2016年7月25日月曜日

郊外生活

都心にいた頃は上野から銀座までのどの場所も地下鉄初乗り料金で行けたので(上野は歩いていけた)、毎日どこか都心の場所に出かけていたが、郊外生活になってからは通勤も映画館へ行くのも時間がかかり、手ごろな喫茶店も近くになく、結局、何もない日は近くの自然公園へ行く日々。
でも、今日は、速足で歩いて15分あまりのところにある喫茶店へ行ってきた。
その喫茶店、星乃珈琲店の存在は前から知っていたけれど、かなり前からコーヒー店はセルフサービスの店ばかりで、セルフでない喫茶店は敷居が高い気がしていた。
でも、そこからさらに先にある駅の前で親子丼を食べて、そのあとなんとなく星乃珈琲の店だけでも見てみようと(近くにはよく行くけど、店のそばには行ったことがなかった)、近くに行く。
まず、都心のあちこちにある有名なスパゲッティの店が1軒の建物で営業しているのでびっくり。
その隣に駐車場があり、その先に星乃珈琲店があった(駐車場はおそらく両方で使っている)。
もう、五右衛門がまるまる1軒の建物とか、喫茶店の前に駐車場とか、これが郊外か?
次は五右衛門に入ってみよう。
星乃珈琲をのぞいてみると、なんだかかなりすいていた。閉店まであと90分くらいだったから、このまますいているのかな、と思い、中に入ってみる。
お客さんはカップル1組と男性の1人客のみ。席選び放題で、窓際の隅の席に座る。ファミレスと同じで、ボタンを押してウェイターを呼ぶ。
珈琲はセルフじゃないにしてはリーズナブルな値段。フードがいろいろあって、フードを頼むとドリンクが安くなる。こんなことなら駅前で親子丼食べずにこっちに来ればよかった(次からはそうしよう)。
アイスコーヒーを飲みながら、先日ブックオフで1冊108円で買った文庫を読む。奥田英朗の「野球の国」のあとは恩田陸の短編集「図書館の海」。すでに半分以上読み終わっていて、残りの3作を読む。
恩田陸は前から気になっていた作家だけれど、読むのは初めてだった。長編の続編や前日譚になっている短編はやはり本編を知らないのでイマイチ。だが、独立した短編はみごと。SFや幻想小説に分類される作品ばかりだからか、小説の構成がシュールで、物語がどう転がっていくのかわからない。作者の才能に圧倒される。この人はプロットを決めてから書くのだろうか?
読み終わったあと、今度は角田光代の短編集「三面記事小説」を開く。恩田とは正反対のリアルな描写。昔ながらの小説という感じ。三面記事の事件をヒントにした小説なので、なんとなく先が見えてしまう(少なくとも最初の短編は)。家族の濃い話っていうのも私向きではないな。
最初の短編を読み終わると、閉店まで20分ほどだった。はじめは3人しかいなかった客がその後増えて、今は3組の客の話し声が大きく聞こえている。みんなよく話し込んでいて、帰る気配がない。ぎりぎりまでいても大丈夫かな、と思ったところで、入口近くに新聞と雑誌が置いてあるのが見えた。
近寄ってみると、週刊文春と週刊新潮がある。
まだ時間があるので、週刊文春の最新号をのぞいてみる。
例の鳥越俊太郎の記事だ。
ネットでだいたい内容は知っていたけれど、このスキャンダルは当事者の女性にはまったく接触できず、新潮が取り上げるのを断念した話とのこと。文春はその女性の夫から話を聞いたとなっていて、その背後に有名な上智大教授の存在があるとか(教授は別メディアの取材を拒否)。
夫の話というのは要するに、妻があの件でトラウマになっているから、鳥越氏にはマスコミに出ないでほしい、知事になるとしょっちゅう顔が出るので妻に悪影響が、ということらしい。
あの件というのは強引にキスをしたということなのだけど、鳥越氏は事実無根と言って刑事告訴もしている。
証拠としてあがっているのは、夫が鳥越氏に送ったとされるメールの写真だけ、それも一部で、黒く塗りつぶされているところが多い。
選挙期間中に出すネタとしてはあまりに弱いし、選挙妨害ととられてもしかたないが、一般の市民はこの手の週刊誌ネタには実際は影響されないという説もある(鳥越氏が小池氏、増田氏に比べて支持が少ないとされるのは、鳥越氏の選挙活動の方法がまずいのだというのが一般的な意見)。
どっちかというと、ちょっとした誤解で女性がトラウマになってしまい、それで夫が、という感じがするんだけど、この件を見て思い出したのが、中央大学の女性非常勤講師解雇事件。
数年前のことだが、中央大の女性非常勤講師で舞台芸術のアーティストでもある人がいた。彼女は母校の慶応大では英語を教えていたが(もともと英文科卒)、中央大では舞台芸術の授業とゼミを持っていた。
非常勤講師でゼミを持つこと自体がめずらしいのだが、このゼミがちょっとカルト的になっていたところがあったらしい。講師の女性の思想に惹きつけられて学生が集まるみたいな感じ。
で、あるとき、このゼミに他の学生とはかなり違う1人の男子学生が参加する。
明らかにこのゼミに向いていないのだが、講師はこの学生をなんとかしてやりたいと思ってしまう。
その結果、この学生に入れ込みすぎて、飲み会のあとに自宅に男子学生を泊めたりしてしまう(講師と学生の間にはもちろん、何もない。単に学生がそこで寝てしまっただけ)。
しかし、これがセクハラと親から訴えられ、クビになってしまったのだ。
クビになる過程が確かにひどいと思うが、講師もツイッターを使っていろいろ書いてしまったのはまずかった。
今の時代、講師は学生と親しくなりすぎるのはまずいと、私も感じるところがある(私じゃ何も起こりませんがね)。