今関あきよし監督の映画「カリーナの林檎~チェルノブイリの森」という映画を見ました。
公式サイト
http://kalina-movie.com/top.html
試写会には今関監督と三留まゆみ氏があいさつに来ていましたが、自主映画なので宣伝費の捻出もままならないそうです。というわけで、とりあえず、これを読んだ方で興味を持った方はご自身のブログでもツイッターでも宣伝を。
この映画は今関監督がチェルノブイリ原発事故の被害を受けたベラルーシを訪れ、2003年に劇映画として完成させたのですが、日本公開が実現せず、お蔵入り状態になっていたところ、今年2011年が事故からちょうど25年ということで、この年に公開しようと、昨年、チェルノブイリ原発の近くなどで追加撮影、今年に入って公開の準備をしていたところに起こった福島第一原発の事故。これでまた公開延期になりそうなところだったのを、やはり今、公開しなければ、ということで、11月から東京、大阪、福岡での公開が決まったようです。明日17日には大阪で特別上映会があるそうです。
ベラルーシといえば、先だって、ロシアのホッケーリーグKHLのチームが乗った飛行機がロシアで墜落した事故があり、そのチームが向かう予定だったベラルーシの首都ミンスクで、チームを追悼するセレモニーが行われたことを、このブログでも紹介しました。
チェルノブイリはウクライナですが、ベラルーシとの国境のすぐそばで、ベラルーシも深刻な放射能汚染の被害を受け、危険地域からは住民が避難。その後、放射能が原因と見られるさまざまな病気が発生しているのは、テレビのドキュメンタリーその他で報道されています。
映画では、小学校3年生、8歳の少女カリーナが、汚染地域から首都のミンスクへ移住しているのですが、父親はモスクワにいて帰れず、母親は放射能が原因と見られる病気で入院中。カリーナは母親の弟である叔父の家に引き取られていますが、叔父といとこの少年はカリーナに同情的なのに、叔母は自分に対して心を閉ざすカリーナにいらだっています。また、カリーナの母親の医療費がかかって大変だという話も出てきます。
カリーナの故郷は汚染地域ですが、カリーナの祖母はそこに住み続けています。カリーナは祖母が大好きで、よく祖母の家に遊びに行きます。そこでとれた林檎やキノコをミンスクの家に持ち帰ると、叔母がゴミ箱に捨ててしまうこと、祖母のいる場所は人が非常に少なく、半ばゴーストタウンになっていること、やがてカリーナも病に侵され、首に包帯を巻いていることから、甲状腺の癌であることが察せられます。
これらのシーンは非常にさりげなく描写されていて、特に説明もないため、福島原発事故の前だったら、説明なしにすべて理解できただろうかと思います。ベラルーシの風景はとても美しく、放射能という毒が撒き散らされていることは目には見えない。
日本がチェルノブイリ周辺と同じか、もっとひどい状態になってしまってから見ると、この映画は牧歌的で美しすぎる感じがしないでもありません。でも、「チェルノブイリの街には悪魔の城があって、毒を撒き散らしている」というおとぎ話のような表現は、現実的。
関連動画
「カリーナの林檎」現地取材ドキュメント
http://www.youtube.com/watch?v=qrp0NF2skKo
今関監督、福島原発へ
http://matome.naver.jp/odai/2130135738661742901/2130264328677517203