行ってきました、「屍者の帝国」アニメ映画の試写会。
公開が迫っているせいか、補助椅子を出すほどの盛況。
しかし、終わったあと、「わからない」という声が。
でしょうね。これ、原作読んだ人だけを対象にしている感じで、最後の部分なんか、原作知らない人にはさっぱりだと思います。
その一方で、原作もかなり変えていて、レット・バトラーなど、人物もかなり減らされてます(バトラーは出してほしくなかったので、出てこないのはよいのだが)。
ワトソンとフライデーのボーイズ・ラブ的アニメになってるのかな、と思いましたが、そこまではやってないので、消化不良だし。
死んだ親友フライデーをよみがえらせたい、というワトソンの欲望をメインにしているので(原作と違いすぎる)、結果、ケネス・ブラナーの「フランケンシュタイン」に近づいています。あの映画のクライマックス、死んだエリザベスをフランケンシュタインが女の怪物としてよみがえらせるシーン(原作にはもちろん、ない)。
ブラナーの「フランケンシュタイン」は最初から、死んだ愛する人をよみがえらせたいという感情が出ていて、この辺が原作と違ってましたが、こういう感情は観客に受けやすいので、映画ではよく使われます。でも、小説ではちょっと手垢がついてる感じがあるので、円城塔が完成させた「屍者の帝国」ではこうしたセンチメンタリズムは徹底的に排除されてます(そして、最後にだけ、ちょっと出てくるから効果的なんだが)。
というわけで、原作ファンのみを相手にしている映画ですが、原作ファンがこれで満足するとは到底思えないのです。