2026年3月9日月曜日

「しあわせな選択」と、マックのトラブル

 パク・チャヌクの映画は「お嬢さん」と「別れる決心」が大好きだが、最新作「しあわせな選択」はなにかちょっと違う感じがして、見に行くかどうか迷ったが、やはり気になるので見に行った。


高卒で製紙会社に入社し、25年間、会社のために尽くして工場の現場で出世した主人公が突然、解雇され、別の製紙会社に就職しようとするが、紙需要の低下で不況の製紙業界には同じく解雇された優秀なベテランのライバルが何人もいて、再就職がむずかしい。そこで、自分より優秀なライバルを消そうと考える、というストーリー。原作はドナルド・E・ウェストレイクの「斧」だそうで、英米のミステリーを韓国を舞台に翻案というのは「お嬢さん」につながる。

「お嬢さん」は日本の植民地時代の朝鮮を舞台にしていたが、今回は時代は現代だけどベトナム戦争の傷跡がさりげなく盛り込まれている。日本は憲法を盾に自衛隊のベトナム出兵を断ったが、韓国は軍隊をベトナムに送り、兵士たちは加害と被害の両方で精神的な後遺症を患っているという。主人公の父がベトナム帰還兵で、父がベトナムで手に入れた北朝鮮製の拳銃を主人公が使ってライバルを殺そうとする。しかも、解雇のきっかけが、勤務する会社がアメリカの会社に買収され、リストラのリストを作るよう言われた彼がそれに反対したのが解雇の理由のようだから、アメリカの圧力が全体の背景にありそうだ。

このあたりに注目すると面白いのだけれど、「お嬢さん」や「別れる決心」のようなタイプの作品ではなく、どっちかというと「パラサイト」っぽい路線なのかな? でもそれはチャヌク向きではないし、とにかくストーリー展開がぎくしゃくしている感じがして、見ていて戸惑うことが多い。

娘がチェロの名手で、もっと上のレベルの先生につくことを勧められるが、それには多額の費用がかかる、という設定が、「TOKYOタクシー」いや「パリタクシー」から来てるのかな?

(以下ネタバレ)夫の犯行を知って、それでも生活のために夫の共犯者になる妻と、真相に気づいているらしい息子、そして、それまではチェロを弾くのを聞かせなかった娘が突然、聞かせるようになるラスト近くのシーンには、子どもたちは知っている、という暗示がある。リストラに反対して解雇された主人公が、新しい職場ではリストラを容認してしまう、そしてラストは製紙工場の現場の機械化が描かれ、主人公の未来が安泰ではないことを示している。大きな木の根元にいる息子、という幻想シーンと、ラストの切り倒される木もおそらく象徴的な場面なのだろう。

途中、喜劇っぽいところもあるのだが、全体的な統一感がイマイチなのも乗れない理由で、最後も、悲劇なら悲劇のカタルシスが欲しいところだが。

20年前、日本製紙クレインズを応援していて、その後、日本製紙釧路工場が閉鎖になったことを思うと、製紙業界はどの国も大変なのだろうと思う。

映画の前にシネコンの入ったショッピングセンターのマックで遅い昼食を食べようとしたが、注文したものがなかなか来ない。隣の席の人は私よりあとから来たのに、その人のところにはもう注文したものが来ている。順番が多少前後することはあると思って待っていたが、なかなか来ない。隣の人も私のが来ないのを気にしている様子。このままでは映画に間に合わないと思い、スタッフに返金してもらおうと声をかけたら、横から店を仕切っているようなお局風の女が大声で「順番にやっています」と怒鳴った。「もうこれ以上待てないから返金してくれ」と言ったら、ぶすっとした顔で黙って返金してくれたが、ものすごく感じが悪かった。

実は隣の人だけでなく、私が注文したときに前後にいた人たちももう商品は来ていたのだ。完全に、私の分だけ無視されたままなのは明らかで、あのままだと1時間たっても来なかっただろう。しかし、日曜で非常に混雑していて、あのお局女もイライラしているのが丸わかりだったから、まあ、しかたないか、返金してもらえたし、と思い、そういったことはいっさい告げずに店を出て、すぐそばのスーパーでパンを買って無料で座れる椅子に座って食べてからシネコンへ行った。昼食がパンになってマックのセットの3分の1の値段になったし、映画も間に合ったから別にいいのだけど、このマック、平日はとても落ち着いていて、フロア担当のスタッフが感じがよくて好きだったのだ。あのお局女は見たことがなかったので、休日の混雑のときだけ来る人なのかもしれない。マックは店によってはモバイルオーダー優先で、店内の客は後回しにされると聞いたことがあるので、マックがファストフードなのはすいているときだけと思った方がよさそうだ。

