2017年6月7日水曜日

「言の葉の庭」(ネタバレあり)

「君の名は。」に先立つ新海誠のアニメ「言の葉の庭」をDVDで見た。
「君の名は。」にはまっているけれど、新海監督の他のアニメはまったく見てなかった。
いろいろ気になってはいたのだが、特にこの「言の葉の庭」と「秒速5センチメートル」が気になっていて、アマゾンで注文。「秒速~」は海外の輸入盤を注文したら、どうやらパソコンでしか再生できないようだ。
とりあえず、「言の葉の庭」を見る。
「君の名は。」の習作のような中編で、いろいろかぶるところがある。
絵がとにかく美しい。
が、「君の名は。」に比べるとマニア向けの絵や内容で、これを一般に受けるようにしたのが「君の名は。」なのだということが非常によくわかる。
たとえば主人公たちに嫌味を言う人物というのは両方に登場するのだが、「言の葉の庭」の方が徹底的にいやなやつなのに対し、「君の名は。」ではいやみを言う生徒に対して「かわいそう」といった反論をする生徒がいるのだ。
キャラデザも一般受けするようになっているのが「君の名は。」。

と、いろいろ面白く、考えさせられるところも多い作品だったが、疑問に思うところもあった。
主人公は15歳の高校生。6月の雨の日、学校に行きたくなくて新宿御苑らしき公園へ行く。
そこで27歳の女性に出会い、靴職人になりたいことなどを話して親しくなる。
女性は職場でいじめにあい、心を病んで休職中のようだ。
で、(ここからネタバレ)、実は女性は少年が通う高校の古文の教師で、生徒からいじめにあって休職中だったことがわかる。
映画では、教師は少年が自分の学校の生徒であることは知っていたが、少年は知らなかった、ということになっている。
うーん、少年は15歳なので、高校の1年生、で、6月に古文の教師に庭園で会ったとしても、彼女の授業に出ていなければ彼女を知らなくても不思議ではないような気がする。
一方、教師の方も、自分の教え子でなければ、高校に入ったばかりの彼を知らなくてもそれは当然ではないのか。
教師がいじめで休職状態というのは他の生徒にはよく知られていたらしい。彼女は人気教師でもあったようだ。
でも、高校に入ってまだ3か月程度の少年がこのことを知らなくてもそんなにおかしくない気がするし、教師の方も少年を知らなくてもおかしくない。
クライマックスは、教師が少年を知っていたのに彼を利用して自分が救われようとしたと、少年が教師を責めるのだが、ここがちょっとあざといかな、と思ってしまう。
なんか全体に、「聲の形」を連想する作品だった。
少年の母親とか、女性教師とか、「聲の形」に出てきた女性キャラに似ている。
あざとい、と書いたけれど、全体的には非常によい作品で、2人の微妙な関係も心に響く。15歳ではなく16歳なら、この設定でももっと納得がいくと思うのだが。
女性教師ユキノは「君の名は。」のユキちゃん先生として再登場する。が、ユキちゃん先生にはユキノのような陰影がない。