確定申告の税金の計算をしておこうと、エクセルで収入などの計算をしたあと、まだ封を開けていなかった税務署からの書類の封筒を開いてびっくり。
なんと、事業所得の必要経費などの書類が入ってなかった!
なんで? と思って、去年の書類を見たら、その前の年の事業所得、つまり著述業の収入が12万かそこらしかなかったのだった。
つまり、給与以外が20万円以下の場合は申告しないでいい、ということね。
でも、しっかり1割源泉徴収されているので、それは取り戻さねば!
雑所得にしろってことか。
まあ、何がショックだったって、ついに、著述業あるいは文筆業として認めてもらえなくなったのか、ってことです。
その12万かそこらの前の年は翻訳書が出たので、かなりの収入があったはず。が、一転して雑所得に転落か。
わたくしとしては、やはり、著述業、文筆業であり続けたいのです。
そして、本名ではなく、筆名の仕事を続けていきたいのです。
この前は論文書こうとか宣言してましたが(実現の可能性は別)、論文だと本名なんだよね。
しゃあない、BookJapanに書くか、って、そういう言い方はないだろ!(書こう、書こうと思っている書評はあります。)
思えば、私は長い間、非常勤講師と自営業の二足のわらじをはいていました。
そもそも、最初は非常勤講師と予備校の模擬試験の採点料が収入源でした。
そして、29歳のとき、ついに評論家デビュー(というほどのものではないが)。
しかし、評論の原稿料はすずめの涙、映画関係の産業翻訳の仕事を紹介され、そっちの方が収入はよかったという時代が続き、でも、一番多かったのは非常勤講師だったので、評論や翻訳の原稿料は雑所得で申告していました。
それが変わったのが1999年度。つまり、20世紀末。
90年代後半、非常勤講師の仕事が減り、ついに1箇所だけになり、そのかわり、翻訳書を出すようになって、給与所得と事業所得の割合が一変したのです。事業所得の方が多くなり、そうなるともう雑所得では申告できないので、おそるおそる必要経費などを計算し、自営業者となったのでした。
しかし、翻訳出版界は超氷河期。1年1冊本を出すこともむずかしく、おまけに私の性格が災いして、ついに翻訳出版の仕事は皆無に。一時は産業翻訳もやってましたが、こちらも軌道に乗らず、結局、ネットの大学講師の公募に応募して、20回くらい応募して、やっと1つ非常勤ゲット。それから2年後にもう1つ非常勤ゲット。で、大学院在学中から続けている某大学とあわせて3大学で非常勤をするようになり、こうして給与所得中心にまた戻ってしまったのでした。
まあ、大学の非常勤なんて、普通はコネで決まるので、コネなしで2つの大学で採用され、しかもどちらも映画の仕事を評価されての採用なので、本当に感謝しているし、とてもやりがいのある授業をさせてもらっています。だから、この仕事はできる限り続けたい。
でも、やはり、筆名の仕事、著述の仕事、これもここで終わりたくない。翻訳は、もしかしたら私は向いてなくてだめかもしれないけど(あんなにチャンスがありながら、ものにできなかったのは、向いてないのだろう)、著述は続けたいと思っています(ブログに書いてるが、もっと違うものをぜひ)。
2013年2月18日月曜日
2013年2月16日土曜日
年収10万円
お笑いタレントのキンタローが昨年の芸人収入が10万円だったことを明かした、というニュースがありました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130215-00000064-dal-ent
お笑い芸人のことは詳しくないので、この方がどういう芸人なのかわかりませんが、昨年暮れからブレイクとのこと。でも、確かに、売れない芸人や役者など、アルバイトで食べているというのは珍しくないでしょう。
さて、確定申告が始まりましたが、実は、私も著述業の年収は昨年は10万円でした。
翻訳など他の仕事も含めたいわゆる事業所得が年収10万円というのはたぶん初めてだと思う。
翻訳はもう3年くらいやってない気がしますが、その前は翻訳の仕事は名前の出ない地味なのとかでちょこちょこあって、それに映画評などの著述の仕事もあって、年収は数十万はありましたが、昨年は10万、しかも、去年の春以後、原稿料のもらえる仕事がないので、今年はゼロもありえます。
いかん、いいかげん、危機感を持たねば。
実際、無名のライターというのは40代でしだいに仕事がなくなり、50代になるとまったくなくなるとも言われていて、有名にならないときびしい世界です。若いうちは無名でもそこそこ仕事があって、仕事探しも楽だったりしますが、年をとって無名だときびしい。そこで必要なのは企画力、なのですが、どうも、世の中に受ける企画を考えるのが苦手で。
などといっていてはいけません。知り合いの編集者も現場を離れたり、引退している昨今、それでもまだ知り合いが現役でいるうちになんとかしなければ。
昨年の夏休み、前期の非常勤講師の忙しさで映画も見られず、何もできなかったので、長い休みは本当に楽しみだったのに、なぜか、夏休みになったら軽いうつ状態になってしまいました。
そして後期が始まり、また忙しかったので、春休みを楽しみにしていたら、2月に入ったらまたしても軽いうつ状態。
これはいけない、と思い、まず考えたのは、論文を書こう!
