新しい冷蔵庫を買ったので6000円くらいポイントがついて、これにいくらか足して、「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」のブルーレイを買おうと思っていたのです。
が、ここに来て、滋賀県でとんでもないニュースが。
74歳の女性を万引きで誤認逮捕、警察に82時間も拘留するという事件が。
女性は近江八幡市内の商業施設のフードコートで、名前を知らないけれど顔見知りの男性からいなり寿司をもらったあと、スーパーの売り場へ行き、そこでレシートのないいなり寿司がバッグの中にあったということで逮捕されてしまったのです。
スーパーは確認もせずに思い込みで警察に突き出し、警察もいなり寿司をくれた男性を探さず、スーパーに在庫確認も聞かず、3日間拘束。
女性がテレビ局に怒りをぶちまけてニュースになり、スーパーのぼやけた画像から「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」に大きく登場するH堂の経営する○○○○○近江八幡店であることがバレバレ。しかも、イ○ンと誤解するツイートがいくつもあってイ○ンが迷惑ということもあり、この店およびH堂が何の発表もしないことへの批判が集まっています。
「埼玉琵琶湖」では、高橋メアリージュンの演じる滋賀のジャンヌ・ダルクがH堂の旗を持っていたのですが、正直、この件で、あの映画に対する気持ちが下がりましたね。行田タワーと武蔵野線は好きなんだけど。
しかし、当の店はこの女性に謝罪してお詫び金を払ったのだろうか? もしそうなら、テレビに怒りをぶちまけるわけないような気がするのですが。女性としては警察が許せないのでしょうが、店も同罪と思うのが普通なわけで。しかもこの件、多くの人が関心を寄せるのは、自分が同じような被害を受ける可能性があると思うからです。レジ袋が有料になった今、よその店で買った商品をバッグに入れていただけで万引き扱いされる可能性があります。
というところで、「異人たち」。山田太一の小説「異人たちとの夏」の2度目の映画化で、原作は読んでいないけど、日本映画の方は見てますが、だいぶ昔のことなので、かなり忘れていました。今回はイギリスでのリメイクで、主人公をゲイに変えているのが特徴。
冒頭、ロンドンの町を見下ろすタワマンの窓に映る主人公の面影。その後もガラス窓に映る人物が何度か出てきますが、これが登場人物を霊的な存在に見せています。
英語の原題は「私たちはみな異人」というような意味で、人はみな他人で、だから孤独、みたいな意味にもとれるし、(ネタバレ)主人公も含め、全員、幽霊なのでは?という意味にもとれる。そもそも、2人しか住んでないタワマンがありえない世界なわけで。
主要人物を演じる4人の俳優がとてもいい。30年以上前に死んだはずの両親と、今は40代になっている息子との再会、そこでわかる親子の溝と和解、ゲイに対する親の時代と現代の感覚の違いと、最後には理解してくれる両親、そして、主人公と同性の恋人との関係。
ラスト(ネタバレ)、抱き合う2人が夜空の星になるのは、やっぱり2人は地上の人間ではなかったのだな、と思う。タワマンの27階に住む主人公の見下ろす町が、そもそも、彼が地上の人間でないことを示していたのかもしれない。幽霊である他の人々は地上、あるいはそこに近いところに住んでいるのだが。ゲイの2人がお互いの部屋の灯りを見上げるという、最初の方のシーンも意味深です。でも、主人公は下に降りることで孤独ではなくなったともいえる。
このところ、話題作だけど期待外れという作品が多かったのですが、これは心に響く映画でした。