「ゼロ・グラビティ」に続き、試写室大混雑の「利休にたずねよ」。
原作は読んでいませんが、映画はモントリオール世界映画祭で芸術貢献賞を受賞。
このモントリオール世界映画祭は、日本映画が受賞することが多いのですが、あのアカデミー賞外国語映画賞受賞の「おくりびと」もこの映画祭で受賞したのがすべての始まりだったような。
しかし、なんとなく、見る前から、どうせ欧米人は日本的な美が描かれていれば、それで満足してしまうのだろう、という予感があり、あまり期待はしていなかったのですが。
やはり、という感じです。
正直、千利休の奥さんがかわいそう、という印象しか持たなかった。
利休と秀吉の確執はいろいろドラマになっていると思いますが、ここでは、利休の人気が急上昇、それにあせった秀吉がジェラシー丸出しで利休を追い詰める、という感じ。
利休の美学は若い頃に恋した高麗の女に発している、というのが結論なのですが、この高麗の女とはほとんど一目ぼれで、あまり深くつきあう間もなく悲劇を迎えている。確かに若気の至りで、ロミオとジュリエットみたいに一途に恋して悲劇になる、というのはわかるのですが、これが美学の原点というのがどうにもわからない。
心中しようとして女だけ死んでしまい、男が生き残る、というのはよくある話で、いい気なもんだよと思ってしまう。
本物の茶器を使ったり、衣装が豪華だったりというのはあるが、ドラマが並みの出来でしかない。
あと、利休は切腹したとき70歳だったというが、海老蔵は全然老けのメイクしてませんね。
というわけで、やっぱり欧米人の驚く日本は日本人にはたいしたことがない、というのが再確認できた映画でありました。
もちろん、個別にこういうところに魅力を感じるとか、こういうのが好き、という人はたくさんいると思うので、だから試写室も混んでいたのだと思います。だから、人によっては楽しめる映画ではないかと思います。
つか、やっぱりこれ、男性が見る映画なのだろうな。若い頃の恋人を一生忘れず、それが美の原点、という、男のロマンね。その男のロマンに、秀吉が嫉妬し、妻が苦しむという話なのね、と、ああ、またイヤミ書いてしまった。好きな人、許せ。