2024年4月3日水曜日

「リンダはチキンがたべたい!」&「プリシラ」

 試写で見せていただいた2本の新作。どちらも4月12日公開予定。

「リンダはチキンがたべたい!」はフランスのアニメで、絵がとてもユニーク。はっきりとした線で描いていないが、それでもキャラクターの特徴はよくわかる。


亡き夫からもらった指輪を、幼い娘が友達の帽子と交換してしまったと勘違いして怒りをぶつけてしまった母親が、お詫びに、亡き夫の得意料理チキンパプリカを娘に作ってあげる約束をする。が、その当日はストライキで店はすべて休み。チキンを手に入れられない母娘は、鶏を飼っている家から1羽盗み出し、それで警察に追われる羽目になり、その上、鶏をどうやって殺したらいいのかわからず、いろいろな人を巻き込んで大混乱、というお話。

舞台は団地のようで、ほとんどの登場人物はそこに住む人々とその家族で、適度に顔見知りみたいな関係(鶏を飼っていた人は別)。最近、日本のアニメで団地が舞台の作品が複数あったけれど、これも団地が舞台のアニメのよう。ただ、人物だけでなく背景もユニークな描き方なので、風景とかあまりはっきり見せない。

鶏を盗んだり殺したりと、日本だったらちょっと子どもにはあからさまには見せないようなことを普通に描いている。

以下、ネタバレ。夫を失った母と父を失った娘、母の姉でヨガのインストラクター、その他さまざまな人が登場し、最後は母とその姉にロマンスが、というところがほのぼのとした感じで終わるのがよい。

「プリシラ」は、エルヴィス・プレスリーの妻プリシラとエルヴィスの関係を、ソフィア・コッポラが描く。


この映画、ロッテントマトでは批評家の評判がものすごくよいのだが、観客の評判はあまりよくない。私はちょっとこれは、あまり面白いとは思えなかった。

14歳でエルヴィスと知り合い、少女の頃はエルヴィスは保護者のように彼女をだいじにするが、高校を卒業して大人の関係になると、プリシラはエルヴィスの浮気やらなにやらいろいろ悩まされる。暴力的だったり気まぐれに彼女を遠ざけようとするエルヴィスに振り回され続けるプリシラの変化成長を描くようにも見えるし、彼女の眼を通して見たエルヴィスを描くようにも見えるが、うーん、いったいどっち?という感が最後までぬぐえなかった。