2026年3月8日日曜日

「ウィキッド 永遠の約束」と、白鳥は去りぬ

 金曜日は「ウィキッド」の第二部を見に。近所のシネコンは字幕はIMAX中心で、通常の字幕は1日1回。上映するスクリーンの入口に上映作品の表示がなく、ここでいいのかチケットを確認して入った。写真は以前、ここに来たときにあったパネル。


舞台のミュージカルはずっと気になっていたので、昨年の第一部は期待して見に行ったが、あまり面白くなかったので、第二部は見なくてもいいか、と思った。ロッテントマトでも批評家の評価は60%台と、悪い。でもまあ、やっぱり結末を確かめたいと思い、見に行った。

前後編合わせて4時間半だけれど、舞台がこんなに長いわけはないので、いろいろ水増ししてるのか、やはりイマイチ。オズの魔法使いの欺瞞や悪政に気づき、正義を貫こうとするエルファバと、周りに好かれることを第一に考え、体制に迎合するグリンダを対照的に描き、善をなそうとするエルファバが悪とされてしまう中で、グリンダが変化していくのだけれど、この2人の変化があまりうまく描かれていない。ミュージカルシーンもわくわくするようなところがあまりない感じで、アカデミー賞で完全無視されたのもうなづける。

魅力的になるはずの人物たちが、役者の名演にもかかわらず、魅力的になってないという。

元祖「オズの魔法使い」原作とMGMの映画化とつながるあたり、ライオン、ブリキ男、かかしの来歴とか、魔女の側から描かれる元祖のシーンとかは面白いけれど、これはもとの舞台のとおりなのだろう。誰がかかしになるかは予想できてしまった。原作では銀の靴をMGM映画化では赤いルビーの靴に変えてしまったが、こちらでは銀の靴のままになっている。また、MGM映画では省略されたブリキ男の来歴と、「ウィキッド」の来歴を比較するのも面白いかも。

というわけで、一応、見ておいてよかったとは思うけれど、やっぱり舞台を見ないとだめなんだろうな、と思った。

11月下旬から来ていたという白鳥、3月1日に見たのが最後になった。3日が雨なので2日にいなくなるだろうと予想はしていた。その前の週の3連休の翌日からいなくなって、もう戻ってこないだろうと思っていたら、そのあと3日間戻っていた。でも、その3日間はせっせと餌を食べていて、出発の準備をしている感じだった。

最後の日の白鳥。観察舎の窓からと、遠方からのラストショット。



河津桜は散り始めている。




金曜日、映画に行く前に立ち寄ったとき、ダイサギを撮っていたら、魚をくわえるカワウが偶然写った(右端)。


その部分を拡大。


冬鳥が去ると、いよいよ春本番。

2026年3月4日水曜日

TOHOシネマズ大混乱

 昨日は週末の映画スケジュールが決まる日なので、午後にTOHOシネマズにアクセスしたら、全然つながらない。どうもこの日はTOHOシネマズの会員制度が変更になる日で、それでシステムがダウンしてしまったようだ。映画を見たいのに予約ができず、困る人多数。

すでに会員である人もログインして手続きしないといけないというので、さっきやってみた。いろいろ同意した上、パスワードも変更しないといけない。そして、会員ページを見てもポイントがどうなっているのかわからない状態。

先月TOHOシネマズへ行ったので、ポイントが印字された紙を持っているが、あと1回見ると無料回になる。

実は、会費が300円から500円に値上げなので、どうしようか迷っていたが、あと1回見れば無料なら、とりあえず1年は更新するか(更新期限が迫っている)。

最近、すっかりTOHOシネマズに行かなくなっているのは、ここでやる映画のほとんどが歩いて行けるユナイテッドシネマで見られ、しかもユナイテッドシネマはシニア会員料金が1100円。最初に会員になったMOVIXがシニア1400円になってしまったので、もうユナイテッドシネマ以外あまり行かなくなってしまった。

だが、「ブゴニア」とか「センチメンタル・バリュー」とかはTOHOに行かないと見られなかった。とはいえ、年に数回程度だったら会費払ったら損かもしれないので、その辺は考えないと。

しかし、TOHOシネマズがこんなめんどくさい設定になるとは。他のシネコンはどうなるんだろう。


写真は市川コルトンプラザのTOHOシネマズ。一番よく行くのは流山おおたかの森だが、ここや船橋も思い出が多い。でも、最近行ったのは、流山以外では昨年末の日比谷くらいで、他は行ってない。そもそもTOHOは昨年春に行ったあと、年末の日比谷までまったく行ってなかった。上野や日本橋はすっかりご無沙汰している。

