2021年4月23日金曜日

38年ぶりの「戦場のメリークリスマス」

 4K修復版が公開中。


実は試写状をいただいていました。でも、映画館での大規模公開は今回が最後ということで、映画館へ。真ん中の小さいものは入場者プレゼントのステッカー。裏返しで渡されたので、何種類かあるのかな。シネコン・ウォーカーが久々に置いてあった。

初公開のときに新宿ミラノ座で見て以来なので、38年ぶり。

確か割引の日だったのですごい混雑で、行った回はすでに立ち見だったので、外で2時間半くらい並んで次の回を見ました。その話はキネ旬の新宿ミラノ閉館特集で書いています。

4K修復版ということで、映像はきれい。そして、音響がいいことで有名なMOVIXで見たので、音がよかった。あの有名なテーマ曲はもちろん、バックに小さい音で流れる音も電子音楽であることがはっきりわかり、YMOをなつかしく思い出したり。

出演者は全て男、と書いてありますが、セリアズの回想シーンには女性が何人も出てきます。

セリアズのヨノイへのキスですが、両頬にキスしていて、あれは欧米ではあいさつのキスだけど、ヨノイには衝撃的だったのね。

それにしても、セリアズ役はデイヴィッド・ボウイ以外には考えられないけれど、最初はロバート・レッドフォードだったらしい。でも、レッドフォードだとアメリカ人にしか見えないと思うのだが。ボウイのあの硬質な美しさが成功の鍵だと思います。

2021年4月17日土曜日

監督は男だった「アンモナイトの目覚め」(ネタバレあり)

 メアリー・アニングのことは大雑把には知っていた。そのアニングをケイト・ウィンスレットが演じ、シアーシャ・ローナンが共演する「アンモナイトの目覚め」。


アニングが若い女性シャーロットと出会い、レズビアンの関係になる、という、「燃ゆる女の肖像」みたいな話なのだけど、見ていて、いろいろ違和感があった。
アニングの私生活についてはあまり知られていないらしく、この映画の物語は完全な創作らしい。「燃ゆる女の肖像」は映画としてきっちりと作られていて、物語や人物描写、そして結末など、どこも納得できる出来栄えだったが、こちらは次々と疑問が頭に浮かんだ。

子どもを失ったことから心の病に陥ったらしいシャーロットだが、彼女が病気で寝込み、アニングの看病で治ったあと、それまでの心の病はどこへやら、人が変ったみたいに元気な女性になっているのも不自然だし、夫に見捨てられたからアニングとレズビアンの関係になるみたいな設定も、同性愛は何か原因があってなるものだという偏見そのもので、それって20世紀までの映画のやり方だろ、と突っ込みたくなる。

貧しい労働者階級の女性であるために学会での活躍を封じられたアニングだが、映画は男性社会に受け入れられない女性を描くのではなく、おもに階級の違いを描いているように見えた。

貧しい生まれながら化石発掘の才能を持ち、泥だらけになって化石を採集するアニングと、いかにも中産階級のお育ちのよさが際立つシャーロット。化石を値切ろうとする紳士に対し、何も言えないアニングに対し、シャーロットはその教養の高さで紳士を説得する。
中産階級の紳士淑女が集まる音楽界で、まわりとうちとけるシャーロットと、なじめないアニング。シャーロットの家を訪ねたとき、メイドに裏口へまわれと言われるアニング。

学会での活躍を封じられていたとはいえ、研究者には大変尊敬されていたことはシャーロットの夫マーチソンのせりふでもわかるが、化石採集で名をあげても貧しい生活の中で粗末な服を着て、見るからに労働者階級とわかってしまうアニングと、中産階級の淑女であるシャーロットや近所の女性エリザベスとの間の階級格差が描かれる。

コンセプトが古いと感じたものの、それ以外では何の不満もない「燃ゆる女の肖像」に比べて、この映画は違和感がいっぱいだった。
「燃ゆる女の肖像」はレズビアンの女性監督だったが、「アンモナイトの目覚め」も女性監督なのだろうと思っていたのだが、

なんと、男だった。

最近は映画からやや離れ気味なこともあり、今の監督や俳優にも疎くなっているのだが、フランシス・リーって名前で女だと思っていたのだ(お恥ずかしい)。

ああ、そうか、男だからなんだ、監督が。

それがわかると、女同士の裸のラブシーンがリアルに描かれたときの違和感もわかる。なんか、男性向けの百合?

