月曜日、都心で試写を見て、猫のいる場所に立ち寄ったあと、団地へ帰ったら、その周辺が夜霧に包まれていた。
団地の最寄駅から外に出て初めて気づいたので、それまでの場所では夜霧は出ていなかった。
それほど深い霧ではないけれど、道の先がぼんやりと白くなっていたり、霧の中から白い街灯の光が浮かんでいたりと、なかなか幻想的な風景。
このあたりは地形的に霧が多いというようなことがどこかに書いてあったと思う。
いつぞやの首都圏に雪で鉄道大混乱の日も、団地の周辺はまったく雪が積もっていなかった。そこから私鉄でターミナル駅に近づくと、その先はずっと都心まで雪が積もっていたので、かなり驚いた。何か、地形的に特殊な地域なのだろうか。そういえば、午前中晴れていて、お昼ごろに雲が出てきて、午後1時すぎるとまた晴れてくる、という日が多い。
見てきたのは「山河ノスタルジア」という中国映画。「長江哀歌」や「罪の手ざわり」のジャ・ジャンクー監督の作品で、この2作は大変評価の高い作品なのだけれど、私はどうもイマイチだった。が、今回の「山河ノスタルジア」は素直に感動できる内容。
1999年、実業家と炭鉱労働者の2人に愛される中国人女性が結局実業家と結婚、その後離婚して息子は夫と上海へ、そしてオーストラリアへ行く。結婚までの1999年、離婚後の2014年、そして息子が大学生になっている最後の部分が2025年。なぜ最後を未来にしたのかがちょっとわからないのだが、1999年と2014年には意味があるのだろう。
ヒロインにふられた炭鉱労働者のその後の人生、息子とオーストラリアへ行くが、息子と不和になっているヒロインの元夫、そして幼いときに会ったきりの母をよく覚えていない息子。2人の男は一見、成功者と敗残者に見えるが、肺を病み、ヒロインから治療の資金の援助を受けざるを得ない炭鉱労働者にはしかし、愛する妻と子供がいる(そして友人も)。しかし、オーストラリアへ行った実業家は息子とは不和、オーストラリアでは所持が許されている銃を集めているガンマニアみたいになっている。この実業家はヒロインをめぐって炭鉱労働者と争ったときも爆弾で吹っ飛ばしてやるとか、要するに武器がないと何もできない男というか、武器があっても何もできない(しないだけの理性はある)。何かそういうダメ男の典型みたいな感じなのが興味深かった。
中国で息子を思うヒロインと、母に会いに行こうかどうかで逡巡する息子。はっきりとした結末は見せずに映画は終わるが、雪の降るラストシーンが不思議にも希望に満ちて美しい。