「プロメテウスの罠」について、2回目です。
この連載そのものはあっていい記事、必要な記事ですが、某ブログでそっくりそのまま転載されて、著作権法違反で削除依頼を受けたブログ主が削除したという件を知り、そのブログや関連の他のブログを見て、多くの人が一様に、これを良記事としていて、削除を残念に思っていることに非常な違和感を感じました。
もともと、この連載を読んだときには、安全デマの片棒を担いだ大新聞社が反省もせずに、今そこにある危機に真剣に取り組みもせずに、半年も前の出来事の取材で面白い読み物を作っている、ということへの反感と、その連載に「プロメテウスの罠」などという不適当な、プロメテウスとギリシャ神話に対して大変失礼なタイトルをつけていることへの反感を感じただけでした。
だから、わざわざ自分のブログで書く気にはならず、ふうん、と読みすごしていた、というのが実情でした。
しかし、ごていねいに自分のブログに全文を転載し、それで読んだ人たちが良記事ともてはやし、テキストデータなので他のブログにどんんどん転載されていき、そしてとうとう、朝日が抗議して削除となった過程を見て、なんだこれは、と思ったのです。
この連載は、朝日新聞のサイトに全文が載っていて、定期購読すれば読めるそうです。第1回だけ無料で読めます。
なんてこたあない、これは、要するに、お金を払って読む読み物なんですわ。朝日だって、ニュースはネットでただで読ませてます。
本当に知らせなければならない情報は無料で公開する、というのが原則で、だから有名人たちもみんな、ただでブログやってるわけです。この連載の内容をただで知らせたかったら、要約でいいわけでしょ。どこの誰それさんの体験を読むのはお金払えってことです。だから削除依頼されたわけでしょ。営業妨害だもの。それに、取材された人のプライバシーの問題もある。
というわけで、「プロメテウスの罠」は商品なわけです。商品であること自体は悪いことではないですし、良い商品であれば、やはりお金を払って買うべきです。お金のない人や買える場所にいない人にも伝えなければいけない真実ではないわけです。というか、この中の、無料で伝えるべき部分は要約、引用という形で伝えることは可能。
とりあえず、朝日が、これは商品なのだ、営業妨害するな、とブログ主に伝えたことは、それなりに価値があるでしょう。反省もせずにうんたら~という、私の反感とも矛盾しないしね。
ただ、こういうことがあると、ブログをやっている人が萎縮してしまうと困ります。
たとえば、釧路には釧路新聞という地方新聞があって、そこにクレインズの記事が載るのですが、ネットの釧路新聞は記事のごく一部しかアップしてくれないので、釧路以外の人は情報がなく困っています。そこで、釧路在住のクレインズ・ファンが、たまに、記事の画像をアップしたり、記事を転載したりしています。こういうのまで著作権法違反で取り締まらないでほしいです。こういう記事と、商品である「プロメテウスの罠」との違いを理解してほしいです。
というところで、今もたまにアクセスのある、4月に書いたマスコミに関する2つの記事ですが、
「マスコミ…」
http://sabreclub4.blogspot.com/2011/04/blog-post_02.html
「マスコミ…2」
http://sabreclub4.blogspot.com/2011/04/blog-post_19.html
最初の記事はまあ、別によいのですが、2番目の記事。キネマ旬報5月上旬号の原発問題対談で上杉隆氏が発言したことを引用しているのですが、その引用の一部を抜粋。
どこかの段階で、メディアは急に東電を叩き出しますから。東電からスポンサーが来ない(広告がもらえない)となったら(東電を叩き出して)、その瞬間にマスコミが免罪されちゃうんですよ。
記者クラブの人たちは東電に飼いならされて逆らったことがないから、フリーランスからそういう質問が出ると”ヘンな奴”が来たとなるわけです。また、さらにひどいのは、退避が30キロ圏内のところ、民法と大手新聞社の社員記者は社命で50キロ以内に入っちゃいけないとされていること。それ以上入っているのは皆フリーランスです。海外メディアも入っているけど。
自分で引用していてすっかり忘れていて、今朝、急に思い出したんですが、マスコミが免罪されてしまうというの、まさに、それが起こりつつあるのが「プロメテウスの罠」かな、と。まさに「プロメテウスの罠」の罠。あと、大手新聞社の社員記者は社命で50キロ以内に入っちゃいけないとされている、というところですね、気になるのは。