昨年末、「ナイトメア・アリー」を借りに久々、小石川図書館に行ったのに続き、今度は本郷図書館へ。
そもそもの始まりはこの映画。オンライン試写で見せていただいたのですが、話が面白いのはもちろん、絵が素晴らしく、ある種の様式美を感じさせるものでした。
それで原作を読んでみたくなり、地元の図書館で借りて読んだのですが、ついでに同じブッツァーティの他の本も借りて、解説をちらほら見ていたら、女の人造人間が出てくるSF小説を書いているということを知る。
タイトルは「偉大なる幻影」。
人造人間SFなら読まねば、と思い、地元の市立図書館と県立図書館で検索したけど、ない。
じゃあ、アマゾンで、と思って検索すると、なんと、1968年発行のハヤカワSFシリーズだった。当然、絶版。再刊もなさそう。
このハヤカワSFシリーズというのは、新書サイズのシリーズで、当時、早川書房には文庫がなく、ミステリもSFもこの新書版(ポケット版と呼ばれていた)で出ていたのです。
ミステリはハヤカワポケットミステリ、SFはハヤカワSFシリーズと呼ばれてたと思う。
ミステリは背中の色がいろいろだけど、SFは銀色一色で、銀背と呼ばれていたのです。
その後、早川書房も文庫を出すようになり、ポケットミステリは残ったけど、銀背のSFは消滅したのでした(最近、また出ているようですが)。
そんなわけで、この銀背のSFシリーズがある図書館自体、希少価値だと思うのですが、実は私は知っていたのです、文京区立図書館の中に、この銀背がずらっと並んでいる図書館があることを。
早速検索。ありました。水道端図書館ですが、そこはちょっと行くのが面倒なので、ネットで予約して、長年住んだ千駄木の本郷図書館で受け取ることに。
本郷図書館は前身が鴎外図書館でしたが、鴎外図書館が鴎外記念館になり、図書館は近くに移転して本郷図書館になったのです。本郷とはいっても、本郷という地名の場所ではないですが、もともと鴎外図書館が正式には鴎外本郷図書館だったらしい。そして、千駄木の高台は本郷台地の東端なのだそうです(長年住んでたが、知らんかった)。
そんなわけで、千駄木駅から団子坂を登って本を受け取ってきました。久々に登った団子坂はきつかった。住んでいたときは毎日登っていたのに。
文京区の図書館は貸出票に必ず猫の絵が。しかも、小石川図書館とは違う絵。図書館ごとに違うのか。あちこちの図書館で借りてみたくなる。
銀背です。
ブッツァーティがハヤカワSFシリーズで出ていたなんて。60年代に「SFマガジン」の編集長だった福島正実の功績か?
リラダンの女性人造人間が「未来のイヴ」だったのに対し、こちらの女性人造人間はラウラらしい。映画「メトロポリス」ではマリアだった。イヴ、ラウラ、マリア。男性が創造する女性の象徴的な名前。それに対し、「フランケンシュタイン」の男の怪物は名前をもらえなかった。
というわけで、これから読みます。
そして、これを手に入れたのだった。
ほかに用があったので、図書館ではあまりゆっくりできなかったのですが、返しに行くときには久しぶりにじっくり中を見たいです。チラチラ見ただけでも、地元にはない本がいろいろあるなあと思いました。やっぱり都心。