2016年1月23日土曜日

谷中写真集~映画によせて

「「の・ようなもの のようなもの」ガイドブックのようなもの」というムック本に原稿を書きました。
2015年は映画評は1本も書いていないので、2年ぶり、ではないけれど、1年と1か月ぶりくらいですかね。昨年はキューブリックのムック本に「アイズ・ワイド・シャット」の映画評が載りましたが、これはキネ旬に書いた公開時の映画評の再録。
今度の原稿は極私的エッセイなので、恥ずかしいのですが、私が撮った写真が2枚掲載されています。私の撮る風景写真はなぜか右肩上がりになっていて、この2枚もややその傾向があるのでこれまた恥ずかしいのですが、自分の撮った写真が公の媒体に載るのは初めてです(映画の写真にまじって小さく載るのかと思ったら、大きくてびっくり)。
で、その写真と、「の・ようなもの」と「の・ようなもの のようなもの」の2本の映画に登場する谷中について、写真をまじえて書いてみます。

まず、「の・ようなもの」のメインタイトルに登場する萩荘。主人公の落語家・志ん魚がこのアパートから出てきて、次に富士見坂を下って師匠の家に出かけるのですが、地理的に言うと、萩荘から師匠の家(台東区根岸のようだ)に行くには富士見坂は通りません。また、ラスト、志ん魚が堀切から浅草まで歩き、そのあと、この富士見坂を上っていくと、スクーターに乗った由美がいる、という設定ですが、こちらも、浅草から上野を通って谷中の萩荘に帰るには富士見坂は通りません(富士見坂は萩荘からさらに西日暮里に向かった方にあるのだ)。
映画にはこういう非リアルは日常茶飯事ですが、有名な富士見坂はともかく、なぜ萩荘が選ばれたのかは興味の尽きないところ。
ムック本の中で紹介した萩荘。本の写真とは少し違うアングルで撮った写真です。


萩荘は夕焼けだんだんを降りたところの横道を左に向かって進むとあります。今は商業施設になっているので、HPもあります。そこに萩荘の歴史も書かれています。
ムック本に載った写真は、映画のアングルに一番近いアングルで撮ったものです。
映画の萩荘は、向かいの岡倉天心記念公園の中からローアングルで撮ったのが明らかで、右下に公園の入り口の石の柱が見えます。志ん魚は門の奥から道路に上がってきますが、萩荘は今も門から下ったところに玄関があります。
そんなわけで、私も映画と同じアングルで撮りたかったのですが、岡倉天心記念公園の入り口にあるトイレが改装中で、囲いができてしまっていて、同じアングルでは無理でした。
ムック本の写真の左下に、トイレ改装中という貼り紙のある囲いがありますが、それがそうです。また、映画と同じく、右下に石の柱があります。

で、これが岡倉天心記念公園。小さな公園です。


萩荘と岡倉天心記念公園の間の道路(狭いのに車の通りが多くて怖い)をさらに進んでいくと、初音の森の広場と台東区の区民センターみたいなものがあります(ここはトイレがきれいで、よく利用させていただきました)。
その広場の前に、文京区方面に向かう路地がありますが、この路地を少し行くと、「の・ようなもの のようなもの」で主人公たちがアイスを食べていた初音児童公園に出ます。ここはいつも子供が遊んでいるので、全体の写真は撮れませんでした。公園の真ん中にある地蔵尊の写真を。
(谷中映画地図の初音児童公園の位置が間違ってるというか、少しずれて文京区の中になってしまっている。初音は谷中のこの周辺の名前のようで、萩荘のそばには初音湯という銭湯があって、好きな銭湯でしたが、廃業してしまいました。)


このあとは有名なヒマラヤ杉めざしてさらに南下。
文京区に住んでいたときは、千駄木と根津の境目あたりからこのあかぢ坂を上って行くのが私のコースでした。途中に猫カフェがあります。この日は坂の上の道を歩いていたので、あんまり風情がない写真になってしまった。


その先にあるのが「の・ようなもの のようなもの」に登場する三浦坂。ねんねこやという猫の店があるので有名で、三浦坂→ヒマラヤ杉→古井戸というのが観光コースになっているようです。映画にはこの3点セットが登場している。
が、私はあかぢ坂からヒマラヤ杉に行っていたので、三浦坂はほんの数回しか行ったことがありません。上の写真もだけど、坂のすぐ上や途中じゃないと風情がないな。
(谷中映画地図では三浦坂の位置が、ずれています。。。そこは坂じゃない。。。)


ヒマラヤ杉。その下にあるパン屋さんが木の持ち主。大きさがよくわかる。


この周辺の土地が買われ、ヒマラヤ杉がなくなってしまう恐れがあるため、存続のための署名活動がされています。


隣のお寺にいた猫。この日は路地だけで3匹くらい猫に会った。


ヒマラヤ杉の右側、お寺の前の路地を少し行ったところの横道に入り、路地や下り階段をたどっていくと、古井戸に着きます。個人の所有物なので、見るだけにしましょう。「の・ようなもの のようなもの」にも登場しましたが、谷中映画地図には出ていないのはプライバシーのためでしょうか。この辺りは普通の家やアパートなので、あんまり観光客がぞろぞろはよくないだろうと思いますが、その一方で、映画やドラマなどのロケがよく行われているそうです。


もう夕方の、光のあまりないときに行ったので、フラッシュ使用。観光客は誰もいなかったので、住民に変な目で見られてしまった。


ムック本に載ったもう1枚の写真の日暮里の高層ビルを、谷中霊園の中から写した写真。夕暮れどきのビルが水たまりに映っています。


ちなみに、ムック本の高層ビルの写真の一番下に見える橋が、「の・ようなもの のようなもの」で志ん田が何度か通る芋坂の陸橋。このあたりの陸橋(いくつかある)は撮り鉄にはたまらない場所のようです。