2016年3月12日土曜日

3月11日14時46分

5年前、私は自宅にいました。
ガスが止まってしまったので、アパートの部屋全部のガスを復旧させてあげました。
今年、私は大手町でこの時間を迎えました。
大手町で地下鉄を降りて、別の地下鉄に乗り換える途中で、この時刻が来ました。
地下鉄はこの時刻に緊急停止の訓練をしていましたが、電車が駅にいる状態でこの訓練をしたみたいで、なんだか象徴的にやっただけなのかな、という気も。

10日は、月島で「ヴィクトリア」というドイツ映画の試写を見ました。
最初から最後までワンカットで撮影された映画で、このことがなければよくある若者の事件巻き込まれ話ですが、ワンカットで撮ったというところが普通の映画にない緊張感があります。
そして11日は、「ボーダーライン」という映画を見ました。
「灼熱の魂」で名をあげたフランス系カナダ人監督ドゥニ・ヴィルヌーヴの新作。
ヴィルヌーヴは「灼熱の魂」のあと、ハリウッドに進出して「プリズナーズ」を撮り、そしてこの「ボーダーライン」と、ハリウッドに定着したカナダ人監督ですが、私はどうもこの人、期待はしてるんだが、どうも期待と違う感じがしてなりません。
「灼熱の魂」は力作でしたが、物語にどこかあざとい感じがして、絶賛するには至りませんでした。
ハリウッド進出の「プリズナーズ」は物語展開に無理があって、あまり評価できず。
そして今度の「ボーダーライン」は、作風としては「灼熱の魂」に近いと感じます。女性主人公も「灼熱の魂」を彷彿とさせる。
でも、またしても物語がどうも不自然。クライマックスから主役が入れ替わるのもなんだかなあ。
うーん、なんというか、この人の監督作って、物語に不備がある感じがしてならないのです。
「灼熱の魂」は舞台劇の映画化、ハリウッド進出の2作もヴィルヌーヴ以外の人の考えた物語のようですが、この人は案外、作家性のない人なのかなあ。そう思うと納得する面もありますが。
「プリズナーズ」と「ボーダーライン」は善悪の境目がわからなくなるという共通点がありますが、それも意図的で、作り事のような感じは否めません。
フランス系カナダ人監督には注目しているのですが、他の監督ではなく、この人が妙にハリウッドで活躍って、やっぱりハリウッドに都合のいい人なのか、などと考えてしまうのです。