2015年4月21日火曜日

遥か群衆を離れて

トマス・ハーディの小説「Far from the Madding Crowd」が再映画化されたようだ。アメリカでは5月1日公開とのこと。RottenTomatoesのサイト。
http://www.rottentomatoes.com/m/far_from_the_madding_crowd_2014/

この小説は1960年代にジュリー・クリスティー主演で映画化されていて、そのときの邦題が「遥か群衆を離れて」。公開に合わせて、確か角川文庫から翻訳が出たはず。英語のタイトルは「群衆の狂気をよそに」という意味で、英文学の世界ではこの邦題で書いてあるものが多い。
ハーディはフォースターの次に研究していた作家なので、もちろん、英語で読んでます(翻訳は未読)。
ハーディの中では「帰郷」(The Retrurn of the Native、「村人帰る」という意味)と並んで最も好きな作品だが、読んでからだいぶたつので、細かいところは忘れてしまった。ヒロインのバスシバが魅力的で、彼女が夢中になるトロイという軍人が剣を振り回すところがかっこよかったな、という程度(ほとんど覚えてないじゃん)。映画でもこのシーンが魅力だったようです。
で、こちらがInternet Movie Databaseの67年版。
http://www.imdb.com/title/tt0061648/?ref_=nv_sr_5
バスシバ(クリスティー)は3人の男性に愛されるのですが、そのかっこいいトロイがテレンス・スタンプ(当時、女性に大人気だった)、他の2人がピーター・フィンチとアラン・ベイツ。す、すごい豪華キャスト。実はこの映画、見たい見たいと思っていてまだ見てないのです。ハーディのことなんか何も知らん中学生の頃から見たかったけど、ビデオとかDVDになってるのかな? 監督もジョン・シュレジンジャーと有名どころ。
ちょっと見たところ、日本ではDVDは発売されてないのかな?
で、今回の新作はバスシバがキャリー・マリガンで、うーん、違うような気が???
監督は「偽りなき者」のデンマークの鬼才トマス・ヴィンターベア。しかし、この人がなぜトマス・ハーディを?
Rottentomatoesの批評家の評価は、まだ数が少ないとはいえ、好意的なものが多いですが、ハーディの映画化としてはちょっと、という意見も。
ハーディの映画化ではやはりポランスキーの「テス」が最も有名で、あとはイギリスのマイケル・ウィンターボトムが「日蔭者ジュード」(邦題「日蔭のふたり」)と「カスターブリッジの町長」(邦題「めぐり逢う大地」)を映画化しています。ウィンターボトムは英文科出身なのだね。ただ、この2本は地味だし、ウィンターボトムの映画としてもそれほど有名でないので、「テス」の次に有名なハーディの映画化はやはり67年の「遥か群衆を離れて」でしょう。
ウィンターボトムのフィルモグラフィーを見ていたら、「マイティ・ハート」がありました。これ、UIP最後の配給作品で、銀座にあったUIPの試写室で見たのを覚えています。最後の配給作品とのことで、最初にそのあいさつがありました。
というわけで、今度の「遥か群衆を離れて」、アメリカでの配給はFOXですが、日本で公開されるのか、邦題はどうなるのかはわかりませんが、やっぱ、監督と出演者(マリガン以外も)がビミョーな感じはします。