男社会からはじき出される女性、というテーマよりも、女性同士の階級格差を描いたわけもなんとなくわかる。

そして、アニングやシャーロットとその夫やエリザベスについて調べてわかったこと。

シャーロット・マーチソンはアニングより10歳くらい年上。夫ロデリック・マーチソンとともに地質学者として有名で、若い頃は夫と調査の旅行をよくしていた。夫が妻をアニングに預けたのも、化石収集を学ばせるためだったそうだ。これが縁でアニングとシャーロットは親友になった。
また、夫のマーチソンはシャーロットより年下で、地質学者としてはナイトの称号を受けるほど有名。彼の功績には妻の内助がかなりあったとか。

近所の女性エリザベス・フィルポットはアニングより20歳くらい年上。化石収集や軟膏の製造をしていた。アニングが子どもの頃からの知り合いで、アニングに文化的な指導を与えたりしていたらしい。この2人も親友だった。

映画ではエリザベスはアニングの元恋人となっているが、アニングには男性との恋愛歴がないけれど、彼女のセクシュアリティについては何もわかっていない。異性との恋愛歴がないからといって同性愛とは限らない。
だから、エリザベスもシャーロットもアニングの親友だけど、この映画のようにレズビアンの関係にあったかどうかは不明というか、10歳くらい年上のシャーロットを年下にしたり、地質学者で鉱石や化石の収集をしていたことをなかったことにしている時点で、これは創作と見ていいのではないかと思う。

しかも、シャーロットやエリザベスも泥んこになって化石収集していたわけだから、貧しい労働者階級のアニングだけが泥だらけになって、という設定が崩れるなあ、これ。

もともとこの映画は「真珠の耳飾りの少女」の原作者の小説が一番最初にあったらしい。
その小説はアニングとエリザベスが女性の研究者を排除する男社会と戦うというストーリーだそうで、これの映画化権をプロデューサーが買い、その後、紆余曲折があって、この映画になったようだ。この小説の映画化ではなく、アニングを主人公とする別の話になったわけ。

とまあ、いろいろわかってきたんだけど、調べれば調べるほどなんだかなあの映画になっていきます。

2021年4月13日火曜日

「パーム・スプリングス」、&対面授業その2

去年はオンライン授業がものすごいストレスだったのだが、今年はこのコロナ感染拡大のもとでの対面授業がものすごいストレス。

1日4時間しか眠れないというのが3日続き、明日は別の大学の対面授業初日、という日に、ああ、もう、映画でも見に行こう、と決意。

「パーム・スプリングス」。評判のいい映画なのでタイトルは覚えていたが、内容は全然わからない(チラシを読んだはずなのだが)状態で見た。

面白かった。

同じ1日を何度も繰り返す男女が主人公で、眠るとまた同じ日に目覚める。でも、目覚めた1日は毎回同じではなく、少しずつ変化していく。その間に、さまざまな人間関係が見えてくる。

脚本もよいのだが、映画というのはすべてを見せないわけで、その、見せない部分があとでわかることで謎が解き明かされていく、その映画らしさがみごとに決まっている。

死んでもまた同じ日に目覚めるので、主人公たちは何度も死ぬというか、おもに自殺なんだけど、「鬼滅の刃」みたいに何度も自殺するのが当然、年齢制限にひっかかる。

最後もなんとも不思議な終わり方で、一番最後のシーンがまたウィットに富んでいる。

これを見たらすっかり元気になり、その夜はよく眠れて、翌日は元気に大学へ行った。

先週とは違う大学で、こちらの方が感染対策はよい。100席の教室に35人の学生。どちらの大学も教室の定員の3分の1の学生を入れる、と言っていたが、この大学は守っていた。

一方、同じく3分の1にすると言っていた先週の大学は後で調べてみたら68席の教室に40人入れていることが判明、ふざけんな!(というわけで、この密な大学は対面授業を大幅に減らすしかあるまい。)

先週の大学は感染対策がかなりひどいのでは、と思っていたが、今週の大学を見て、やはり先週のはひどかったのだとわかった。

とはいっても、今週の大学のように比較的よいところでも対面授業は危険だと感じた。

先週の大学はオンラインにしてもいいので、オンラインを増やそうと思うが、今週の大学は対面強制。どっちもどっちだ。

とりあえず定年までは非常勤講師で食いつないで、と思っていたのだけれど、その非常勤講師がこんなに危険な商売になるとは思いもよらなかった。もっといろいろな仕事をしているべきだったなあ。

