2014年10月22日水曜日

要するに、ここは丼勘定の出版社、だよね?

時間泥棒の次は原稿料泥棒の話です。
芥川賞作家の柳美里氏が、「創」という出版社で連載などをしていたにもかかわらず、数年間分の原稿料が払われていない、ということをブログに書き、その後、インタビューにも応じています。
http://getnews.jp/archives/686281
この記事の下の方にブログ記事へのリンク、編集長の言い訳へのリンク、そして他の執筆者の反応などへのリンクが貼られていますが、
要するに、ここは丼勘定の出版社、だよね?
最初のうちは払っていたけれど、だんだん金額が減り、その後まったく払われなくなったとか、原稿料がいくらなのかの明細も出してないとか、別の執筆者は未払いはないとか、要するに、その場その場の気分で払ったり払わなかったりしてる、また、人によって払ったり払わなかったりしてるわけで、こういうところは私だったら最初からお断りです。ボランティアで書いて、っていうのは何度か書いたことあるけど、経理がきちんとしてないところはヤバイ。
出版社が赤字続きで払えない、という実情が背景にあるとしても、最初から丼勘定ってのはヤバイだろ。
ちなみに、私がかつて受けた原稿料未払いは、相手はどう見ても赤字などあるはずのない大手配給会社だった。そこはすでに解散しているので(倒産ではない、念のため)言ってもかまわないと思うが、最初に20万円ほどの翻訳をしたのに、2年以上、支払いがなかった。その20万円のあとの仕事はきちんと払ってくれていたのだが、何度催促しても最初の20万円を払ってもらえす、ついに私がキレて、お金は払ってもらえたが、そこで仕事はできなくなった。
噂によると、そこは相手によって払ったり払わなかったりするところらしかった。
まあ、確かに儲かる翻訳だったので、未払いに目をつむって仕事を続けた方が収入的にはよいから続けている人もいたのだろう。でも、私はお金にきちんとしないところは我慢できなかった。
私が映画評などを執筆していたところはどこも原稿料が安くて、出版社や雑誌の規模からしたらこのくらいの安さだろうな、ということは感じていたので、安くてもきちんとしている方が安心だった。最初は原稿料は400字1000円から1500円、翻訳だと400字500円とか、そんなくらいだった。その後、400字で3000円のところとかたまに来るようになったが、執筆で生活ができるほど稼いだことはない。翻訳書も年に何冊も出さないと生活は無理で、今は年に何冊も仕事を得ること自体が非常に困難。
柳美里は講演やテレビ出演をほとんどしていないというが、作家や評論家はタレントにならないと食えない時代だと思う。さもなきゃ中沢けいみたいに大学教授になるとか。さっき、20分もの予告編を我慢して「アメリカン・ハッスル」を見たんだけど、サバイバルは重要な芸術(アート? なら技術もあり?)みたいなことを言っていて、まったくそのとおりだと思った(映画はあんまりおもしろくなかったけど)。作家や評論家をやりながらしっかり大学教授に収まった人は多いが、そういう「人間力」が大事なんだよね。ただ、作家や評論家を教授に採用するというのは一時期の流行にすぎないので、今後はわからないと思う。


追記
「創」は編集長が1人で30年もやってる雑誌だったのか。どうりで丼なわけだ。
http://www.tokyo-sports.co.jp/blogwriter-watanabe/25823/