これは8月下旬に書いた記事「教員免許」の続きである。
その記事で3つの大学の教員免許の実態にあまりにも差があることを書いた。
私立A大学 偏差値50以上。 国語の教員を多く輩出している。教科にかかわらず教員免許取得には一般教養の英語で良以上を取っていることが条件とされている。
私立B大学英文科 偏差値50前後。英語教員輩出の実績あり。英語教員免許取得のための条件がカリキュラムに明示され、担当講師に書類で知らされている。英文科専門科目は英語力を鍛える科目と英語圏文学文化の知識を得る科目に分類されている。一般教養の英文学科目や英語科目は教員免許のための単位にはならない。
私立C大学 偏差値35.大多数がAO入試で入学する。英文科はないが英語英文学科目がある。ネットで公開されている英語教員免許資格の取得のための必修科目には一般教養の英語や英文学科目が含まれている。また、一般教養でない専門科目の英語圏文学購読は翻訳を読む授業であり、シラバスには「翻訳を読んで国語力を鍛える」などと書かれている。英語力を鍛える科目が非常に少ない。また、担当教員には教員免許資格の対象になったとはまったく知らされていない。
再試験と成績の違い
私立A大学 再試験は卒業見込みの学生のうち、不足する単位が4単位以内の学生だけが再試験を受けられる。再試験は可か不可。教員免許がとれるかどうかの英語の成績については1年生のときの成績で決まるようだ。
私立B大学 卒業見込みの者の再試験自体を廃止している。
私立C大学 1年生であっても不可が出た直後に再試験を受験できる。私はシラバスに例年、出席しているだけでは合格にしない、と書いていたが、今年の新学期の前にその文言を消すように圧力がかかった。出席は期末試験を受けられる要件にすぎず、成績はあくまで試験や発表などで決まる、というのは文科省の方針であるが、その方針に従った文言を消させたということは、出席さえしていれば再試験で合格させるつもりなのではないかと疑われる。教員免許取得の実績を出して学生を増やすのがこの大学の最大の目標であろうから、そのような抜け駆けは大いに考えられる。
偏差値35のFラン大学だから教員免許を出すな、と言っているのではない。
中堅大学には教員免許をあまり出させない方向で指導しながら、C大学のようなやり方を許す文科省の問題。教育上の不公平の問題。
教員資格への信頼が失われる問題。
Fランであっても能力の高い学生はいるかもしれないが、そうした学生が能力を伸ばす授業がないという問題。
この問題についてはもっと多くの大学のケースを検討する必要がある。シラバスや教員資格についてはネット上で公開している大学が多いので、さまざまなケースについて比較した上で、もっと公の場所に出すかどうか考えたい。