今週は「アイム・スティル・ヒア」と「ブラックバッグ」を見に行った。
相変わらず夜は3時間しか眠れず、睡眠不足だが(昼寝とかでなんとか補ってる)、先週の「ザ・ザ・コルダ~」と違って、睡魔には襲われなかった。
アカデミー賞作品賞候補になり、国際長編賞を受賞したブラジルの「アイム・スティル・ヒア」。1970年代初頭の軍事独裁政権時代を描く。
あの頃の中南米は軍事独裁政権が多く、しかもアメリカがそれを支援していたので、ハリウッド映画でもこの悲惨な実態を描く映画がいろいろあった。時代が変わって民主化が進み、最近はそういう映画をあまり見なくなった気がしたが、この映画はそういう時代差を感じるというか、リアルタイムの頃に比べて悲惨さが少なく、むしろ家族の絆をポジティヴに描く映画になっている。
リオデジャネイロに暮らす元国会議員が独裁政権に批判的であったころから軍隊に連行され、行方不明になり、妻と娘も連行されてきびしい取り調べを受ける。メイドを雇うような裕福な暮らしをしていたが、父親が行方不明で貯金もおろせず、困窮し、妻の実家のあるサンパウロに移住するが、その間も妻は戦い続ける。
リオの海で泳いだり浜辺で遊んだりするシーンが多く、サンパウロに移ってもプールに通うといったふうに、海辺が家族の記憶のシーンとして登場する。妻の訴えにマスコミも動き出し、写真を撮るときに「もっと深刻な顔をして」と言われるが、妻と子どもたちは笑顔を絶やさない。夫がすでに殺されているのは明らかなのだが、こういった描写はリアルタイムの映画ではありえなかっただろう。
ポルトガル語の原題を英訳した「アイム・スティル・ヒア」を日本題名にしたのには疑問が残る。「私はまだここにいる」の方がずっとインパクトがあるし、わかりやすい。「私はまだここでがんばっている」という妻や子どもたちの気持ちであり、独裁政権の恐怖はいつまた起こるかもしれないという警告でもある。
その一方で、このタイトルの「私」は、行方不明になった父親の一人称の意味もあるのではないか。不在となった父親を含む集合写真が何度も登場し、父はまだここにいる、という家族の思いが強調されている。
スティーヴン・ソダーバーグ監督のスパイ・サスペンス「ブラックバッグ」。
「ザ・ザ・コルダ~」も「アイム・スティル・ヒア」もそうだけど、この手のちょっとアート系の映画は最近、午前中開始か夜しかやらないのだよね。「ブラックバッグ」あちこちでやってるけど、午後の時間帯だと都心まで行かないとだめ。近場で見られるだけありがたいのだけど、以前より不便になっている。
「ブラックバッグ」は原発のメルトダウンを引き起こさせるソフトウェアが盗まれ、早く犯人を見つけないと大惨事になるので、諜報員ジョージが1週間以内に犯人を見つけるよう命じられる。容疑者は諜報員同士の2組のカップルと、そして同じく諜報員の妻。
犯人捜しよりソフトウェアを無効にする対策ソフトを開発する方がいいと思うのだが、まあよい。
ジョージはまず、6人で会食することにし、妻以外の4人に自白剤を入れた料理を食べさせる。その結果、何が起こるかというと、浮気や不倫の暴露なんですね。それ以前にジョージの上司が不倫して妻に許してもらえず悩んでるという話があって、また、ジョージも父親の不倫が許せず、両親を破滅させるようなことをした、という過去が。
世界の危機を救う話のはずなのに、不倫と浮気の暴露話か? セックスと嘘とブラックバッグ?
パートナーの不倫を知った女性たちは、絶対許さない、あるいは、怒りのあまりとんでもないことをする。
全員スパイなんだから、相手が不倫してるかも、くらいの疑いを持ったことはないのかね?
前半では何を盗まれたかもよくわからなくて、せりふの中に出てくる単語がイミフだったりで、諜報員たちもスパイとしての仕事してるよりはセックスに悩んでるみたいな印象で、なんだかよくわからない映画だった。
まあ、結局、ネットのネタバレ解説なんか見た感じだと、夫婦やカップルが諜報員同士だと信頼が失われる、その信頼を、ジョージ夫妻がいかに取り戻すか、みたいな話のようだ。
いやいや、真犯人は別人で、ラストはバッドエンドだ、という主張もあったけど、文章が支離滅裂だった。わかりやすい方の解説でさえも、どこかすっきりしない。絶賛はされてるんですけどね。
90分余りと短い映画なので、2度3度と見ればわかるのだろうけど、そこまで入れ込む映画ではないな、わたくし的には。
ジョージと妻が互いに愛情がある、というのは、ところどころのシーンでわかった。
映画のあとは、葛飾区図書館へ予約した本を取りに行った。
新松戸駅から徒歩20分ほどのところにあるシネコンなのだけど、そこから新松戸方面へ行ったことはなかった。バスがあるが、駅の周辺で遠回りするので歩いた方が速そう。地図をしっかり確かめて大通りを歩き始めると、しだいに道幅が狭くなり、道の両側に林が現れる。そこにこんな看板が。
動物注意って、普通はキツネや鹿の絵を描くものだが、猫とは。まあ、キツネや鹿は出ませんが。
このあたりは起伏が激しく、道は地図で見るのと現実に見るのでは違う。それでもなんとか迷わずに脇道に入り、車通行困難と書かれていた細い道に入ると、眼下に新松戸駅が。
階段を降りたところ。草ぼうぼうのところはわりと最近まで畑だったのだが、ここに建物が建ってしまうのかな。(追記あり)
階段の方を見る。丘の上の方は起伏が激しくて、山あり谷ありみたいな地形だったが、新松戸駅のあたりは低くなっている。
改札から入ったら、武蔵野線のホームへしか行けない改札で、いったん高い武蔵野線のホームへ行って、そこから地上のホームに降りていった。新松戸はほとんど来たことないのだけど、以前来たときは駅の周辺が初心者にはかなりむずかしい地域だった。
葛飾区図書館で借りたのは猫のまるちゃんの本2冊。箱に入る猫として有名だったけれど、今月7日についに鬼籍に入ってしまったらしい。スコティッシュは寿命が短いと聞いていて、お水ちゃんと呼ばれる猫の同居猫、うしちゃんがやはりスコティッシュで、すでに亡くなってしまったので、まるちゃんもそう遠くないうちに、と思ってはいた。
10年間、まるちゃんのカレンダーを買い続けていたけど、最近は写真がイマイチなので、来年は買わなくていいかな、と思っていたが、これが最後だから買わないわけにはいかなくなってしまった。ちょうど10年前の9月に今の団地に引越してきて、近くのスーパーでまるちゃんのカレンダーを売っていて、年が明けたら800円に値下げされていたので買ったのが最初。以後、毎年買っていて、売り切れてしまった1度をのぞき、1割引きで売っているそのスーパーで買っていた。そのスーパーもドンキが入って、カレンダーは今年は扱っていない。商品券があるロフトで買うつもりだけど、なんだか、いろいろ寂しいね。
追記
新松戸駅前の農園は今年5月に閉園したとのこと。
新松戸駅前の「さかい市民農園」が閉園、解体工事がスタート予定 - 松戸つうしん - 千葉県松戸市の地域情報ブログ
この記事の中のリンク先に、農園だった頃の写真が出ています。常磐線のホームで電車を待ちながら見ていた風景なので、とても寂しい。