2012年8月11日土曜日

手紙を書く女

初めてこの目で見た実物のフェルメールは何だったのだろうと、ずっと考えていた。
それは1980年代後半の西洋美術館の展覧会のはずで、なぜなら、私がフェルメールを知ったのはピーター・グリーナウェイの映画「ZOO」を見たときだからだ。
「ZOO」は1985年の作品で、私が見たのは1986年だと思う。すぐにフェルメールの本を買って(当時は日本ではあまり人気なかったので、本は少なかった)、ああ、こういう絵を描く人なのか、と確認。中でも「窓辺で手紙を読む女」と「恋文」にはそそられました。
でも、私が見たのはこの2つではないのは確かで、なんだろう、なんだろうと思いつつ、検索したら、1960年代末からのフェルメール来日履歴を載せているサイトがあって、そこにあったのが、

1987年 国立西洋美術館 「西洋の美術 その空間表現の流れ」 「手紙を書く女」

これだ!


「真珠の首飾りの少女」と同じ黄色い服を着ています。
これと関連する作品として、マウリッツハイス美術館所蔵の別の画家の「手紙を書く女」が現在、東京都美術館のマウリッツハイス展に展示されています。絵の雰囲気は全然違いますが。

で、だんだん思い出したんだけど、そうだ、「窓辺で手紙を読む女」や「恋文」、つまり手紙を読む方が見たかったけど、「手紙を書く女」の方が来たので、少しがっかりだったりしたっけ。でも、これもフェルメールを代表する傑作の1つだったのね。美術展のタイトルからわかるように、西洋美術を概観する展示で、いろいろなものがあって、ようやくフェルメールにたどり着くと、この絵がけっこう小さくて、そこに人が群がっていて、あまりゆっくり見れなかったのでした。当時は人気が今ほどなかったとはいえ、これが目玉の1つだったのは確かです。
この3年前、1984年に、「真珠の耳飾りの少女」が「青いターバンの少女」として来日していました。当時はフェルメールはたまに来る感じで、今みたいにしょっちゅう来るようになったのはいつからのことなのか。その履歴を見ると、2000年頃からのようです。2000年代なかばには「窓辺で手紙を読む女」と「恋文」も来てたのか。
というわけで、マウリッツハイス展に来ている「ディアナとニンフたち」を含めてまだ4点しか見ていないフェルメールですが、やはりベルリン美術館展の「真珠の飾りの少女」が一番のお気に入りです。