長い間研究論文を書いていないのですが、非常勤先の大学の紀要に書くことはできるのです。
論文はだいたい7月が募集締切で、原稿締切は9月。しかし、毎年、論文募集があっても、忙しい前期のさなかには論文テーマを考えられず、結局、書かずに来てしまいました。
しかし、春休みに論文のことを計画的に考えておけば、書けるはず。
かどうかはわかりませんが(雑誌の原稿ばかり書いていると、論文の書き方を忘れます)、とにかく何かやらないとうつ状態、ということがわかったので、趣味でも何でもいいから休みを有効に生かして、できれば、今年も著述業の収入が得られるようにしたいです(研究論文は原稿料は出ませんが)。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130215-00000064-dal-ent
お笑い芸人のことは詳しくないので、この方がどういう芸人なのかわかりませんが、昨年暮れからブレイクとのこと。でも、確かに、売れない芸人や役者など、アルバイトで食べているというのは珍しくないでしょう。
さて、確定申告が始まりましたが、実は、私も著述業の年収は昨年は10万円でした。
翻訳など他の仕事も含めたいわゆる事業所得が年収10万円というのはたぶん初めてだと思う。
翻訳はもう3年くらいやってない気がしますが、その前は翻訳の仕事は名前の出ない地味なのとかでちょこちょこあって、それに映画評などの著述の仕事もあって、年収は数十万はありましたが、昨年は10万、しかも、去年の春以後、原稿料のもらえる仕事がないので、今年はゼロもありえます。
いかん、いいかげん、危機感を持たねば。
実際、無名のライターというのは40代でしだいに仕事がなくなり、50代になるとまったくなくなるとも言われていて、有名にならないときびしい世界です。若いうちは無名でもそこそこ仕事があって、仕事探しも楽だったりしますが、年をとって無名だときびしい。そこで必要なのは企画力、なのですが、どうも、世の中に受ける企画を考えるのが苦手で。
などといっていてはいけません。知り合いの編集者も現場を離れたり、引退している昨今、それでもまだ知り合いが現役でいるうちになんとかしなければ。
昨年の夏休み、前期の非常勤講師の忙しさで映画も見られず、何もできなかったので、長い休みは本当に楽しみだったのに、なぜか、夏休みになったら軽いうつ状態になってしまいました。
そして後期が始まり、また忙しかったので、春休みを楽しみにしていたら、2月に入ったらまたしても軽いうつ状態。
これはいけない、と思い、まず考えたのは、論文を書こう!
