ウルリケ・オッティンガーの三部作、「アル中女の肖像」を見てきた。これで3作すべて鑑賞。
金曜と土曜に作品が入れ替わるので、先日とはポスターが代わっていた。
「アル中女の肖像」は、ベルリンへやってきた裕福な女性がしだいに酒に溺れていく様子を描く。タベア・ブルーメンシャイン演じる女性がファッションショーのように華麗な衣装を次々と着て、最初は全然アル中じゃないのだが、だんだんアル中になっていって、衣装も乱れていく。途中でホームレスのおばさんと仲良くなり、2人で飲み歩くのだが、このコンビがまるでドン・キホーテとサンチョパンサのよう。が、若い女主人公の方がどんどん酩酊状態になって、最後は、という、これまで見た中では一番わかりやすい。
「フリーク・オルランド」、「タブロイド紙が映したドリアン・グレイ」と、英文学がらみだったけれど、今回は「マイ・フェア・レディ」の「君住む街で」のドイツ語の替え歌を歌う女性が出てきたり、モビー・ディックという名の鯨のような形の船が登場したり(船からはすぐにおろされてしまう)。
飲酒について議論する3人の女性がコーラスのように登場し、その中の1人が「~オルランド」の主役で「~ドリアン・グレイ」にも出ていたマグダレーナ・モンテツマ。
3作ともに女性が男装するのだけど、その男装の麗人の姿をはじめ、当時のヨーロッパ映画にあったデカダンな雰囲気が映像にあふれている。
ドリアン・グレイを演じたヴェルーシュカ・フォン・レーンドルフは名前から女性だろうと思っていたが、映画を見ると、肩から腕にかけて筋肉質で、男女どっち?と思ってしまったが、女性だった。アントニオーニの「欲望」に本人役で出演、スティングとジェニファー・ビールスの「ブライド」やダニエル・クレイグの「カジノ・ロワイヤル」にも出てたのだそうだ(全部見てる)。
3本全部出ているモンテツマや、「アル中女の肖像」に出てるニナ・ハーゲンとか、ずっと以前から名前は知っていた女優たちだけど、どこで知ったのだろう。
なんにしろ、私好みの世界で、3作とも楽しめた。
追記
ニナ・ハーゲンは歌手で、「君住む街で」の替え歌を歌っていた人だった。歌手で有名だったから知っていたのだろう。モンテツマはドイツ語のタイトルくらいしか出てこなくて困ったが、「フリーク・オルランド」が初公開されたときに名前を覚えたのかもしれない。