県立図書館では郷土資料になっているので、館内閲覧のみの「映画芸術」(「福田村事件」特集)。所蔵館が別の図書館なので、近所の図書館に取り寄せてもらい、18日に読みにいったが、あまりの量の多さに半分ほどしか読めず。29日まで取り置きしておいてくれるので、28日に残りを読みに行った。
残りとはいっても全部ではなく、気になっていたところを読み、これで閲覧終了。
「福田村事件」はパンフレットもこの「映画芸術」も、映画に対する批判的な意見もきちんと載せているのがえらいのだが、「映画芸術」では特にコムアイのインタビューがよかった。
このコムアイの視点は、パンフレットにはなかったものだと思う。
4ページにわたるインタビュー、コピーをとってもよかったのだけど、以前、某市の図書館でコピーをとったら、なんかいろいろ書類を書かされた上、とったコピーまでいちいち確認されて、非常に面倒だったので(しかも私が書いたところコピーしたのに)、著作権の関係もあってうるさいのだろうと思い、古いガラケーのカメラで撮影。このガラケー、もう使えないけど、カメラは非常に優秀で、デジカメ持たないときはこれを持っていく。
このコムアイのインタビューで注目すべきなのは、虐殺を止めようとした人が何人もいたのに、なぜ止められなかったかについて。
朝鮮人を虐殺から救った日本人の美談は、辻野弥生の本にも書かれているが、彼らはみな命がけだったそうだ。辻野の本にも、2人の警察官が、「自分を殺してからやれ」と言ったと書いてあるが、自分が殺されても守る、というくらいでないとだめなのだ。この2人の警察官以外でも、朝鮮人を守った人たちはみな、命がけだったという。
コムアイは、自分も、自分が演じた女性も、そこまではできない、と言っている。
また、タイトルを「福田村事件」としてしまうことで、あれは福田村だけの話と思われるのではないかという危惧も述べている。
写真を撮るときの押さえに使ったのは「哀れなるものたち」。1月に映画公開とのことで、ハヤカワ文庫が出たけど、各地の図書館では以前に出た単行本がたくさん眠っている。これも地元の図書館の書庫にあったものを予約で借り出してきた。2008年に出版されたときはよく借りられたようで、汚れがかなり目立つのだけど、その後は借りられず、書庫行きだったみたい。
で、早川書房は来年1月に、クリストファー・ノーランの「オッペンハイマー」の原作を文庫化する。これはPHPから単行本が2007年に出たのだけど、翻訳に問題が多かったらしい。そこで早川では映画化の話が伝わったときから文庫化権を手に入れて、専門家をつけて改訳したようだ。だから来年1月に出る文庫を読んだ方がいいのだろうが、とりあえず、これまた各地の図書館に眠っている単行本を予約しました。
1月に文庫が出るってことは、来年2月か3月に映画公開では?と思うのだけど、早川では、それは関係ありません、との答えとか。まあ、情報が入ってても言わないよね。
普通に考えたら、アカデミー賞の時期に公開が一番いいわけで。
「オッペンハイマー」がなんでまだ公開されないかっていうと、私はお金の問題だと思うよ。
世界的大ヒット作だから上映権料が高いと思うが、日本じゃそれほどのヒットは望めない。アカデミー賞でも取ってくれれば少しはいいかも、という程度。
で、上映権料というのは、時間がたつと安くなるのだと思う。
あと、本国からIMAX劇場の確保の条件が出ているからでは、というのをネットでちらっと読んだが、日本でも映画館で見たいという人の中には、IMAXで核爆発の大迫力が見たいという人がいるんですわ。
実際、ノーランがなんでIMAXで作ったかって、そりゃ、核爆発の大迫力をIMAXで見せたいというのがあるでしょ、絶対。
「福田村事件」みたいにミニシアター中心で小さな画面で、という映画じゃないのよ。
そして、マスコミの一部がいくら「オッペハイマー」は日本人が見るべき映画だとか、日本で公開されないことを問題にしても、9月1日に「福田村事件」が出てしまうと、日本人が見るべき映画は「福田村事件」だとわかってしまったのだ。
「福田村事件」を見た人の中に、「日本人による日本人のための映画」と言った人がいたと聞いて、うん、たしかに、そして、その言い方で言うと、「オッペンハイマー」は英米人による英米人のための映画、なのでしょう。(ついでに言うと、日本の原爆被害を描くと、それなら日本軍の虐殺などを同時に描かなければつり合いがとれない、という、例のスミソニアン博物館と同じことが出てくる。「オッペンハイマー」で南京大虐殺も描けという話になってくる。)
「福田村事件」の関係者は韓国での上映を希望し、釜山映画祭に出品して受賞もしたが、「オッペンハイマー」の関係者は日本人に見てほしいとはさほど思ってないだろう。そして、日本でも、「オッペンハイマー」反対運動みたいなのは全然起きていない。
当初から私は、「オッペンハイマー」が日本公開されないでいるのは問題みたいな記事に違和感を感じてきた。しかも、どこが問題なのか記事は明らかにしない。単に「公開してほしい、日本人が見るべき映画」みたいな素人の感想。そこへ来て「バービー」騒動。もともと、私は時間がかかっても公開されると思っていたし、遅れているのは大人の事情で、別に政治社会の問題じゃないと思っている。実際、「福田村事件」が出てからは「オッペンハイマー」の話は下火になっていたが、ハヤカワ文庫出版予告でまたいろいろ出てくるんだろうけど、素人の感想しか出てこないんではね。まあ、事情を暴露、とか日本じゃまずやらないだろうから。
県立図書館のあと、近くの公園へ。コキアに夕方の斜めの光がさして、いい感じ。
今週末と来週末はイベントがあり、キッチンカーも出ていた。
離れたところのシラサギもこのくらい撮れてしまう優秀なガラケーのカメラ。
「哀れなるものたち」読み始めてますが、もろ、あの監督の世界。さっさと読まないと1000ページの「オッペンハイマー」が来る。