長い間研究論文を書いていないのですが、非常勤先の大学の紀要に書くことはできるのです。
論文はだいたい7月が募集締切で、原稿締切は9月。しかし、毎年、論文募集があっても、忙しい前期のさなかには論文テーマを考えられず、結局、書かずに来てしまいました。
しかし、春休みに論文のことを計画的に考えておけば、書けるはず。
かどうかはわかりませんが(雑誌の原稿ばかり書いていると、論文の書き方を忘れます)、とにかく何かやらないとうつ状態、ということがわかったので、趣味でも何でもいいから休みを有効に生かして、できれば、今年も著述業の収入が得られるようにしたいです(研究論文は原稿料は出ませんが)。
2013年2月15日金曜日
憂鬱というには美しすぎる青
注意! この記事はスサンネ・ビア監督の新作「愛さえあれば」についてですが、ネタバレ大ありです。ご注意ください。
「未来を生きる君たちへ」がアカデミー賞外国語映画賞を受賞したデンマークの監督スサンネ・ビアの新作「愛さえあれば」は、イタリアで挙式するカップルとその家族の物語。
イギリス人の父とデンマーク人の母を持つパトリックとデンマーク人の両親を持つアストリッドは、パトリックの父が持つイタリアの別荘で結婚式を挙げることにする。別荘のまわりには父が育てたレモンの果樹園が広がっている。
一方、それぞれの親や家族はデンマークからイタリアへと向かう。パトリックの父フィリップは妻を交通事故で失い、今は仕事のことしか頭にない仕事人間。アストリッドの母イーダはようやく乳癌が治ったものの、髪の毛と乳房を失い、転移の不安もあるときに夫の不倫を知り、離婚を決意。そんなフィリップとイーダが空港の駐車場で鉢合わせ、車をぶつけて最初はけんかになるが、新郎新婦の親とわかって一緒にイタリアへ。現地にはイーダの夫がこともあろうに愛人を連れてやってきていて、同情したフィリップとイーダの間に愛が芽生える、という熟年カップルのラブストーリーだ。
別荘にはこのほか、フィリップの亡き妻の妹で、フィリップと相思相愛だと勝手に思い込んでいるKYな女が来ていたり、料理などの手伝いに来ている地元の青年が実は……と、別荘に集まった人々のさまざまな人間模様が描かれる。そして、結婚するはずの若いカップルの間にも亀裂が、という展開になっていく。
スサンネ・ビアの映画としては、この「愛さえあれば」はこれまでの作品に比べてあまり深刻なところがなく、また、奇抜なところやユニークなところもない。つまり、イタリアを舞台に作られた過去のハリウッド映画やヨーロッパ映画とあまり変わらないのである。ストーリーテリングは相変わらずうまいが、結局は中年女性の願望を描いたラブロマンスという感じが強い。イーダを演じるトリーネ・ディアホルムは魅力的だけれど、平凡な普通の中年女性であることが基本。対するフィリップのピアース・ブロスナンは年はとってもロマンスグレイで、平凡な普通の中年男ではなく、中年女性にとって夢やロマンを感じさせる。イタリアに別荘と果樹園を持つ会社社長というのもロマンスの相手役としては魅力であり、平凡な中年男であるイーダの夫とはあまりにも対照的だ。
そんな具合に、物語だけ見れば、これは中年女性のロマンス映画なのだけれど、スサンネ・ビアは、この映画ではロマンスやストーリー以外のところに力を入れている。それは映画の色彩だ。
水色のビルがレモン色に染まるファーストシーン。そして登場する俳優たち。彼らの青い目が、異様に青いのだ。北欧なので目の色が青い人が多く、また、ブロスナンも青い目である。彼らの青い目が、自然な青さではなく、異様なまでに青い。
映画が進むにつれて、特にイタリアへ行ってからは、この青がやたらと画面から浮かび上がる。俯瞰でとらえたイタリアの町のところどころにある青。家や庭にある青い椅子や家具や壁や飾り。そして、登場人物の着る青い衣装。ブロスナン演じるフィリップは青いシャツを着ている。その息子パトリックも青いシャツを着ている。フィリップに言い寄るKYな女(妻の妹)も青いドレスを着ている。そして、イーダの夫が連れてきた愛人もまた青いドレスだ。彼女はアイシャドウも青い。
そんな青い衣装の中で、イーダはイタリアでは一貫して赤を身にまとっている。最初は赤いカーディガン、次に輝くような赤のドレス。しかし、この映画の映像はあくまで青を引き立てる。オレンジ色や黄色が基調のイタリアの風景の中で、イーダのドレスや夕日の赤よりも、一部の登場人物の着る青い衣装や青い小道具が他の色を押しのけて自己主張している。
若いカップルは結局、結婚式をやめてしまい、人々はデンマークへ帰る。暖色のイタリアから灰色の北欧へ。しかし、その灰色の風景の中には、青い作業服を着た男たちがいる。そして、イーダは、デンマークへ帰ると一転、衣装は青になる。もう彼女は赤を着ない。彼女が勤める美容院も青で統一されている。イーダの夫は愛人と別れ、赤いバラをたくさん用意して復縁を迫る。夫も青い服を着る。そこへイーダを忘れられないフィリップが彼女を訪ねてくる。フィリップのスーツも青だ。イーダはいったんはフィリップの求愛を退けるが、夫と別れてイタリアへ行く。
イタリアでは、イーダはレモン色のドレスを着ている。たぶんそうなると思っていた。フィリップは白いシャツを着ている。しかし、レモンの果樹園では、作業員たちが青い箱にレモンをつめているのだ。その青い箱が、箱の青が、画面の中で異様に輝いている。
正直、私には人間模様よりも色彩の方が面白く、そればかり注意して見ていたのだが、スサンネ・ビアはこの映画の青に何をこめたのだろうか?
