2016年8月31日水曜日

読書

地元の図書館に登録し、ネットで本を予約して近くの分館で受け取る、ということを試してみた。
今はどの町の図書館もあちこちの分館にいろいろな本を分散させている。以前は図書館の場所がどこも便利な地域だったのでネットで予約せずにそれぞれの図書館に出かけて借りていたが、今の町はJRのターミナル駅の近くと住んでいるところの近く以外はとても行けない。
で、ネットで検索したら、読みたい本がすべて借りられる状態だったので、まとめて予約。昨日今日で一気に読んだ。
「ルドルフとイッパイアッテナ」の3巻目と4巻目、それに作者の斉藤洋の童話作家に関するエッセイも借りて読んだ。
「ルドルフ」は1巻目と2巻目(映画の原作)は文庫で買って読んだが、どちらも80年代の作品。が、3巻目の「ルドルフとゆくねこくるねこ」は2002年、4巻目の「ルドルフとスノーホワイト」は2012年に発行されている。物語の中の時間は最初からあまりたっていないのに、本の発行はかなり間があいている。
「ルドルフ」シリーズはやはり1巻目の「ルドルフとイッパイアッテナ」が一番出来がよくて、2巻目の「ルドルフともだちひとりだち」もいいけれど、こちらは映画の方がうまいなと思う。前にも書いたけど、作者の立場が不安定な時期に書かれた1巻目が一番切実な感じがして、作者が安定してしまった2巻目はやはりそのあたりの切実さが失われた感じがする。
そして10年以上のブランクをあけた3巻目「ルドルフとゆくねこくるねこ」は、江戸川の川向こうに凶暴な犬が現れ、犬や猫を襲うというので、川向こうの猫たちがルドルフとイッパイアッテナに応援を頼む。結局、イッパイアッテナだけが川向こうへ行くことになり、ルドルフはブッチーや、川向こうの猫テリーと一緒に待つことに。その間のこの3匹の物語が中心になる。
大筋は凶暴な犬とルドルフたちの戦いで、その伏線がきちんと張られているけど、その大筋の間にある無関係なエピソードが面白い。
特にルドルフたちが浅草の浅草寺に行き、そこで偶然、岐阜から来たリエちゃんと再会。しかし、リエちゃんはルドルフを覚えておらず、友達から「リエちゃんのルドに似てる」と言われると、「うちのルドの方がかわいい」と言って、ルドルフ大ショック、という話。
そのあとすぐにリエちゃんとはぐれてしまい、ルドルフ自身、すぐにはリエちゃんとわからなかったこと、リエちゃんも小学生から中学生になっていて、思い出の中のリエちゃんとは少し違っていたこと、など、なかなかにじーんと来るエピソードなのであります。
これに、ブッチーの飼い主の金物屋が店をたたんで茨城へ行くことになり、ブッチーは残ることを決意、そして、ブッチーに恋人がいることがわかる、といったブッチーのエピソードがもう1つの中心となる。
こんな具合で、イッパイアッテナは最初と最後しか出てこないが、この2つのエピソードと、留守番中の3匹の猫のやりとりが楽しい。
ただ、野良猫か飼い猫かみたいな議論はやっぱり作者が安定しているせいか、切実さを感じない。
最後に、イッパイアッテナが川向こうで恋人ができたみたいなのだけれど、これは次の4巻目には生かされていない。
それからさらに10年のブランクをあけて発表された「ルドルフとスノーホワイト」。
こちらは前半が別のテリトリーでけがをしたブッチーの敵討ちにルドルフが出かけ、そこで女ボスのスノーホワイトに出会う物語。後半が、恋人と結婚して3児の父となったブッチーの娘チェリーが行方不明になり、ルドルフとスノーホワイトが探しに行く物語。つながりはあるとはいえ、2本立てなので、求心力が劣る感じは否めない。ことわざがいろいろ出てきて、ユーモアで笑わせるところも多いけれど、全体に、ヤクザの縄張り争いみたいな話になっているのが残念というか、「ルドルフ」シリーズにはそぐわない感じがするのだが。イッパイアッテナもスノーホワイトも、そしてルドルフも言葉が悪くなっているし(イッパイアッテナはもともと悪いのだが、今回はさらに悪く感じる)。
そんなわけで、4巻目が少し後味が悪かったので、もう一度3巻目を読みなおしたのでした。