2023年10月22日日曜日

「フリーク・オルランド」

 初公開時に見逃していて、気になっていた「フリーク・オルランド」がリバイバル。

ヴァージニア・ウルフの小説やサリー・ポッターの映画化はあまり好きではなかったけれど、こちらは奇想に満ちた私好みの映画っぽいので、気になっていた。

40年以上前の映画なのに、映像はきれい。予想どおりのキッチュな世界で、カラフルな衣装が美しい。

主人公のオルランドは原作とは違い、女から男になり、また女になる。他の人物も女にひげが生えたり男性器がついてしまったり、老いた男性たちが女性化したりと、トランスジェンダーというよりは肉体が勝手に変化してしまう感じ。アーシュラ・K・ル・グインの「闇の左手」の両性具有に近いかもしれない。

オルランドは神話の時代から現代まで5つの時代を生きるが、真ん中のナチスの暗喩みたいなのはわかったけれど、他はドイツにとってどういう時代なのかイマイチ不明。最後のブサイク・コンテストは風刺に満ちているが、ポリコレ的にはけっこうやばいのでは、と思わなくもない。今なら描けただろうか?

全体としてとても満足したので、同じ監督の他の2作もぜひ見たい。




このベルリン三部作は壁崩壊前のベルリンで撮影されたそうで、その辺もわかる人だと面白いのだろうなあ。

上の真ん中の写真、オンエアとは放送中という意味ではないのだろうか?