アカデミー賞最有力といわれながら、「英国王のスピーチ」に負けたデイヴィッド・フィンチャー監督の「ソーシャルネットワーク」をDVDで見た。
感想はひとこと。
だからどうした?
フェイスブックの創始者が実際はどういう人だったかは知らないし、最後の字幕にあるように、かなりのフィクションになっているのは明らかなようだけど、そのフィクションが、どうにも面白くない。
ハーバード大学の学生マークは女子大生にふられ、腹いせにハッキングした女子学生の写真を集めて、どっちが好きかコンテストを始め、それがきっかけでフェイスブックを創設、これが大ヒット、という話。
まあ、それはいいんですけどね。いかにも頭はいいけど心がガキな名門大学の学生って感じで。自分をふった女子からは、「あなたがもてないのはオタクだからじゃない、いやなやつだからよ」と言われたのがきっかけなんですが、確かにいやなやつです。自分が名門のハーバードで、女子大生がそれよりはレベルの低いボストン大学だからとばかにし、女子大生がドイツ系だからだとかなんとか言い、彼自身もWASPじゃないわけですが、まあ、WASPのお金持ちのハーバード大生なら、頭で思っても口には出さないよね(彼にフェイスブックのアイデアを持ちかける学生がこの毛並みのよいタイプで、そういう比較はよく出てますが、いかにも紋切り型)。
とにかく、そういう天才だけどいやなやつ、マークがたまたま考えたアイデアが大成功したという話なんですが、どこが面白いんだ? 最後に、訴訟で大金払って和解に応じることにした主人公が、「あなたはいやなやつじゃない、そのふりをしているだけ」と言われて、最初に女子大生に言われたこととここが呼応するわけですが、あまりに予定調和なんで、げんなりします。
この映画を見て、なんかすごいとか思っちゃう人って、要するに、こういう世界に疎い人なんでしょうか。あるいは、若者をばかにしているとか?
マークも他人をばかにしているけど、マークをこういうふうに描いたり、ネットの世界をこんな程度の話にしたりする人も、若者やネットをばかにしているんじゃないだろうか。
私は「英国王のスピーチ」も保守的な面があると批判的なことを書きましたが、それでも、オスカーはこっちへ行ってよかったと本気で思います。「ベンジャミン・バトン」といい、この映画といい、フィンチャーは世間受けする普通の監督に成り下がったように思います。
追記 映画館で見たら、DVDで見るよりはよく見えただろうとは思うけど、それでも、基本的なところは変わらない気がする。
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