2025年7月2日水曜日

「F1/エフワン」

 エフワンなんていう、F1の読み方が副題になってるなんて、今、F1はすっかりマイナーなのか?

という疑問を感じながら、先週の金曜初日に見に行った。



最大箱での上映だったけど、お客さん、両手の指で数えるくらい。こういう映画は男性客ばかりだろうと思っていたら、なんか女性多め? やっぱりブラピのファンが見にくるのか?

「国宝」の方は吉沢亮と横浜流星という、実力派の若手人気スター共演なので、さぞかし若い女性でいっぱいか、と思ったら、おもに中高年女性、というか、シニア女性多数。平日の昼間でもかなりの入り。

「F1」も、土日はけっこう入っていたらしい。

ブラッド・ピット演じる主人公は、かつては若手のF1ドライバーだったが、30年ほど前に大事故を起こして重傷を負い、それがきっかけで引退、以後はF1以外のさまざまなレースで活躍。そんな彼に、一度も優勝できないどころか10位以内入賞もなく、このままだとチーム身売りの危機の弱小チームから、レース復帰をうながされる。才能はあるが経験の少ない若手黒人ドライバーを助けて優勝させてほしい、という依頼。

F1というのは1チームに2人のドライバーがいて、その駆け引きで勝ちをめざす。老練なピットは、ここでこういうことが起こればセイフティーカーが出てきて、すべての車が速度を落とさねばならない、とか、途中でのタイヤ交換をどうするかとかいった駆け引きに長けている。若手からじいさんと言われながら、ベテランならではの戦略で順位を上げていく。

黒人ドライバーがいたり、チーフエンジニアがNASA出身の女性だったり、メカニックに女性がいたりと、白人男性中心社会のF1にハリウッド映画ならではの多様性を入れている。

そのピットのせりふに、俺はセナやマンセルやプロストやシューマッハと走っていたんだ、というのがある。セナが事故死したのは1994年。ピットはセナを抜こうとして事故を起こし、引退、という設定なので、それより前のことになる。

実は私がF1を見ていたのはまさにこの時代。個性的なドライバーが何人もいて、なんか面白かった。その後、だんだん見なくなったのだけど、時代が進むにつれてマシンの性能がすべてみたいになり、そうなるとお金がすべて(もともとお金がすべての世界なんだが)、ルールもいろいろ変わって、ついていけなくなった人も多かったとか聞いた。

そういう古き良き時代のF1の世界から引退し、30年ぶりに復帰した主人公という設定で、若い人から見たら昔の人だけど、だんだんその力を若い人も認めていく、というのは同じ製作・監督の「トップガン マーヴェリック」と同じ趣向。ただし、「マーヴェリック」はドラマ部分がよくできていたが、こちらは全然だめ。お定まりのパターンの筋書きと人物がまったく工夫なく出されてしまっている。

ただ、映画はレースシーンのスピード感とか、そういうカッコよさで見せるので、ドラマ部分はあまり気にならないかもしれない。また、レースの駆け引きとかもちょっとマニアックでは?と思ったのだが、別に深く考えなくてもなんとなく見てしまえるようだ。走るシーンだけでなく、ピットでタイヤ交換などをするときのスピード感もぞくぞくした。F1界全面協力ということで、世界各地の本物のサーキットが出てくるのも見もの。最後が中東のアブダビというのも時代だね。個人的には、シケインという単語を久々に見たな~と、私も30年ぶりなのだ。

トム・クルーズとはまた違ったカッコよさのブラッド・ピットも、ファンにはうれしいだろう。