水曜日に森田芳光監督が亡くなったというニュースを知り、あまりに急なことで、頭の中が真っ白になってしまった。毎年、順調に新作を撮っていて、来年春に公開の最新作の試写が始まっているという情報をもらったばかりだった。
年齢はすでに61歳だったが(自分の年を考えれば、不思議ではない)、まだまだ進化の途中という感じがしていだけに、まるで映画がいきなり途中で終わってしまったような、そんな不完全燃焼な気持ちがぬぐえない。
森田監督の映画については、ここ数年、映画雑誌で時々語らせてもらってきて、それもまだまだ続くと勝手に思っていたのだが、運命というものは本当に先が見えない。
とりあえず、私の好きな森田芳光監督作ベスト5を(製作順)。
「の・ようなもの」
「ときめきに死す」
「それから」
「(ハル)」
「39 刑法第39条」
最も名高い「家族ゲーム」が入っていないが、好きな映画と優れた映画はちと違うものなのですよ。でも、最高傑作なのは確か。
森田監督の視線というのは、とにかくユニークで、普通の人とはあまりにも違いすぎて、理解されないことが多かったようだ。それでも、その違いすぎるユニークさを発揮した作家の映画を30年も撮り続けてこれたのは、熱心な支持者が少なくなかったからだろう。アートと娯楽映画の境目で、自分の個性を追求し続けることのできる人はめったにいない。外国で常に新作が話題になる監督でもなければ、大ヒットを飛ばし続ける監督でもなかったのに、それができていたというのは、ある意味、幸せだったといえるかもしれない。
先月はケン・ラッセルが亡くなりました。こちらはすでに80代。日本ではすでに長い間、新作が公開されていませんでしたが、moviedatabase.comを見ると、テレビムービーやドキュメンタリーを最近まで撮り続けていたようです。
で、私のケン・ラッセル、ベスト5はこれだな。やはり製作順。
「恋する女たち」(文句なし、ベストワン!)
「ボーイフレンド」
「リストマニア」
「バレンチノ」
「ゴシック」
お二人のご冥福をお祈りします。