2016年7月15日金曜日

気になること。

あの福島原発事故から5年以上がたった。
事故のあった2011年から某大学で映画の授業をするようになり、2012年からその中で「チャイナ・シンドローム」を扱った。
2012年のときはさすがに事故から1年しかたっていなかったので、学生は原発事故の恐ろしさや隠蔽に対して敏感に反応していた。自分は反原発だと言う学生も多かった。
その後、ほぼ毎年、「チャイナ・シンドローム」を扱っているのだが、年を経るごとに学生の感想が反原発から原発容認に変わっていく。
今年は反原発、脱原発の学生は極端に少なくなり、事故が起きないように注意すればいいのだ、という容認派が多数になった感がある(別に統計をとっているわけではないので、なんとなくの感触だが)。
ネットを見ると、反原発派の中にトンデモ陰謀論者が増えているという。そういう影響もあるのだろうか。
そして都知事選。自公が公認する増田氏は告示前日に東電の取締役を降りたという人物。もちろん、原発推進派。
前回の都知事選では宇都宮氏と細川氏が脱原発で、当選した舛添氏も積極的に原発推進というわけではなかった気がするが、今度はバリバリの原発推進派。
まあ、今回は細越氏の方が有力な感じがするけど、原発容認が日本の中にかなり浸透してしまっているのか、という感もあるので、気になる。(追記 どうやら原発推進の増田氏は沈没傾向で、今や鳥越氏対小池氏になっているようです。増田氏より小池氏の方が思想的にずっとヤバイのですが(日本のトランプか?)けっこうリベラルも勘違いしてるとか。)

昨年、引越をして都民ではなくなったので、鳥越氏に一票を投じることができなくなったのがしごく残念というか、30年以上都内に住んで、青島氏に投票したとき以来のわくわく感があるので、ほんとに残念。
青島氏のときは都市博中止という公約があって、それに同意したので投票した。まさか当選するとは思ってなかったのだけど、一度決めたらやめないこういうイベントを中止にしたのはよかったと思う。
この青島氏以来、都知事はマスコミ有名人ばかりになっていて、今回の鳥越氏もマスコミ有名人。対する増田氏とか小池氏とかは違う(小池氏は別の意味で有名人ですが)。
鳥越氏が当選すれば、またまた有名人だから、と言う人が出るだろうけど、選挙のように投票で決まるものは多かれ少なかれ人気投票的色彩を帯びるのだと思う。
たとえば、アカデミー賞もキネマ旬報ベストテンも投票で選ばれるが、これも人気投票の要素は多分にある。選ぶ人が一般人でないというだけで、投票権を持った人たちの嗜好が見てとれるのだ。
それでも、アカデミー賞は全米第1位のヒット作が作品賞にはならないし、キネ旬ベストテンも興行成績とは連動していない。それでも、ある程度のヒット作、話題作であることが条件だ。
選挙もそういうものだと思う。それを、ペーパーテストの入学試験みたいによい点を取った方が当選すべきみたいな考えを持つ人がけっこう多いらしい、それもリベラルな人々に、ということを強く感じた。
というか、前の都知事選でそれを感じて投票しなかった人がいるんですよね。その人は今回、すばらしい英断をしましたが(私はずっと、その英断をしてくれると信じていましたが)、支援者の一部のツイートを見ると、やっぱり選挙をペーパーテストみたいに考えているんだな、そこを変えないと、この人は当選しないよ、と思ってしまいました。