MOVIX柏の葉で「スーパー30 アーナンド先生の教室」と「LAMB/ラム」をハシゴ。
が、つくばエクスプレスの快速は柏の葉キャンパスに止まらないことを知らず、流山おおたかの森をすぎたら電車がぐんぐん速度を上げ、あれよあれよというまに県境を超えて茨城県へ(「翔んで埼玉」の二階堂の「茨城?」と言ったときの顔が浮かぶ)。ようやく止まったのは守谷。なつかしの守谷。一都三県の映画館が休業中、守谷のシネコンへ行ったっけ。
などという感慨にふける余裕もなく、すぐに引き返し、なんとか本編開映に間に合った。
大規模公開ではない映画をいろいろ上映してくれるありがたいMOVIX柏の葉。ポール・ニューマン特集も上映されます。
「スーパー30」は貧しさゆえにケンブリッジ大学に留学できなかった数学優秀なインドの青年が、予備校の人気講師になって稼いだあと、自分と同じく貧しいために進学できない優秀な若者に出会い、予備校をやめて貧困層の優秀な少年少女30人を選抜し、学費も生活費も無料にして、インド工科大学受験の英才教育をする、という実話ベースの物語。
「受験のシンデレラ」のインド拡大版みたいな映画かな、と思い、その興味で見に行ったが、それはちょっと違っていて、貧しい少年少女に英才教育をするのが気に食わない文部大臣や予備校経営者の妨害に対する主人公と生徒たちの戦いが描かれる、という、アクション映画のような作り。
最初に、架空の人物のエピソードはすべてフィクションです、みたいな字幕が出るので、文部大臣や予備校経営者は架空の人物なのかな、と思うけれど、その一方で、最後に、主人公が最近まで妨害を受け続けていたという字幕も最後に出るので、映画に描かれたようなひどい妨害行為(暴力的なものまである)はある程度事実なのだろうと思う。
このあたり、日本や欧米先進国ではありえない話なのだけど、きびしいカースト社会のインドでは日本や欧米ではありえないことも起こるのかもしれない、と思って見ないといけないと思った。荒唐無稽で片付けてはいけないのかもしれない。
映画自体はちょっと冗漫な感じなのだけど、楽しめるエピソードもあり、見て損はなかった。
そしてアイスランド映画「LAMB/ラム」。こちらは最後までネタバレ全開で行きます。
アイスランドで羊の牧場を営む夫婦。ある日、頭が羊で体が人間の子どもが生まれる。夫婦はその子羊(ラム)に死んだ娘の名をつけ、自分たちの子どもとして育てる。母羊が子どもを取り戻そうとするので、妻は母羊を殺してしまう。
アイスランドの広大な自然の中で暮らす夫婦のもとには、他の人々はまったく姿を見せない。唯一、夫の兄(弟?)がやってきて、一時的に同居するのみ。あとは犬と猫がいるが、猫の表情がなかなかよい。
夫の兄は最初、子羊について否定的なことを言うが、結局、夫婦と一緒に子羊をかわいがるようになる。
冒頭のシーンで子羊が次々と生まれるところを見せたり、羊が何頭もいるところを見せたりするが、体が人間の羊が生まれ、やがて人間の服を着て夫婦の子どものようになると、牧場にいる羊たちは母羊以外出てこなくなる。この辺が不思議。
また、夜のシーンがないのだけど、これは夏で、アイスランドは白夜なのだろうか。
そんな荒涼としたアイスランドの自然の中で孤立して暮らす夫婦と子羊の物語なのだが、子羊が途中であるものを見て、自分の姿に思いをはせたりするシーンがあり、それがラストの伏線になっている。
以下ネタバレ。
夫の兄が去ったあと、妻が出かけている間に、犬が撃ち殺され、そして夫も撃ち殺される。
撃ったのは、体が人間で頭が羊の大人の男。子羊の父親だろう。
妻は母羊を殺したが、羊人間の父が今度は夫を殺したのだ。
子羊はその父親に連れ去られ、妻はひとり荒野に残される。
これって、他人の子どもを誘拐して自分の子にして育てるという事件の暗喩なのだろうか。
発想が面白いし、描写もよいのだが、なにか、あまり深みはないような気がする。その点が物足りない。
エンドクレジットが「バリー・リンドン」で有名なヘンデルの「サラバンド」なんだが、これの意味も不明。
「ミレニアム」の初代リスベット、ノオミ・ラパスはよかった。彼女と猫がアイスランドの荒涼たる風景の中で、みごとな絵になっている。