最近、ちょっと話題になっていたツイート。
ツイートの流れはこれなんだけど、
https://twitter.com/ShinShinohara/status/1408265676385521666
これって、男と女の問題じゃねーだろ、と思った。
なのに、日本語ではもっぱら男と女の問題にしちゃってるツイート多数。
いや、これ、言葉の問題だから。
で、ぐぐってみたら、元ネタは英語だった。
A wife asks her husband, a programmer, “Could you please go shopping for me and buy one carton of milk, and if they have eggs, get 6?”
A short time later the husband comes back with 6 cartons of milk and his wife asks, “Why did you buy 6 cartons of milk?”
He replies, “They had eggs.”
訳します。
妻がプログラマーの夫に頼んだ、「買い物に行って、牛乳を1つ買ってきて、もしも卵があったら6つ買って」
少しして、夫が牛乳6つ持って帰ると、妻が尋ねた、「どうして牛乳を6つも買ったの?」
夫は答えた、「卵を売っていたから」
さて、夫は妻の言葉をどう解釈したのか。
1 買うべき牛乳は1つだが、卵を売っていたら牛乳を6つ買うべき。
2 牛乳を1つ買う、卵を売っていたらさらに牛乳を6つ買う。牛乳は計7つ。(上のツイートで牛乳が7本になっていて、6本ではないかという突っ込みがあったが、このツイートは2の解釈をしたことがわかる。)
3 牛乳を1つ買う、卵を売っていたら6つ買う。何を6つ?
この3つの解釈を、英語でtranslationと書いているのが面白い。翻訳、なのだ。
このサイトによると、プログラマーはあいまいなところをはっきりさせないと何もできない、ということで、夫は何も買ってこないのが正解のようだ。
上のツイートの流れに、卵が店にあるとは限らないから、うんぬんとあるが、英語を見ると、明らかに店(they)が卵を持っていたら=売っていたら、となっている。「卵があれば」という日本語の方があいまい。
一方、日本語では牛乳は1本、2本、卵は1個、2個、あるいは1つ2つだから、曖昧回避できるので、このジョークは成立しない。
しかし、りんごなら成立するかも?(つか、牛乳6本だからバカだね、になるので、りんご6つだったら違ってくる。)
りんごを1つ買ってきて、もしも卵を売っていたら6つ。
さあ、これだと、6つはりんごかもしれないと、少しは思いませんか?
まあ、普通に考えたら、数字のあとの省略された名詞は直前の名詞だけどね。
もしも、get 6 if they have eggsだとどうなるだろう。
このジョークは要するに、プログラマーとかああいう理系の人たちは生活感覚を欠いていて、行間が読めないとか、そういうジョークなんだろうけど、プログラマーたちから見ると、あいまいなものがあると何もできないからこのジョークはおかしいということになるのだろう。
理系に対する文系の偏見というものが底にあるような気がするし、日本では理系=男だから男と女の話になっているのかな、とも思う。いずれにしろ、ある属性を持つ人々に対する偏見からなるジョークだから、気持ちのいいものではないわな。
逆に、女や文系はもっとわかりやすい言葉を使え、みたいな解釈も成り立つし(こっちも偏見)。
すぐに消してしまったみたいだけど、機械翻訳と人間の翻訳についてある翻訳家が書いたブログ記事があって、その機械翻訳と人間翻訳にも当てはまりそうな話で、たまたま同じ日に両方見たのは何かの因縁かもしれない。