キネマ旬報シアターで先週末から上映中の新海誠の商業映画デビュー作「雲のむこう、約束の場所」。
正直、DVDで見たときはかなり退屈したので、映画館で見るほどのものかと思ったが、行かなければ行かないで後悔するに決まっている。
で、いつ行くかとなると、8月1日はファーストデー、2日はレディスデー、3日と4日は予定があるので、7月31日しかないや、と、出かけた(1日2日も混まないと思うけど)。
せっかく電車賃かけて行くのなら、と、結局、上映中の「君の名は。」とハシゴ。
「君の名は。」を夕方見て、1時間半くらい時間つぶししてレイトの「雲のむこう、約束の場所」。
夕方の「君の名は。」は高校生からシニアまで20人近い観客だったが(映画が終わって明るくなってもずっとタオルハンカチを目にあてて動かない女性がいた)、「雲のむこう」は10人ほどで男女半々、全員シングルの客で、映画マニアっぽい人ばかりだった。女性は若い人ばかり、男性はおじさんばかり、という感じ。
「雲のむこう」は映画館で見ると映像が見応えあるのでまったく退屈しない。
ストーリーは、夢の中で続く思春期の愛が米ソ冷戦の焼き直しのような戦時下の世界に無理筋で押し込まれているので、やはり失敗作としか言いようがないのだが、ここに描かれた思春期の愛は誤解と紙一重で、目が覚めたら消えてしまうようなものとして描かれているのが興味深い。好きな女の子が遠くへ行ってしまう、という他の作品に共通のモチーフがあるが、他の作品では男女の主人公が対等なのに、この映画ではヒロインがひたすら受け身(眠り姫のモチーフ)なのも欠点だ。
あと、脇役がむさいおっさんばかりなのもね。
男性向けのSFを目指したのかもしれないが、あの塔は宇宙人が建てたことにした方がちょっと「メッセージ」ぽくってよかったのではないかと思う。
「君の名は。」は先週DVDを見たら、うちの機械だと暗い場面の暗い色が黒くつぶれていて、後半は暗いシーンが多いのでかなり気になった。映画館で見たらきちんと色が出ていて、映画館で見ないとだめだと改めて思った(機械が相当古いので、そろそろブルーレイの機械を買いたい)。
キネマ旬報シアターは6月に「セールスマン」を見に行ったけれど、あのときはスクリーン2で、今回は「君の名は。」がスクリーン1、「雲のむこう」がスクリーン3だった。スクリーン3のロビーが図書室になっていて、古いキネ旬のバックナンバーなどがあってびっくり。私の訳した本も3冊置いてあった(売り物?)。開映直前に行ったので詳しく見れず残念。新海監督の過去作がまだこれから上映されるので、そのときにゆっくり見よう。