以前、アマゾンのランキングの順位は4ケタ以下のものは信用できない、と書いたことがあるが、興味深い記事を見つけた。
http://web.econ.keio.ac.jp/staff/hattori/amaznj5.htm
統計学者たちがアマゾン日本のランキングを研究した結果が一般人にもわかりやすく質疑応答の形で書かれている。
これによると、アマゾンのランキングの順位は、その本が売れてからの時間を表すのだと。
なるほど、納得。
それは順位が10000位以下の本におおむね当てはまるそうだ。そして、アマゾンの本の99%はこの10000位以下の本とのこと。
私が4ケタ以下の順位は信用できない、と思ったのは、自分の翻訳書とか、解説書いた本とかの順位を時々見て、どうしようもなく売れてない私の本でも3ケタになった本があったからである。
具体的に言うと、映画が公開された直後のノベライズ。というか、「インソムニア」のノベライズだけだと思う。しかもほんの一瞬。
あとはまあ、創元推理文庫の「フランケンシュタイン」(解説執筆)が一度、1000位くらいになって、このときは創元のランキング1位になった。もう何年も前の話。
NHK教育で2月に「フランケン」やっていたときは、創元の「フランケン」も4ケタになることが何度もあって、創元のランキングでも3位くらいまで上がったかな?
もちろん、たまたまチェックしたときのことなので、チェックしてないときにもっと上がってることもあったかもしれない。でも、その後、数万位に落ち着くのは、これが定位置ってことでしょう。
NHKで「フランケン」やった頃から、なんとなく気になって、4つの文庫の「フランケン」の順位を時々のぞいてみるのだけど、光文社がやたら順位が高い。ただ、光文社古典新訳文庫は10000位でもこのジャンルで1位になったりするので、やっぱり古典新訳文庫は全体にあまり売れてないんだな、と思う。創元の「フランケン」は10000位だと創元で20位以内は無理。
じゃあ、光文社の古典新訳文庫は「フランケン」ばかり売れているのだろうか?
新潮文庫は書店で他の文庫より優遇されているので、書店で売れる方が多いのではないかと思う。アマゾンのランキングもわりと順当な感じ。
そして、後発の角川文庫は出遅れもあって、かなり低いランキングが続いている。
というわけで、アマゾンのランキングは最近売れたときからの時間の短い順、ということで納得したのだけれど、もう1つ気になることがある。
1つは、創元の「フランケン」はもう8万部以上出てると思われるので、当然、古本がたくさんある。その古本が売れてもランキングが上がるようなのだ。
で、古本が売れると値段が高くなり、在庫が増えると値段が下がる。さっき見たら、創元の「フランケン」の古本は30円くらいでした(送料がつくので合計すると300円弱)。
まあ、私の絶版になった翻訳書なんて、古本は1円からですので。
「フランケン」について言えば、古本が売れてもありがたくないわけです。
で、アマゾンでは新品について、在庫ありとか、10点在庫ありとか書いてある。古本も数が書いてある。そして、その数が減ると確かに順位が上がるのですが、なぜか、そのあと、在庫数がまた増えるのですね。
10点在庫あり、が、9点在庫あり、になり、それからまた10点在庫あり、に戻る、とか。
これは新たに入荷して増えたとは思えない。
で、そこでランキング操作ですよ。
「アマゾン ランキング操作」で検索するといろいろ出てくるけれど、注文しておいてお金を払わず受け取らない(キャンセル)という方法でランキングを上げることも可能なようです。
「フランケン」ではランキング操作するほどの順位ではないと思うが、このランキング操作というのは確かにあるようです。特にキンドルはかなりやってるというブログ記事もありました。また、ランキング操作の実験をしてみた、というブログ記事もあります。
というところで、やっぱりアマゾンの順位はあてにならない、じゃなくて、売れてからの時間、ということですね。売れた総数はわからないわけです。