異様なまでに青い瞳、フィリップの義理の妹やイーダの夫の愛人のようないやな人物に青い衣装を着せたり、何か問題を抱えているフィリップと息子に青いシャツやスーツを着せたり、そしてなにより、デンマークに戻ると青が増えること。イーダさえも青を着ること。青は現実を表し、イタリアでイーダが着る赤は夢を表すのだろうか。
フィリップやイーダたちがイタリアから帰る直前、イーダが立ち去ると、別荘の庭に赤いベンチがあるのがわかるシーンがある。別荘の庭に青い椅子があるのはそれまでに何度も見えていたのだが、赤いベンチがあるのはこのとき気がついた。赤いベンチを去っていくイーダは夢から現実に変える彼女をあらわしているのか。
あるいは、この映画の色彩には、それほど深い意味はないのかもしれない。それでも、ラストの果樹園でも青が強く自己主張しているように、青は人生の中心にあるもの、生活、という意味なのかもしれない。それにしても、この映画の青は、憂鬱という意味のブルーと同じ言葉にしては、輝くほど美しく、しかも現実離れしている。
日本語のタイトルは「愛さえあれば」。英語のタイトルは「Love is All You Need」(あなたに必要なのは愛だけ)。デンマーク語のタイトルはわからないが、英語タイトルと同じだとしたら、これは「愛さえあれば」という意味にもとれるし、「あなたに欠けているのは愛だけ」という意味にもとれる。この映画では、愛さえあれば何もいらない、という意味ではないだろう。
「未来を生きる君たちへ」がアカデミー賞外国語映画賞を受賞したデンマークの監督スサンネ・ビアの新作「愛さえあれば」は、イタリアで挙式するカップルとその家族の物語。
イギリス人の父とデンマーク人の母を持つパトリックとデンマーク人の両親を持つアストリッドは、パトリックの父が持つイタリアの別荘で結婚式を挙げることにする。別荘のまわりには父が育てたレモンの果樹園が広がっている。
一方、それぞれの親や家族はデンマークからイタリアへと向かう。パトリックの父フィリップは妻を交通事故で失い、今は仕事のことしか頭にない仕事人間。アストリッドの母イーダはようやく乳癌が治ったものの、髪の毛と乳房を失い、転移の不安もあるときに夫の不倫を知り、離婚を決意。そんなフィリップとイーダが空港の駐車場で鉢合わせ、車をぶつけて最初はけんかになるが、新郎新婦の親とわかって一緒にイタリアへ。現地にはイーダの夫がこともあろうに愛人を連れてやってきていて、同情したフィリップとイーダの間に愛が芽生える、という熟年カップルのラブストーリーだ。
別荘にはこのほか、フィリップの亡き妻の妹で、フィリップと相思相愛だと勝手に思い込んでいるKYな女が来ていたり、料理などの手伝いに来ている地元の青年が実は……と、別荘に集まった人々のさまざまな人間模様が描かれる。そして、結婚するはずの若いカップルの間にも亀裂が、という展開になっていく。
スサンネ・ビアの映画としては、この「愛さえあれば」はこれまでの作品に比べてあまり深刻なところがなく、また、奇抜なところやユニークなところもない。つまり、イタリアを舞台に作られた過去のハリウッド映画やヨーロッパ映画とあまり変わらないのである。ストーリーテリングは相変わらずうまいが、結局は中年女性の願望を描いたラブロマンスという感じが強い。イーダを演じるトリーネ・ディアホルムは魅力的だけれど、平凡な普通の中年女性であることが基本。対するフィリップのピアース・ブロスナンは年はとってもロマンスグレイで、平凡な普通の中年男ではなく、中年女性にとって夢やロマンを感じさせる。イタリアに別荘と果樹園を持つ会社社長というのもロマンスの相手役としては魅力であり、平凡な中年男であるイーダの夫とはあまりにも対照的だ。
そんな具合に、物語だけ見れば、これは中年女性のロマンス映画なのだけれど、スサンネ・ビアは、この映画ではロマンスやストーリー以外のところに力を入れている。それは映画の色彩だ。
水色のビルがレモン色に染まるファーストシーン。そして登場する俳優たち。彼らの青い目が、異様に青いのだ。北欧なので目の色が青い人が多く、また、ブロスナンも青い目である。彼らの青い目が、自然な青さではなく、異様なまでに青い。