2021年4月10日土曜日

あちこちの花

 ソメイヨシノが散って、いろいろな花が咲きだした。

近所の公園。





都内。



近所。上の桜と同じ種類で、緑からピンクになる。

八重桜が満開。


八柱霊園はハナミズキと八重桜。






2021年4月9日金曜日

密な対面授業に行ってきた。

昨日は1年ぶりの対面授業。行ってみたら、後ろに立っている学生がびっしり。

机は1人おきに座るようになっているが、着席禁止席にも座っている。

この授業は定員40名なのだが、毎年、3倍から4倍の倍率があり、多くの学生が抽選で涙を呑んでいる。

なんで倍率が高いかというと、楽に単位が取れる楽単だと思われているからで、一部、本当に受講したい学生が落ちてしまい、苦情を言われるのだが、非常勤講師の私にはどうしようもない。

学生から聞いたら、今年は倍率2倍から2・5倍くらいらしい。去年、オンライン授業で英語を読ませたので、多少は楽単でなくなったのかも?

とにかく40人定員なのに100人くらいいるので、授業にならないし、半分以上落ちるのだから聞いてもしょうがない学生もいるわけ(落ちるからもしれないから1回目は来ない、という学生もいる)。

というわけで授業は来週からとして、希望する学生だけに映画上映会。帰ってもいいよ、と言ったらほとんど帰ったので、密は解消。

来週からは抽選で40人になるが、それでも密な感じだ。その大学は今年度から新校舎になり、旧校舎に比べ、教室が狭い。別の非常勤で行ってる大学も10年くらい前に新校舎になったが、やはり旧校舎に比べて教室が狭くなっている。それでもそっちの大学は天井が高く、窓も開けられるので、この大学よりはマシかもしれない。

この大学は、前の校舎なら教室が広々、机もゆったり置かれ、天井も高く、窓を開けられたので、旧校舎ならもっと安全に授業ができたかもしれないが、新校舎は教室だけでなく建物自体が狭くて余裕がない。外から見ると高層ビルでおしゃれかもしれないが、中は旧校舎の方がよかった。

とにかくそんな具合で、対面授業が始まったが、ツイッターで「大学 対面 密」で検索すると、あちこちの大学が密、超過密になっていることがわかる。

教室はなんとか人数制限しても、学食や廊下が密、一部オンラインにしても対面があるのでほぼ全員が通学、対面の合間に教室でオンラインを受けるとそれが密、そして、満員電車が怖い、といったツイートがある。

すべて予想されたことだが、ネットでつぶやいているだけなので、マスコミや一部保護者のオンラインバッシングには勝てない。あっちは文科省もついている。

去年は感染でバッシングされたくないからオンライン授業。

今年は対面やらないとバッシングされるから対面。

そして、やっぱり、対面少ないと文科省からお金もらえない恐れがあるのですよ。

オンライン授業だと、保護者から授業料返せと言われ、文科省からは補助金出ない、と。

クラスター発生は時間の問題なのですが、感染者情報とか出さない大学も目に付くなあ。前は出してたのに、今は出さないとか。ある大学は毎月初めに今月は0人と出して、あとは累計しか出さないのを見て、なんじゃこれは、と思いましたです。

大学では体調不良なら休めと言ってるので、私もそう言うつもりですが、学生たちを見ていると、ほとんどの学生はあまり気にしてない、感染拡大中だとも思ってないみたいに感じました。ソーシャルディスタンスなんて全然ありません。来週はフェイスシールドと手袋をしよう。マスクはすでに二重にしてますが、講師でマスク二重の人少ししかいなかった。事務員なんか鼻出しマスクだったし。あと、手指消毒の液が建物の入口にしか置いてない、全然感染対策してない、意識低い、と思います。でも、これが世間の標準なのかもしれない。

大学院にいたとき、唯一就職の話があった岡山大学に就職していたら、コロナの前に定年退職していたのになあ、と時々思います。もしも就職していたら、映画評論や翻訳の仕事はなかったけれど(当時は首都圏に住まないとむずかしかった)、今は映画評も翻訳もなく、生活のために大学へ授業に行くという危険なことをしなければならないのだと思うと。。。授業もだけど、都心から引っ越してから通勤時間が半端なく長くなってるので。

