予告編を見たときはあまり興味が持てなかったのだが、その後、評判を聞いて、見に行くことにした「マイ・エレメント」。
原題は「エレメンタル」。なんでも「マイ」をつけるのが日本。
エレメントというのは英文学やってる人なら当然知っていることだけど、西洋の伝統にフォー・エレメンツ(四大元素)というのがあって、火、水、風、土のこと。
それを人種に置き換えてやっているのがこのアニメーションで、舞台となるエレメント・シティというのはどうしても「オズの魔法使い」のエメラルド・シティを連想してしまう名前。
そのエレメント・シティに火の夫婦がやってくるが、まだ火の人々はあまり来ていないようで、他のエレメントから邪険にされ、空き家に住んでそこを店にすると、その後、そこが火の人々の住む地域になるという、アメリカの移民をそのままなぞったような展開。
夫婦に娘が生まれ、娘はやがて水の青年と恋に落ち、という展開だけれど、この世界はどうも水が一番はびこっていているような映像表現で、水の人々が一番裕福で立場も上みたいな感じ。つまり、水の人々が白人? でも、水の青年の声はアフリカ出身者のよう。
とはいっても、エレメントの違いを超えてみんな仲良く、というのがテーマなので、悪い人は出てこない。みんな話せばわかる。アジア人がモデルのような火の父親は家父長的かと思ったら、ほんとは娘の幸せを一番願っているとか。
というわけで、とてもハッピーに見られる映画で、クライマックスは映画の中も外も涙涙に包まれる。映像やせりふもいろいろ凝っていて、楽しめる。
近隣は吹替しかやっていないので、字幕を見るために日本橋まで出向いた。久しぶりにその周辺を歩き、神社の写真を。
近くのコレド室町テラスという新しい建物に初めて入った。広い書店や面白い雑貨や食料品の売り場があり、書店には私がかかわった本が3冊もあったので、うれしくなった。
いま住んでいる場所は、谷中の猫に会いにいくことを考えて選んだので、あの猫がいなくなったらもっと不便で家賃の安いところに引っ越すことを考えていたのだけど、なぜか、猫がいなくなったら、また都心に戻りたくなった。あのコレド室町テラスみたいな場所が恋しいのだ。ああいうところに安い交通費で毎日気楽に行けた時代が、いまとても懐かしい。最近、郊外の息苦しさを感じている。