映画が進むにつれて、特にイタリアへ行ってからは、この青がやたらと画面から浮かび上がる。俯瞰でとらえたイタリアの町のところどころにある青。家や庭にある青い椅子や家具や壁や飾り。そして、登場人物の着る青い衣装。ブロスナン演じるフィリップは青いシャツを着ている。その息子パトリックも青いシャツを着ている。フィリップに言い寄るKYな女(妻の妹)も青いドレスを着ている。そして、イーダの夫が連れてきた愛人もまた青いドレスだ。彼女はアイシャドウも青い。
そんな青い衣装の中で、イーダはイタリアでは一貫して赤を身にまとっている。最初は赤いカーディガン、次に輝くような赤のドレス。しかし、この映画の映像はあくまで青を引き立てる。オレンジ色や黄色が基調のイタリアの風景の中で、イーダのドレスや夕日の赤よりも、一部の登場人物の着る青い衣装や青い小道具が他の色を押しのけて自己主張している。
若いカップルは結局、結婚式をやめてしまい、人々はデンマークへ帰る。暖色のイタリアから灰色の北欧へ。しかし、その灰色の風景の中には、青い作業服を着た男たちがいる。そして、イーダは、デンマークへ帰ると一転、衣装は青になる。もう彼女は赤を着ない。彼女が勤める美容院も青で統一されている。イーダの夫は愛人と別れ、赤いバラをたくさん用意して復縁を迫る。夫も青い服を着る。そこへイーダを忘れられないフィリップが彼女を訪ねてくる。フィリップのスーツも青だ。イーダはいったんはフィリップの求愛を退けるが、夫と別れてイタリアへ行く。
イタリアでは、イーダはレモン色のドレスを着ている。たぶんそうなると思っていた。フィリップは白いシャツを着ている。しかし、レモンの果樹園では、作業員たちが青い箱にレモンをつめているのだ。その青い箱が、箱の青が、画面の中で異様に輝いている。
正直、私には人間模様よりも色彩の方が面白く、そればかり注意して見ていたのだが、スサンネ・ビアはこの映画の青に何をこめたのだろうか?
異様なまでに青い瞳、フィリップの義理の妹やイーダの夫の愛人のようないやな人物に青い衣装を着せたり、何か問題を抱えているフィリップと息子に青いシャツやスーツを着せたり、そしてなにより、デンマークに戻ると青が増えること。イーダさえも青を着ること。青は現実を表し、イタリアでイーダが着る赤は夢を表すのだろうか。
フィリップやイーダたちがイタリアから帰る直前、イーダが立ち去ると、別荘の庭に赤いベンチがあるのがわかるシーンがある。別荘の庭に青い椅子があるのはそれまでに何度も見えていたのだが、赤いベンチがあるのはこのとき気がついた。赤いベンチを去っていくイーダは夢から現実に変える彼女をあらわしているのか。
あるいは、この映画の色彩には、それほど深い意味はないのかもしれない。それでも、ラストの果樹園でも青が強く自己主張しているように、青は人生の中心にあるもの、生活、という意味なのかもしれない。それにしても、この映画の青は、憂鬱という意味のブルーと同じ言葉にしては、輝くほど美しく、しかも現実離れしている。
日本語のタイトルは「愛さえあれば」。英語のタイトルは「Love is All You Need」(あなたに必要なのは愛だけ)。デンマーク語のタイトルはわからないが、英語タイトルと同じだとしたら、これは「愛さえあれば」という意味にもとれるし、「あなたに欠けているのは愛だけ」という意味にもとれる。この映画では、愛さえあれば何もいらない、という意味ではないだろう。
2013年2月14日木曜日
レ・ミゼラブル
なんだか久しぶりに有楽町で映画を見てきました。
昔は銀座周辺に試写室が多くて、銀座・日比谷あたりはよく徘徊していたものですが、最近は試写は京橋か六本木という感じになっています。で、映画館もあまり行ってないな。いかん。今年度までは水曜が仕事でレディスデーを利用できなかったけれど、来年度は水曜があいたので、がんばります。
というわけで、日劇で見た「レ・ミゼラブル」。日本でも大ヒットした舞台のミュージカルの映画化、ということで、それだけである程度の集客は見込めると思いましたが、予想を上回る大ヒットとか。