正直、大学に比べたら映画館は安全だと思いました。

2021年4月3日土曜日

15アンペア

うちはエアコンがないのでずっと15アンペアだったが、今の団地の部屋は30アンペアだったので、ずっと、15アンペアに替えたいと思っていた。

でも、エアコン買うかもしれないし、と思い、替えずにいたのだけれど、引越してからもう5年半。その間、基本料金を合計3万円近く余計に払っていた。

そして、昨年秋から隣に引っ越してきた人のエアコンがうるさくて、しかも夜中ずっとつけていたりするので寝れないくらいうるさかったので、エアコンの騒音について調べたら、最近のエアコンは昔よりうるさくなっていることがわかった。

特に自動お掃除機能がうるさいらしい。

買ってから2,3年で相当うるさくなるとまで書いてある。

隣のエアコンがうるさくて引っ越そうと考えていたこともあり(春になって騒音はなくなったが、夏が心配)、もうここではエアコンは買わないことに決めた。

となると、15アンペアで十分。

というわけで、さっき、東電の人に来てもらって取り替えてもらいました。

長年なじんでいたピンクのアンペアブレーカーになると思ったら、なんか黒いものをつけていったのですが、スマートメーターとかいうやつで、順次これに付け替えているらしい。この機械でアンペア数を設定するそうな。

新しいものだから不具合とかないのかねえ、ちと心配。

東電は、今月から紙の検針票をくれなくなる、というので、えええ、と思ったのが、そもそもの始まりでもあったのですが、電話すれば従来の紙の検針票はもらえるし、それで支払いもできるとのこと。

でも、電話しないと、検針票は来ないわ、支払いはスマホでしろと言うわ、ええかげんにせえや、東電!

スマホ持ってない人は銀行振り込みやクレジットカード支払いにするか、あるいは電話して紙の請求書くれと言うかなのです。

このとき思ったのは、

めんどくせえ、もう、東電やめてガス会社の電気にしようかな。

でもガス会社の電気だと30アンペアからなんだよね。15アンペアにして節約しようと思ってるのに。

で、調べましたが、その過程で、アンペアの変更申し込みもネットでできることを知り、アンペアを変更することに。

そして、紙の検針票・請求書もネットで申し込めることがわかりました。

このサイトの下の方で教えてくれます。

東電のweb検針票への移行(紙の請求書廃止)が不評である3つの理由 - ビジネスコンサルティングの現場から (yoshida-ri-blog.com)

このサイトを読むと、web検針票を見るのには毎回個人情報を入力しないといけないと書いてあります。めんどくせえ。

電話でももちろん、紙にしてもらえますが、平日の9時から5時までとかなんで、ネットで申し込めるのはとても便利。チャットで申し込むのですが、チャット未経験の私でもすぐに申し込めました。

紙だと有料になるコースもあるようなので、いずれ有料にするのだろうか。東電離れがますます進みそう。

追記

その後わかったのだけど、検針票の継続を電話で依頼すると、相手はロボットで、こっちの言葉が聞き取れなかったりいろいろ大変らしい。途中であきらめた人もいるとか。

また、料金の請求は相手がスマホを持っているという前提で請求するので、ガラケーの人はどうしていいのかわからないとか。こちらは電話でしか振込用紙を請求できないらしい。こっちもロボットなんだろう。

例のチャットで「振込用紙の継続」と入力して申し込んだら、申し込みを受け付けました、と出たけど、もしかしてだめなのかもしれない。検針票と一緒に振込用紙も申し込んだはずなのに検針票にスマホで払えと書いてあった、どうしたらいいの?と書いている人もいた。

わけわかめで困った高齢者が東電の事業所まで行って、やっと払えたとか。

どうしたらいいかわからないで2か月たつと電気が止まるので、わからなかったら事業所行けってことですね。一応、一番近い事業所の場所を確認したわ。

しかし、こういうやり方で、冬の寒いときや夏の暑いときにわけわかめな高齢者が電気を止められ、寒さや熱中症で亡くなって初めて問題化するのだろうか。

うーん、やっぱり、30アンペアのまま、ガス会社の電気にした方がよかったかもしれない。

なんにしろ、紙の検針票は絶対に捨ててはいけません。これがないと何もできなくなるよ。

2021年4月2日金曜日

その後の桜

 ソメイヨシノは桜吹雪となり、他の種類の桜が咲き始めた。









散っていく花弁が写っている。