本日公開の2作品。まずは試写で見せていただいた「12日の殺人」。フランスのセザール賞作品賞ほか主要部門受賞。
フランスで実際に起こった未解決事件をもとにしたフィクションとのことで、10月12日の夜に何者かに焼殺された女子大生の事件を描く。
被害者は数人の男とつきあっていて、彼らが容疑者になるのだけれど、彼らの中には殺人事件の話をしているのにくすくす笑う男もいれば、セックスフレンドにすぎなかったという男(字幕ではセフレとなってるけど、わからない人もいるのでは?)、彼女につれなくされて怒りのあまり、焼き殺せという歌まで作ってしまった男、そして、妻に暴力をふるって大けがをさせた前科を持つ男などがいる。全員、無罪を主張し、結局、決め手のないまま未解決事件に。
未解決事件がテーマなので、最後まで未解決に終わるのは想像できたが、見ていると、どうもこれは女性差別の問題を扱った映画だな、ということがわかる。
殺された女性の友人の女性は、彼女は女だから殺された、と言う。男性関係の多い女性への偏見もある。事件を扱うのは男の刑事ばかりで、最初から犯人は男と決めつけていたり、妻との離婚に悩み、それが捜査に大きな影響を与え、刑事としてよくないふるまいをしてしまう男もいたり。
終盤、女性判事と女性刑事が登場し、女性の視点が入ってくる。特に女性刑事は、警察の4分の3は男尊女卑だとか、男が犯罪を犯し男が捜査するといった意見を言う。
容疑者の男たち、そして警察の男たちの女性蔑視のようなものがあらわれていて、こういう女性は殺していいと思ってしまう男もいるのだろう。冒頭、顔を隠した犯人が画面に登場し、せりふもあるので、容疑者の誰かが犯人ならば声でわかるのかもしれないが、容疑者以外に犯人がいる可能性もある。
ネットには、こうした女性差別のテーマについて、監督のインタビューを交えて論じた記事があるので、そちらが参考になる。
「デューン砂の惑星PART2」はシネコンで。歩いて行く途中にあった桜。
シネコンの入ったショッピングセンターは平日なのにファミリーで大混雑。子どもや中高生のような年齢の人たちが多かったのだけど、今日は何かの日だったのだろうか?
アカデミー賞作品賞ほか主要部門受賞の「オッペンハイマー」は2週間後から。
「デューン2」はIMAXもやってるけど、普通のスクリーンで。
ドゥニ・ヴィルヌーヴの「デューン」は1を見たときから私には肌が合わなくて、特にデイヴィッド・リンチの「砂の惑星」が大好きだから、これはそれほどいいとは思えなかった。しかも、タイトルにはPART1とはついていないので、1本で完結かと思ったら、つづく。アニメの「指輪物語」か?
でも、まあ、2部作なんですね、ってことで、2を見に行ったら、なんと、これも途中で終わり。詐欺だろ、これ。
で、例によって、評判はとってもよいんですが、私には合わない。
以下、ネタバレを含みます。
確かに映像はすごいけど、ストーリー的にはなんだろね、ポールが救世主になっていくんだけど、砂漠の民の1人としてなるのではなく、結局、アトレイデ公爵の跡継ぎとして救世主になるという。それを砂漠の民がみんな歓迎して、ただ一人、恋人の女性だけがおかしいと気づくのだけど、誰にも相手にされない。
この辺が映画の後半の展開で、砂漠の民は救世主だと喜んでるけど、ポールは皇帝の娘と政略結婚しようとしてるし、母親も陰謀を内に秘めてるし、そこで3につづく、という感じで終わる。
うーん、「砂の惑星」って、こういう話だったっけ? 原作読んだの相当前だけど、また読み直した方がいいだろうか。
なんかねえ、人物が薄いのよね。結局、父の復讐と帝国を支配することが目的みたいなポールといい、簡単にポールを救世主と信じて従う砂漠の民といい、人物として軽すぎる感じがしてならない。
もともとヴィジュアルを見せるのが目的みたいな映画で、ストーリーや人物は二の次になってる感じの映画なのだが、後半の展開がとにかくシラケるのだ。もっとも、前半はそれすらなくて退屈なんだけど。
1が面白くなかったから2は見なくてもいいかと思ったけれど、2で完結なら、と思って見に行ったのに、まだつづくのか。そして、3を見に行ったらさらに続くんだったりして。