そうでしょう、そうでしょう。だって、ここに描かれている世界が、今の日本にとって、他人事でなくなってきているもの。
1度失敗したらやり直せない、とか。食べるだけで精一杯の生活、とか。歌詞にもあったけど、平等なんて天国に行ってから、とか。それでも、人の恩に報いようとする主人公たち、暗い夜も必ず明けると信じる人々。それが歌になって響いてくるんだからたまりません。
もっとも、全編歌の映画はいや、という人には向いてないかもしれませんが、でも、「オペラ座の怪人」もそうだけど、最近のミュージカルはだいたいこうよ。
本当のところをいうと、あまり期待はしてなかったです。私はどうも、最近の、歌が専門でない役者が歌うミュージカルというのが好きでないのです。「オペラ座の怪人」のファントム役についても文句を書きましたが、「スウィーニー・トッド」のジョニデとヘレナ・ボナム・カーターも、あの歌唱力ではねえ。それで、今度はヒュー・ジャックマンやラッセル・クロウやアン・ハサウェーが歌っていると聞いても、また素人の歌かい、と思ってしまうのでした。
しかし、ジャックマンとハサウェーはわりとうまかったです。クロウは最初の方はよかったけど、だんだん苦しく。アマンダ・セイフライドのコゼットだけはほかの女優にしてほしかった。あとは、エディ・レドメインもわりとよかったし、サッシャ・バロン・コーエンとヘレナ・ボナム・カーターのテナルディ夫妻は演技的によかった。そして、一番すばらしかったのは、舞台でも同じ役を演じた本物の歌手、エポニーヌのサマンサ・バークスです。
このエポニーヌは、出番は少ないけど儲け役で、一番有名な歌をソロで歌うし、役柄も、コゼットを愛するマリウスに片思いしながら、彼のために尽くし、男装して革命に身を投じて死ぬという、まさに貧民街のオスカル、という感じ。両親があくどいテナルディ夫妻なのに、純な心を持って育つというか、この映画ではわからなかったけど、革命に加わる少年もあの夫婦の子供だったのね(原作では)。この少年もすごくよかった。
映像も、映画的なところもあれば舞台的なところもありで、よかったんじゃないでしょうか。
「オペラ座の怪人」だと、3人の主役が歌いっぱなし、みたいな感じなのですが、「レ・ミゼラブル」は主要人物の数が多く、歌いっぱなしではないので、その辺も役者にとってはよかったかもです。
ただ、全編歌のミュージカルは、やはり、舞台で見た方が緊張感が途切れなくていいのかな、映画だと幕間もないし、どうしてものっぺらとした感じになってしまうのかな、という気もします。
あと、ラッセル・クロウのジャベールは、あれはだめだね。ジャベールは自分は正義だと思い込んでいる男で、悪役だけど悪人ではないのだが、クロウだと、そういう複雑さとか、内なる闇とか、そういうのが出ない。また、クライマックスの歌が歌唱的に苦しいので、ジャベールの造型という点ではかなり落ちます(舞台は見てないので、比較しているのではないが)。
なんでも、フランスで作られたテレビドラマの「レ・ミゼラブル」が、ジェラール・ドパルデューのジャン・バルジャン、ジョン・マルコヴィッチのジャベールだそうで、このマルコヴィッチのジャベールがいいらしい。そりゃいいだろうなあ。でも、6時間の完全版はDVDになってないようです。
「レ・ミゼラブル」の映画化としては、リーアム・ニーソン版よりは、このミュージカルの映画化は気に入っています。ニーソン版もけっこう人気高いようですが、私はこれの前にクロード・ルルーシュ監督、ジャン・ポール・ベルモンド主演のフランス映画を見てたので、ニーソン版は劣って見えました。このルルーシュ版は、時代を20世紀に置き換えた異色作で、ゴールデングローブ賞の外国語映画賞をとっているにもかかわらず、日本ではまったく無視されていて、ウィキペディアに項目さえないようです(もちろん、日本公開はされている)。allcinemaのサイトのコメント欄にも、どうしてこの映画が有名でないのか、というコメントがあって、同感です。DVD化もされてないらしい。これを機会にルルーシュ版のDVD化を希望します!
