出すなら、絶対におっさん大学教授か、ローマ人の物語を愛読する爺さんとかにしてしまっていたでしょう。
(以下略)


テルマエ'IV巻のヒロイン 作者ブログより
[・・・]

これは見たかった・・・!!!

『ルシウスがおっさん大学教授と銭湯でラテン語で歓談する光景』
『ローマ人の物語を愛読する爺さんに露天風呂で質問責めにあうルシウス』

(後略)

作者も不本意だったのか。だよね。
ちなみに、映画で上戸彩の演じるヒロインは漫画家とのことで、こっちの方がまだ自然。

 というより、ルシウスが「平たい顔族」の国(日本)に来て、そこでラテン語が話せる人に会って、コミュニケーションがとれてしまう、というのが一番いけません。
 そのうち、さつきから日本語習って日本語ペラペラになるぞ、ルシウス。いや、すでに漫画では日本語のせりふでさつきと話してるのだ。平たい顔とコミュニケーションがとれた時点で、これは終わりです。電気製品の仕組みを理解するなんて、さらにまずい。理解ではなく勘違いが身の上だものね、この漫画。
 そして、絵が雑になったというのは、ローマの場面がなくなったから、というのが大きいでしょう。3巻まではローマの風景がとてもていねいに美しく描かれていて、すばらしかったのに、日本だけになると手抜きの絵ばかりに見えます。全部緻密なローマの絵ばかりでも疲れてしまうけど、全部手抜きの日本の絵ではねえ。
 そんなわけで、お手軽な駅前留学ならぬ駅前ロマエと化した、もはや風呂漫画でさえなくなった漫画。ファンががっかりするわけだわ。
 あと、この漫画の魅力は、ハドリアヌス帝とルシウスのちとホモっぽい主従関係にあるのだが、そっちを捨てて魅力のない温泉芸者に切り替えるリスクを編集部は考えたのかなあ。男の編集者だとその辺わからないのかしらん。そんでもって、温泉芸者がイマイチなので、4巻目の最後は馬がルシウスにほれることになってます。もう、コミケネタの皇帝との主従関係を捨ててはいかんよ。

2012年5月1日火曜日

テルマエ・ロマエ

今日は埼玉県の大学で授業。その大学の比較的近場のシネコンで「テルマエ・ロマエ」をやっていることがわかり、しかも1日は入場料1000円。お、授業が終わったら行こう、と思ったのですが、終わったら疲れてしまい、しかも、近場とはいえ、バスと電車を乗り継ぐので面倒になり、行きませんでした。
そして、帰りに近所のブックオフに立ち寄ったら、コレが。

1冊400円、計1600円。古本としては高いのか安いのかわかりませんが、かなりきれいです。
1巻目は少し立ち読みしたことがありますが、銭湯好きとしてはずっと気になっていた漫画です。
映画は日本人がローマ人を演じていて、しかもせりふは日本語! というのがかえって笑えるのであろうと思っているのですが(ラテン語訛りの日本語は無理でも、せめてイタリア語訛りの日本語で、と思うのですが、標準語なんでしょうね。関西弁とかだとまたおかしいかも)。
4巻目についている帯の写真のポスターが近所の銭湯にも貼ってあって、なかなかよい。映画見たいです(でも、まず漫画読もう)。

追記 原作「テルマエ・ロマエ」については「駅前ロマエ?」、映画「テルマエ・ロマエ」については、「首都圏のイオン」の記事をどうぞ。