トニー賞受賞のミュージカルの映画化「イン・ザ・ハイツ」。
かなりたくさんの映画館で上映しているので、どこで見るか迷ったが、なんとなく柏の葉に行きたくなって。
柏の葉はつくばエクスプレスなので交通費がバカ高いけれど、なんとなく好きなのだ。徒歩35分で交通費ゼロのUC松戸ならIMAX料金払っても安いのだけど、うーん、別にIMAXでなくてもなあ、と。この暑いときに片道徒歩35分はつらい。バスに乗っても20分は歩く。
映画はマンハッタン北部のワシントン・ハイツが舞台。ここにはラテンアメリカからの移民が多く住んでいるが、家賃がしだいに上がってきて、庶民は隣のブロンクスに引っ越さざるを得ないようだ。いずれここは富裕層の地区になる、というせりふもある。
登場人物は移民一世二世くらいで、故郷に帰るかどうかとか、移民たちの希望の星となって名門大学に進学したが、そこで差別を受けて退学を考える女性とか、そうした移民たちの現実が織り込まれている。
「ミナリ」も移民一世の家族の話だったけれど、あの映画では移民への差別がほとんど描かれていなかった。そこが疑問だったのだが、この映画では移民に対する差別がかなり重要な要素として出てくる。
最初はなんとなく雑然とした群像劇の印象だったのが、しだいに移民の抱える問題、どこが故郷なのかとか、どこでどう生きるべきかとか、といったテーマが結末に向かって収れんしていくあたりはみごと。
「恋愛準決勝戦」や「百万弗の人魚」など、過去のミュージカルをほうふつとさせる映画的なシーンがあったり、「オズの魔法使」の「やっぱりおうちが一番」のせりふがあったりと、映画らしいシーンが満載だが、同時に、これはやっぱり舞台の方が、と思わせるシーンも多い。特に、冒頭から何度も登場する、主人公がドミニカの海辺で子どもたちに話を聞かせるシーンが実は、というのは、やはり舞台の方が生きると思う。
映画を見たあと、ららぽーと柏の葉で少しゆったりしたり、バーゲンを見たりして、やっぱり柏の葉に来てよかった、と思ったが、自宅近くのスーパーと、そして帰宅してからちょっとしたトラブルがあって、なんだか最後にいやな思いをしてしまった。なかなかよい1日のまま終わってくれないのである。