というわけで、とりあえずは満足のレディスデーの「レ・ミゼラブル」でした。午後の回でしたが、けっこうお客さん入ってましたね。前の晩にネットで予約したのですが、夜の回は前の晩には中央の席はかなり予約で埋まっていました。
追記 言うまでもなく、原作はフランス文学のヴィクトル・ユーゴーで、私は子供向けの「ああ無情」しか読んでませんが、このユーゴーの娘を描いたのがトリュフォーの「アデルの恋の物語」。今でいうと女性のストーカーなんだけど、公開当時はロマンチックな物語として受け取られていました(映画もそういうふうに描いていた)。
昔は銀座周辺に試写室が多くて、銀座・日比谷あたりはよく徘徊していたものですが、最近は試写は京橋か六本木という感じになっています。で、映画館もあまり行ってないな。いかん。今年度までは水曜が仕事でレディスデーを利用できなかったけれど、来年度は水曜があいたので、がんばります。
というわけで、日劇で見た「レ・ミゼラブル」。日本でも大ヒットした舞台のミュージカルの映画化、ということで、それだけである程度の集客は見込めると思いましたが、予想を上回る大ヒットとか。
そうでしょう、そうでしょう。だって、ここに描かれている世界が、今の日本にとって、他人事でなくなってきているもの。
1度失敗したらやり直せない、とか。食べるだけで精一杯の生活、とか。歌詞にもあったけど、平等なんて天国に行ってから、とか。それでも、人の恩に報いようとする主人公たち、暗い夜も必ず明けると信じる人々。それが歌になって響いてくるんだからたまりません。
もっとも、全編歌の映画はいや、という人には向いてないかもしれませんが、でも、「オペラ座の怪人」もそうだけど、最近のミュージカルはだいたいこうよ。
本当のところをいうと、あまり期待はしてなかったです。私はどうも、最近の、歌が専門でない役者が歌うミュージカルというのが好きでないのです。「オペラ座の怪人」のファントム役についても文句を書きましたが、「スウィーニー・トッド」のジョニデとヘレナ・ボナム・カーターも、あの歌唱力ではねえ。それで、今度はヒュー・ジャックマンやラッセル・クロウやアン・ハサウェーが歌っていると聞いても、また素人の歌かい、と思ってしまうのでした。
しかし、ジャックマンとハサウェーはわりとうまかったです。クロウは最初の方はよかったけど、だんだん苦しく。アマンダ・セイフライドのコゼットだけはほかの女優にしてほしかった。あとは、エディ・レドメインもわりとよかったし、サッシャ・バロン・コーエンとヘレナ・ボナム・カーターのテナルディ夫妻は演技的によかった。そして、一番すばらしかったのは、舞台でも同じ役を演じた本物の歌手、エポニーヌのサマンサ・バークスです。
このエポニーヌは、出番は少ないけど儲け役で、一番有名な歌をソロで歌うし、役柄も、コゼットを愛するマリウスに片思いしながら、彼のために尽くし、男装して革命に身を投じて死ぬという、まさに貧民街のオスカル、という感じ。両親があくどいテナルディ夫妻なのに、純な心を持って育つというか、この映画ではわからなかったけど、革命に加わる少年もあの夫婦の子供だったのね(原作では)。この少年もすごくよかった。
映像も、映画的なところもあれば舞台的なところもありで、よかったんじゃないでしょうか。
「オペラ座の怪人」だと、3人の主役が歌いっぱなし、みたいな感じなのですが、「レ・ミゼラブル」は主要人物の数が多く、歌いっぱなしではないので、その辺も役者にとってはよかったかもです。
ただ、全編歌のミュージカルは、やはり、舞台で見た方が緊張感が途切れなくていいのかな、映画だと幕間もないし、どうしてものっぺらとした感じになってしまうのかな、という気もします。
あと、ラッセル・クロウのジャベールは、あれはだめだね。ジャベールは自分は正義だと思い込んでいる男で、悪役だけど悪人ではないのだが、クロウだと、そういう複雑さとか、内なる闇とか、そういうのが出ない。また、クライマックスの歌が歌唱的に苦しいので、ジャベールの造型という点ではかなり落ちます(舞台は見てないので、比較しているのではないが)。
