シネコンで大ヒット中の「美女と野獣」と「君の名は。」をハシゴ。
「君の名は。」は8回目ですが、このハシゴがなければ一番近いシネコンで「美女と野獣」を見たかったです。理由は、そっちの方がスクリーンが大きい。が、そこでは「君の名は。」はすでに終了。
「君の名は。」は14日に大量に終了したこともあって、日曜に同じシネコンに見に行ったときも今回もけっこう入っていました。が、そのかわり、途中でトイレに行く人がいたりして落ち着かない。また、今回は隣の人が途中で何度かスマホを光らせるので集中できなかった。次は別の映画館にしよう(まだ行くのか?)。久々にスバル座行くかな。
「美女と野獣」は1991年のディズニーアニメの実写化ですが、この間に舞台ミュージカルにもなっているので、非常に人気も高く、世界的に大ヒットしているようです。
が、正直言って、アニメの方がずっと良かった気が。
やはり90分弱のアニメを130分に引き伸ばして、その分中だるみというか、全体的にたるんだ演出に見えてしかたなかった。
見たスクリーンが悪かったのか、全体に画面が暗くて見づらく、豪華絢爛な雰囲気をあまり感じなかった(近いシネコンで見た方がよかったか?)。
家具や日用品に姿を変えられた召使がたくさん出てくるのですが、彼らのシーンはもちろんCGなので、実写って言ってもCGアニメの割合が高い。燭台たちが歌い踊る昔のミュージカルへのオマージュのようなシーンも、全部アニメだよね、という感想を持ってしまうのです。
野獣もまあ、俳優をもとにしたアニメみたいなものだし。
登場人物にゲイやトランスジェンダーらしき人がいること、ベルの村がマイノリティを差別するコミュニティであることなど、差別の問題やマイノリティの問題が含まれているのが今日的といえはそうなのですが、それがテーマとしてすばらしい展開を見せるかというとそうでもない。
もともと野獣にされる前の王子が美醜の差別主義者で、美しいものや人しか城にいれないために醜い老婆を追い出そうとし、実は魔女である彼女の怒りに触れて野獣にされたという設定なのが、その後の展開ではうやむやになってしまう感じ。
つまり、野獣にされる前の王子は村の差別主義者ガストンと同じであり、その野獣が心やさしい、差別をしない人物になることでガストンのダブルだった彼が別人へと変わるとか、そういう展開はまったくなし。ガストンと野獣が最初ダブルで、ガストンが死ぬのは野獣の中の差別主義者が死ぬこと、みたいな高級な展開はないのです。
ベルの村はゲイやトランスジェンダーと思われる人たちはそれを隠して生きているようで、あからさまに差別されるのはベルのような本を読む女性と、結婚しない女性(昔の言葉でいうとオールドミス。映画ではそれを意味する英語をガストンが言っている)。
ベルは本を読むのでまわりから変わり者扱いされ、結婚しない女性は物乞いしないといけない(ただ、彼女には秘密があって、それはあとでわかる)。
そんなこんなで村人たちがガストンの先導でヘイトクライムに走ってしまうのも現実社会への批判となってはいるのですが、なんか描写や展開が下手。
あと、エマ・ワトソンのベルがあまりよくない気がする。歌も声の質があまりよくないし、エマ・ストーンと比べたらいかんのかもしれないが、演技も特にうまくないし、華もない感じなのだ。
それと気になったのが、古い時代のフランスが舞台だけれど黒人が数人出てくること。
確かにシェイクスピアの「オセロ」があるようにヨーロッパにはアフリカから来た黒人がいただろうけど、そういう歴史的背景で黒人が出ているようには見えないのです。
だったらいっそアジア人も出しちゃえばいいのに。
つか、アラブ人くらいは出すべきではないですかね。