2026年3月2日月曜日

もつが少なすぎるもつ鍋スープ

 府中と中山の競馬場に出店していたお蕎麦屋さんが、中山は年末に、府中は2月下旬に撤退してしまい、そこのおいしいもつ煮を二度と食べられなくなってしまった。

中山はかわりの蕎麦屋が出店していて、もつ煮もあったけど、どうなんでしょ。

そのもつ煮がなつかしくて、スーパーでもつ煮の総菜を売ってると買ってしまうんだけど、どうもおいしくない。やはり専門店とは違う。

昨日はこのもつ煮スープが半額になってたので、買ったけど、もつがものすごく少なくて、ほとんどスープにお金払ったみたいだったので、がっかり感がすごかった。


この商品、すでに販売終了のようです。スープもイマイチだったしね。

そういえば、昔、この手のもつ煮スープ、298円くらいで売っていて、みそ味を時々買って、野菜を入れて調理して食べてたな。あの頃はもつもたくさん入っていた。今は398円もして、もつはものすごく少ない。ほとんどスープ。

先週、水曜日が雨で、その前の火曜日から3日間、白鳥がいなくなっていたのだけど、金曜に戻っていた。4羽が3羽になっていたが。


カワセミが魚を取った写真が撮れたよ。



しかし、今週は火曜が雨みたいなので、白鳥はまた去っていってしまうだろうか。そろそろ北に帰る時期でもあるし。

2026年3月1日日曜日

「嵐が丘」の映画化は成功しない

 と、私が10代のころには言われていた。

ワイラーの旧作でさえ、原作に比べたら相当劣ると言われていた。

70年代初めのティモシー・ダルトン主演の映画なんざ、ヒースクリフが狼男みたいだと言われ、こんなのを公開するくらいならブニュエルの「嵐が丘」を公開してくれ、という声もあった。

そのブニュエルの1953年のメキシコ映画「嵐が丘」は日本では87年に公開された。当時住んでいたところから歩いて行ける三百人劇場でブニュエルの特集上映があり、そこで「嵐が丘」を含む数本を見た。その翌年には日本を舞台に翻案した「嵐が丘」が公開された。

90年代に入ると、それまでの映画化では省略されていた原作の後半も描いたレイフ・ファインズ主演の「嵐が丘」が登場。そして、ジャック・リヴェットの86年の「嵐が丘」も公開された。

このあとは2011年製作のヒースクリフを黒人にした「嵐が丘」が、日本では去年、特殊上映みたいな形で公開されたらしいが、これは見てない。そして、次が今公開中のエメラルド・フェネルの「嵐が丘」。


確かに「嵐が丘」は映画化がむずかしい小説で、原作の後半を映画がカットしてしまうのは、こちらも描いて映画として面白くするのがむずかしいからだろう。しかし、ここがないと、ただの恋愛メロドラマになってしまう。

また、ダルトンのヒースクリフが狼男みたいだと言われたけれど、もともとヒースクリフはフランケンシュタインの怪物などと同じノーブル・サヴェッジ=高貴な野蛮人なので、狼男みたいなのはまんざらはずれではないし、今回のフェネルの映画でフランケンシュタインの怪物役ジェイコブ・エロルディが起用されたのもうなずけるものはある。

しかしだね、今回のフェネルの映画は予告編を見て、こりゃだめだ、と思った。なんか、トーニャ・ハーディングとフランケンの怪物の恋愛みたいで、この2人なら「ザ・ブライド」やった方がよいんじゃね、と思ってしまったよ。


しかも、アメリカでは批評家には評判悪いが、観客には大受けだという。そして、欧米では女性に大人気で、映画館の客はほとんど女性だと。

日本で冬ソナが大ヒットしたとき、実は日本にも昔はこういうメロドラマがあったけれど、いつのまにかなくなってしまい、それで冬ソナが受けたのだ、という分析があって、確かに「嵐が丘」みたいなラブストーリーは今はほとんどない。だから受けたのか?

ただ、日本では、近隣のシネコンは全然予約がなく、日比谷みたいな都心部でもガラガラなのだ。たぶん、日本の女性には受けない。原作は受けているけど、この映画は無理。

とにかく「嵐が丘」は原作の前半をそのままラブストーリーとして映画化するか、ブニュエルみたいに大胆に改変して別の話にしちゃうかしかないので、原作を変えること自体は別にいいと思うのだが、フェネルの映画は小手先の変更はたくさんやってるが、肝心の部分はワイラーの映画などと同じ、一心同体の男女のロマン的愛で、でも、その描き方がなんだかなあ、なのである。

エロやグロの要素も入っているけど、正直、退屈だった。なんか、美学が感じられない。フェミニズムが入ってるかと思ったけれど、それもない。現代的な解釈ってわけでもなく、テーマは原作と同じで、それがうまく描けてないというか、一心同体のロマン的愛が、やっぱり映画だとどうしても描けないのだよね。

ネリーが中国系、リントンが中東系の俳優みたいなのだが、この映画ではどちらも少し悪役的な人物になっていて、そういう人物を欧米系の白人以外の人種の俳優にするのはどんなものなのだろう。主役の2人は欧米系の白人なんだが。

私自身は「嵐が丘」の原作の熱烈なファンではないので、原作と比べて怒り、とかはなかったが、それよりドラマとして退屈なのが困った。久々に金と時間返せと思ったよ。