なんでも、フランスで作られたテレビドラマの「レ・ミゼラブル」が、ジェラール・ドパルデューのジャン・バルジャン、ジョン・マルコヴィッチのジャベールだそうで、このマルコヴィッチのジャベールがいいらしい。そりゃいいだろうなあ。でも、6時間の完全版はDVDになってないようです。
「レ・ミゼラブル」の映画化としては、リーアム・ニーソン版よりは、このミュージカルの映画化は気に入っています。ニーソン版もけっこう人気高いようですが、私はこれの前にクロード・ルルーシュ監督、ジャン・ポール・ベルモンド主演のフランス映画を見てたので、ニーソン版は劣って見えました。このルルーシュ版は、時代を20世紀に置き換えた異色作で、ゴールデングローブ賞の外国語映画賞をとっているにもかかわらず、日本ではまったく無視されていて、ウィキペディアに項目さえないようです(もちろん、日本公開はされている)。allcinemaのサイトのコメント欄にも、どうしてこの映画が有名でないのか、というコメントがあって、同感です。DVD化もされてないらしい。これを機会にルルーシュ版のDVD化を希望します!
というわけで、とりあえずは満足のレディスデーの「レ・ミゼラブル」でした。午後の回でしたが、けっこうお客さん入ってましたね。前の晩にネットで予約したのですが、夜の回は前の晩には中央の席はかなり予約で埋まっていました。
追記 言うまでもなく、原作はフランス文学のヴィクトル・ユーゴーで、私は子供向けの「ああ無情」しか読んでませんが、このユーゴーの娘を描いたのがトリュフォーの「アデルの恋の物語」。今でいうと女性のストーカーなんだけど、公開当時はロマンチックな物語として受け取られていました(映画もそういうふうに描いていた)。
2013年2月11日月曜日
女子アイスホッケー、ソチ五輪へ
2月10日夜は、久々、国際アイスホッケー連盟のライブスコアを見ていました。テレビ中継もあったみたいですが、デジタル化してからテレビはないので。
来年のソチ冬季五輪への出場をかけた女子アイスホッケーの五輪予選がスロヴァキアで行われていましたが、日本女子はノルウェーには3点ビハインドから逆転、続くスロヴァキア戦はシュートアウトで敗れたものの、最終戦、デンマークには5対0と快勝して、ソチ五輪出場を決めました。やったね。
一方、男子は、昨年、日本は日光で予選があったにもかかわらず、最後にイギリスに負けて五輪出場なし。しかも、韓国に抜かれて3位になってしまったという…。
うーん、今季はアジアリーグもまったく見に行ってないし、なんともいえないのですが、男子はきびしい。かわりに女子がなでしこジャパンみたいにがんばってほしいものです。メダルをねらう、とか言ってますが、女子はカナダとアメリカがダントツで、あとはどんぐりの背比べみたいだから、銅メダルならねらえるかも???
NHLのセイバーズは、日本時間10日午前にアイルズと試合。またまたヴァネクの活躍で勝利しました。ヴァネクは1ゴール1アシストでポイントを稼いでいます。
来年のソチ冬季五輪への出場をかけた女子アイスホッケーの五輪予選がスロヴァキアで行われていましたが、日本女子はノルウェーには3点ビハインドから逆転、続くスロヴァキア戦はシュートアウトで敗れたものの、最終戦、デンマークには5対0と快勝して、ソチ五輪出場を決めました。やったね。
一方、男子は、昨年、日本は日光で予選があったにもかかわらず、最後にイギリスに負けて五輪出場なし。しかも、韓国に抜かれて3位になってしまったという…。
うーん、今季はアジアリーグもまったく見に行ってないし、なんともいえないのですが、男子はきびしい。かわりに女子がなでしこジャパンみたいにがんばってほしいものです。メダルをねらう、とか言ってますが、女子はカナダとアメリカがダントツで、あとはどんぐりの背比べみたいだから、銅メダルならねらえるかも???
NHLのセイバーズは、日本時間10日午前にアイルズと試合。またまたヴァネクの活躍で勝利しました。ヴァネクは1ゴール1アシストでポイントを稼いでいます。
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