木曜日は長い1日だった。
午前中、アマゾンで買ったDVD「情欲の悪魔」を見る。
1920年代から30年代にかけて人気のあった歌手ルース・エッティングの実話の映画化、だけど、見たあとウィキペディアで調べたら、実際とはかなり違うようだった。
映画自体は非常に見応えがあって、面白かった。ルースと彼女の後押しをしたスナイダーは愛のない結婚をしていたように描かれているけれど、実際はそうではないのではないかという気がするし、映画ではルースは最初から同世代のピアニストを愛しているように描かれているけれど、実際はピアニストは10歳くらい年下で、出会ったのは結婚してだいぶたってから、しかもピアニストも既婚者で、ダブル不倫。昔のハリウッドではこのまま映画化は無理でしょう。
アカデミー賞にノミネートされたというジェームズ・キャグニーの演技が秀逸で、妻がどんどん有名になり、自分が取り残されていく悲哀をみごとに演じている。ドリス・デイの歌もいい。いかにも当時のハリウッドの映画で、今だったらこういう描き方にはならないだろうな、とは思うけれど、そういう時代の作品として見れば十分面白い。ドリス・デイの名前が先に出てるけれど、最後はキャグニーがいいところを持っていってしまう。
午後は片道2時間半近くかかる某大学での授業。この大学、年々、学生のレベルが下がっていて、ため息が出てしまうようなことが多くなっている。
授業が終わるともう7時で、現地の松屋で夕食をとる。
そのあと、1時間ほどかけて銀座へ移動。TOHO日比谷でレイトショーを見る予定だけど、時間があるので銀座のベローチェでコーヒーを飲む。
レイトショーは9時45分から。9時半に着くと、「ボヘミアン・ラプソディ」の応援上映が終わったところらしく、以前、日本橋の応援上映に来ていたコスプレの人たちがいた。日比谷の応援上映は毎週木曜の夜に行われているが、チケットはすぐに完売してしまうようだ。
レイトショーで見たのは「名探偵ピカチュウ」。実は水曜のレディースデーにもここで見ているので、2日連続日比谷で「名探偵ピカチュウ」。
なんでそんなことになったのかというと、日比谷は木曜まで最大スクリーンのプレミアムシアターで上映。ならばそこでぜひ見たいと思い、水曜の夕方を予約。で、ここのプレミアムボックスシートに座ってみたい、と以前から思っていたので、そこを予約して、シネマイレージでポップコーンとドリンクを無料でゲット。まあ、ちょっとしたぜいたくをしてみたかったわけです。
日比谷のプレミアムシアター、「ボヘミアン・ラプソディ」を2回見ているけれど、「名探偵ピカチュウ」を見たら、スクリーンをフルに使っている上映だと気づいた。
大きなスクリーンでもフルに使わず、上と下に黒い部分が出ているところがけっこうあるのだけど、ここは上から下までフルに使って上映していたのだ。
このスクリーンの大きさ、映像のよさ、音響のよさ。これが明日の木曜までだなんて、絶対もう1回見たい! でも仕事が。じゃあ、レイト見るか、って具合でレイトになったのです。
9時45分開始だと終わるのは11時45分で、都心に住んでいたときなら12時半までには帰れるけど、今の郊外では帰宅は午前1時、それも終電ぎりぎりになるのですが、どうしてもここでもう1回見たいと、見ることを決意。
木曜はもちろん、普通の席だったけれど、普通の席の方が音響いいし、見やすかった。
「名探偵ピカチュウ」、映画としてはあまりたいしたことはないのだけど、とにかくピカチュウがかわいい。金曜からIMAXで始まるけど、こっちは3Dなので見る気がしないし、2Dだと大きいスクリーンは木曜が最後なので、木曜はピカチュウのかわいい表情中心で見ました。
でもって、最後の「ミュウツーの逆襲」の予告が始まったところで外へ出て、エレベーターで地下へ降りて地下鉄の駅へ。地下鉄に乗ってから自宅に着くまでなんと52分。こんなに早く着けるとは思いませんでした。
スクリーンをフルに使う、といえば、火曜日にキネマ旬報シアターで「翔んで埼玉」を見ましたが、ここは古いタイプの映画館で、横長の画面の映画を上映するときはスクリーンが横に広がる。つまり、縦は上から下までフルに使い、横が広がるというスタイルです。シネコンだと横に合せて上下は黒い部分ができるところが多く、キネ旬シアターのようなスクリーンをフルに使うタイプはめずらしかったので、大いに感動。そして翌日、日比谷のプレミアムシアターがやはりフルに使っているのを見て、さらに感動、木曜日も行くはめになった、というわけ。
キネマ旬報シアターは柏なので、「翔んで埼玉」の柏の盛り上がりを期待しましたが、お客さんが少なかったせいかまったく盛り上がらず。幕張新都心の方が盛り上がってました。うーん、残念。
火曜日は都心で「COLD WAR」の試写を昼間に見た。「ROMA」とアカデミー賞はじめさまざまな賞を争った映画で、「ROMA」と同じくモノクロの映像が美しい作品だけど、これに比べたら「ROMA」はわかりやすい映画だなあと思った。
「COLD WAR」は冷戦時代のポーランドの男女が愛し合いながらも別れたりすれ違ったりしていく話で、省略が多いので話がどんどん飛躍していくような作り。東側の抑圧的な体制だけでなく、西側の商業主義によって芸術がだいなしにされることも描いている。この辺、社会派ドラマとしては紋切型の感じもするけれど、この映画の見所はむしろ、ヒロインの生き方かなあ、と思った。
なんというか、男から見て理解しがたい女の生き方、みたいなのが描かれている感じがするのだ。
こういうの、わりと古いんじゃない?と思わなくもないのだが、それでもヒロインは魅力的で、本音をズバズバ言ったり、東側を見下す西側の女に対して反論したり、西側の商業主義にうんざりして東側に帰ってしまったり、(以下ネタバレ)そして男が彼女を追って東側に戻り、投獄されると、彼を助けるために権力のある男と結婚し、子供まで作り、でも、彼が出てくると子供はほっぽりだして彼と、みたいな展開で終わる。
なかなか一筋縄ではいかない映画なので、もうちょっと勉強したい。
というわけで、長い1日の木曜日。すでに日付変わり、今日はもう21時間起きている。