2024年1月3日水曜日

「コンクリート・ユートピア」

 1月5日公開の韓国映画「コンクリート・ユートピア」。


話題作で、しかも人気のイ・ビョンホン主演とあって、かなりの拡大公開だけれど、元日の能登半島地震のために公開延期になるのではないか、と危惧していましたが、いまのところそれはないようです。

実は1月2日に某試写で見たのですが、というか、大地震の直後に見るのはかなり気が重かったのだけど、4日までに見ないといけないので見ました。

そして、見終わって1時間ほどしたら、羽田空港で、被災地へ救援物資を送る海保の飛行機と日航機が衝突。海保機の機長以外の5人が亡くなるという惨事に。幸い、日航機は乗員乗客全員無事脱出し、海外でも奇跡と言われているそうですが、地震がなければ起きなかった事故だけに、かなりショックでさらに気分が重く。

「コンクリート・ユートピア」もかなり気分が落ち込むディストピア映画なので、今の時期だと敬遠してしまう人が多いのではないかと。

映画は、世界的な地殻変動ですべてが破壊され、ただ1つ倒れなかった高層マンションを舞台に人間の本質が描かれる、というもの。

「白頭山大噴火」もそうだけど、韓国映画の自然災害はあまりリアリティがなく、ただ物語は面白い、という感じで、この映画もディストピアの設定のために地殻変動が持ち込まれたという感は否めない。

「白頭山大噴火」では超絶かっこいいヒーローだったイ・ビョンホンが、ここでは狂気の独裁者。同一人物とは思えないその演技の幅の広さに驚きますが、彼がそういう人物になってしまった理由もきちんと描かれています。

彼に影響され、毒されていく公務員と、終始、疑問を持ち続けるヒューマニストの看護師の妻。公務員と看護師という職業がまた象徴的。

個人的にはエンタメに振り切っていた「白頭山大噴火」の方が好みで、こちらは人間性について考えさせられるけれど、ひたすら暗い。

「ホーム・スイート・ホーム」の曲が何度も流れ、家と家族についてのモチーフが底に流れています。他人を家族のように受け入れるかどうか、それが試される映画。