五輪の問題で、角川歴彦会長が逮捕されてしまいましたね。
羽田の飛行機の低空飛行に文句言う住民を「絨毯爆撃して殺してしまえ」と言った社長は逮捕されないのか、と思ったけど、やはり会長が責任ある立場にいたのだね。
角川といえば、春樹と歴彦の対立が有名で、結局、春樹が覚せい剤で服役、角川を去って角川春樹事務所を立ち上げて今日に至るわけですが、歴彦も逮捕とは。
「ブレット・トレイン」の原作「マリアビートル」を読んだあと、今度はその前作にあたる「グラスホッパー」の文庫を借りて読み、その末尾にある角川源義の有名な「角川文庫発刊に際して」を再読して物思いにふけったりしていたのだが。
映画ファンとしては、角川春樹の映画への情熱は忘れられないし、歴彦も「空海(妖猫伝)」をプロデュースしたりして、親しみはあった。でも、角川に関してはある時期から、ちょっとこの出版社はどうよ、と思っていたのも事実。
角川では、角川文庫のノベライズの解説を書いたことがある。そのときの依頼がちょっと奇妙だったのだけど、別の出版社の編集者から話が来て、てっきりその出版社が推薦したのかと思ったら、角川からのご指名だったのだという。
にもかかわらず、担当の編集者とはちょっとしたトラブルが起こってしまい、そのあとで角川のご指名とわかって、なぜご指名なのにあんなトラブルが起こったのだろうと不思議だった。ご指名した人と担当編集者が別人で、担当編集者は機械的に仕事をしたのでトラブったのではないかと思ったが、真相はわからない。以後、角川からの仕事の依頼はない。
角川から出たニコラス・シェイクスピアの「ブルース・チャトウィン」の訳者あとがきに、「テロリストのダンス」の翻訳者として私の名前が書いてあったが、その関係でのアプローチだったのだろうか?とも思ったが、違う気もする。
新海誠の新作のノベライズが店頭に積まれているのに、大丈夫なのかなあ。
とりあえず、「最後の角川春樹」を図書館に予約しました。予約0人だったのですぐに借りられるはず。
追記
そういえば、映画評論家になったばかりの頃、角川春樹製作のアニメ「カムイの剣」の披露試写会とそのあとのパーティに招かれて行ったことがあった。
原作者の矢野徹がSF界の重鎮だったので、その関係の人たちが多数招待され、私もその末席で参加させてもらえたのだが、角川春樹は来ていなかった。角川映画はけっこう好きだったので、会ってみたかったのに残念、と思ったのを覚えている。「カムイの剣」は主役の声が真田広之だった。