2026年5月16日土曜日

「シンプル・アクシデント偶然」&「スマッシング・マシーン」(どちらもネタバレ大有り)

5月8日に「シンプル・アクシデント偶然」、15日に「スマッシング・マシーン」を見てきた。

前者はカンヌ映画祭パルムドール、後者はベネチア映画祭銀獅子賞。よい映画なのだけど、映画館ガラガラ。特に「スマッシング・マシーン」は日本が舞台のシーンが多いし、大沢たかおとか出てるのに、近所のシネコンでは「シンプル・アクシデント」より入りが悪い。 


「スマッシング・マシーン」は総合格闘技で活躍したマーク・ケアー(ケアーはカーの方が発音的には正しい気がするのだが)の実話の映画化。アメリカのスポーツ選手が日本で試合する話で、日本ロケにこだわってるって、「マーティ・シュプリーム」みたいだな、と思ったら、サフディ兄弟監督の兄が「マーティ・シュプリーム」、弟が「スマッシング・マシーン」を監督したのだった。

とはいってもこの2作、いろいろと正反対で、「マーティ~」が実話にヒントを得たフィクションなのに対し、「スマッシング~」はドキュメンタリーをもとにしているので、かなり実話に忠実。「マーティ~」が卓球以外のエピソードが多く、最後の勝つけどなんだかなあな感じの映画なのに対し、「スマッシング~」は総合格闘技でひたすら勝つことだけを考えていた最強の男が「負ける」ことについての映画。ド直球のスポーツ映画なのだけど、やはりスポ根的カタルシスとは違う作品。

こうしてみると、どっちも興味深い作品なのだが、マーティがいやなやつなのに対してマーク・ケアーは繊細で人当たりがよく(ありがとうの言葉を欠かさない)、同情できる人物。上映時間も「マーティ~」がちょっと長くて飽きるところもあったの対し、「スマッシング~」は2時間3分と無駄のない作りで、私は「スマッシング~」の方が断然気に入った。

「スマッシング~」についてはすでによい批評がネットに出ていて、リングの外からのみ試合を映すことの効果、そしてなにより音楽のすばらしさに触れている。私も、「君が代」や「星条旗よ永遠なれ」のセンスのよい演奏をはじめとする音楽の魅力に惹きつけられた。有名曲を使っていても浮いていない。

映画は1997年、マークが総合格闘技に初出場して勝ったところから始まり、それから急に2年後の1999年、日本のPRIDEに参戦するシーンになる。その間、マークは負け知らずなのだが、この映画は勝つ試合をほとんど見せない。このPRIDEで初めて負けを喫し、相手の反則で試合自体が無効になるが、このときすでに彼は強力な鎮痛剤による薬物依存になっていて、このあと倒れ、リハビリに励む。薬物依存を脱して恋人のもとへ戻るが、その頃には恋人の方がアルコール依存症のようになっていて、2人の間にいさかいが起こる。愛し合っているのに相手に対して苛立ちや怒りを感じずにいられない2人を、ドウェイン・ジョンソンとエミリー・ブラントが迫真の演技で演じる。特にジョンソンの繊細な演技は見もの。ブラントも、こういう状況に置かれた女性の苛立ちをみごとに表現していて、共感できる。

この映画はマークが負けることによって解放される物語なので、負けるシーンが多いのだが、(以下ネタバレ)クライマックスで勝者と彼が別の部屋にいるシーンが交互に映し出され、そこである種の敗者の勝利、敗者のカタルシスのようなものが描かれる。

このあと、マークは恋人と結婚したこと、結婚生活は6年続き、息子ももうけたことが伝えられ、エンドクレジットには本物のマークと彼女の写真と、そして、映画のはじめの方に出てきた彼女の猫のご本人、いやご本猫の写真まで登場する。別れたとはいえ、元妻との関係は良好なのかな、と思わせる。


「シンプル・アクシデント」は「熊は、いない」のイランの監督ジャファル・パナヒの新作だが、パナヒはイラン当局から反体制派として目をつけられていて、投獄もされていた。この映画は釈放後初の監督作。イランが悪いイメージを持たれていたのは、こうした迫害があるからで、アメリカとイスラエルがイランに仕掛けた戦争でもイランが悪いと思っている人もいるようだ(今回の件ではアメリカとイスラエルがどう見ても悪いのだが)。イランには有名な映画監督が何人もいるのだが、彼らがこの戦争をどう思っているのか、というのが気になっている。

以下、ストーリーを詳しく書いているので、差し支えない方のみ、どうぞ。

2026年5月11日月曜日

国立博物館本館と表慶館 チェスター・ビーティー・コレクションなど

 法隆寺宝物館のあと、本館へ行き、4月末から始まったチェスター・ビーティー・コレクションを見る。アイルランドの蒐集家チェスター・ビーティーが集めた日本の絵巻などを展示しているが、これがすごい。7月までやってるのであと2回は行きたいと思った。

本館2階の2室で開催されていて、常設展の一部なので特別料金はなし。




「竹取物語」とか「源氏物語」とか、その他いろいろ。







そして、一番の目玉は、白居易の「長恨歌」を描いた絵巻。これはほんとにすばらしくて、何度も見てしまった。見ているうちに、チェン・カイコーの「妖猫傳」(邦題「空海」)がまた見たくなった。他もそうだけど、写真はほんの一部です。





第2室。









表慶館。前回見た精密な複製画の後半が5月2日から始まっている。30枚を前半と後半に分けで15枚ずつ展示。







法隆寺宝物殿とチェスター・ビーティー・コレクションと複製画を見ただけだけど、それでも2時間半くらいはかかってしまった。

帰りに内部の改装のためGW明けから約3年間休館する東京文化会館に寄ってみる。明かりがついていたけどスタッフが2人いるだけで、入っていいのかわからなかったので、外から写真を撮るだけに。まあ、外は変わらないはずですが。






最後に入ったのはこのブログの最初の頃に記事を書いたオーストラリア・バレエ団の公演だった。あとは1980年代にミラノ・スカラ座や英国ロイヤルバレエ、そしてボリショイ・オペラの公演を見たのと、今世紀に入ってピエール・アモワイヤルのリサイタルを小ホールで聴いたくらい。

国立博物館 法隆寺宝物館

 子ども図書館から国立博物館へ歩いていくと、最初に目に入るのが黒門。


黒門の先の正門から入り、黒門の裏の先にある法隆寺宝物館へ。




中に入ってまっすぐ行った先に階段があったので、ここから始まるのかと思ったら、そこは出口だった。この前もそうだったけど、なぜか私は逆走してしまう。そんなわけで展示は順番には見ていない。また、室内は暗くなっているので、写真もちょっとぼけてる。









仏像がいっぱいある部屋。



絵巻とかがある部屋も。


仏像の部屋の先でこの展示をやっていた。ポスターは展示室の外。


面がいっぱいあって、この部屋は明るかった。




写真はごく一部。この法隆寺宝物館だけでかなりの見ごたえ。このあと、本館のチェスター・ビーティー・コレクション展へ。