2015年5月21日木曜日

「つまびらかに」と「ポツダム宣言」

安倍首相がまたやっちまったので、今度はポツダム宣言がトレンド1位とか、以前は日教組がトレンド1位になったのですが、ポツダム宣言は衝撃的で、もう英文記事が世界に発信されているようです(もう、ほんとに日本を滅ぼすよ)。(追記 なんと、欧米ではまったく報道されてないそうです。)
で、ポツダム宣言を読んでないからわからないというのも問題なんですが、私が気になったのは、「つまびらかに読んではいないので」という答弁。
「つまびらか」って、こういう使い方するのか?
調べたら、「つまびらか」はもともとは「つばひらか」または「つまひらか」なのだそうで、意味は「詳しく明らかなさま」ということなのだけど(この言葉、私は一応、知ってるけど使いません。私は執筆でも翻訳でも、シソーラスか何かで調べて見つけた言葉を使うということを絶対にしない。自分の頭から直接出てくる言葉しか使いません=だから翻訳家には向かないのだった)、文法的には形容動詞。おお、なつかしの形容動詞だわ!
で、用例としては、「真相をつまびらかにする」、「生死のほどはつまびらかでない」といった言い方。うん、納得!
が、「詳しく読んでいない」を「つまびらかに読んではいない」はやっぱり変だと思う。
「真相を詳しくする」、「生死のほどは詳しくない」という日本語が変なのと同じ。
文法的にいえば、形容動詞を間違って副詞として使ってしまったのが、「つまびらかに読んではいない」だと思います(国語学のみなさま、いかがでしょうか?)
おそらく、「きちんと読んでいないので、その問題についての私の認識はつまびらかでない」というのが正しい日本語であると思います。
まあ、首相の問題はポツダム宣言を知らないということではなく、日本はポツダム宣言を受け入れた、でも、私には関係ないし、私は受け入れないってことじゃないかと、ツイッターあたりでは指摘されています。英文記事もリジェクトという英語を使っていますよ。いいのか、これで?

ということで、ネット界隈ではみなさん、改めてポツダム宣言を読んでいるようです。
現代語訳(英語原文へのリンクもあり)。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/05/20/potsdam_n_7341178.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001
安倍首相は国民にお勉強させてくれますね。

さて、今年の前半は某大学の映画の授業で英米の監督による太平洋戦争の映画をとりあげているのですが、初回授業で「日本のいちばん長い日」の一部を見せました。その冒頭に日本がポツダム宣言を黙殺し、その後、広島長崎に原爆が落ちた、という一部始終が描かれていて、とても勉強になります。日本側にはポツダム宣言受諾すべきという意見があったにもかかわらず、軍が一億玉砕を主張、それで黙殺になってしまったという経緯が描かれています。
実はこの授業、初回は60人もの学生が出席していたのですが、なぜか2回目は30人ほどに減り、どうしたのかと学生に聞くと、初回のあとに抽選があったのだそうです。なんでもこの授業は40名定員なのだとか(担当教師が知らないのもなんだけど、非常勤だからね)。で、実は、初回に出た学生60名のうち40名くらいが抽選で落ち、初回に出席した20名と、出席しなかった20名になったようなのです。初回に出席しなかった学生の中にはもともと出る気のない学生もいるようで、毎回30人ほどしか出席していません。
というわけで、なんとなくボルテージが下がってしまうのですが、それでも熱心な学生はいるので、なんとかやっているというところです。