中学時代、一番好きなスターだったジェームズ・キャグニーの映画をテレビの洋画劇場でよく見ていたのだけれど、深夜の放送だったか何かで見られなかったのが「いちごブロンド」。
その後、見る機会もなく、DVDも気づいたらとっくに廃盤。一生見られないのかなあ、と思ったら、これが出ていました。
キャグニー演じる主人公が、好きな女性(髪がいちごブロンド)を友人にとられたばかりか、友人にだまされて無実の罪で刑務所に入る羽目になり、出所したあと、復讐の機会が訪れるが、という物語。
原作は舞台劇で、ゲーリー・クーパー主演の「或る日曜日の午後」のリメイクとのこと。
クーパーの方も、中学時代にテレビで見て好きだった「燃えつきた欲望」の入った10枚組セットに入っていることがわかり、ヨドバシカメラに買いに行く予定。
どうもクーパーの方は恋人を奪われた復讐のようだけど、キャグニーはいちごブロンドの女性とは相思相愛ではないので、友人にとられたこと自体はわりとすぐにあきらめるが、そのあと、企業家となった友人にだまされて刑務所行きになり、という、これは当然、復讐したいだろう、と思わせる展開。
キャグニーの演技はすばらしいし、いちごブロンド役のリタ・ヘイワースも溌剌として魅力的だけど、特筆すべきはいちごブロンドの友人を演じるオリヴィア・デ・ハヴィランド(彼女がヒロイン)。
彼女は「風と共に去りぬ」のメラニーがあまりにも有名だが、あの映画ではヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル、レスリー・ハワードの演技が際立ち、デ・ハヴィランドは抑えた演技なのであまり目立たない。むしろ、この映画や「真夏の夜の夢」(これもキャグニー主演)のデ・ハヴィランドの方がその演技力や演技の幅広さがよくわかる。この映画でも、自立したフェミニストの看護師として登場し、やがてキャグニーの献身的な妻となり、夫が刑務所入りしたあとはまた看護師として働くといった、清楚な美しさと生活力を持った自立した女性をみごとに演じている。
このほか、50年代のテレビの「スーパーマン」ジョージ・リーヴスが隣の大学生役で出ていた。けっこう大きい役。クリストファー・リーヴが登場するまでは彼こそがスーパーマンだったのだ(空っぽの部屋の窓から飛び出していく)。
ちなみに、クーパー版のいちごブロンドは初代「キング・コング」のフェイ・レイだそうで、楽しみ。
そして、なにより、この「いちごブロンド」という映画、今の私に必要な作品だった。
最近、昔のことを思い出してトラウマになり、私をひどく傷つけた人の言動がフラッシュバックとしてよみがえって、かなりつらい気分だったけれど、「いちごブロンド」を見たら、本当の幸せとは何かとか、復讐は神がやってくれるものだとかいった結末が今の私に必要なアドバイスになっていた。
最後に、映画の中でかかっていた歌をみんなで歌いましょう、と、歌詞が出てくるのが楽しかった。DVD見ながらひとり応援上映。ああ、コロナの前にはあんなに応援上映に行ったのに。