2020年6月1日月曜日

ひまわり 50周年HDレストア版

今日から営業再開のMOVIX。目玉は「ひまわり」50周年HDレストア版。


MOVIX柏の葉。


「パラサイト」のポスターがコロナ対策仕様。


「ひまわり」

守谷の「君の名は。」が2回ともお一人様だったので、2,3人しかいないかと思ったが、10人近い観客。私より年上のシニアばかり。しかもほとんど男性。
この映画、女性向けの映画だと思っていたけれど。でも、今見ると、2人の女性は立派だけど、間の男がダメすぎる。マルチェロ・マストロヤンニの個性なのでしかたないが。
今の目で見ると、女に甘える男の話に見えてしまうかもだな。あと、この頃の映画って、「追憶」もだけど、愛し合ってるのに別れてしまう傾向があるなと気づいた。
「草原の輝き」や「シェルブールの雨傘」のように、両方が別の人と幸せになり、過去の恋は思い出になるといった結末なら納得だが、愛し合ってるのにほかの人と結婚って。

それはともかく、レストア版ということだけど、映像はきれいで、昔見た記憶に比べてほとんど劣って見えなかった。ただ、最初と最後のピアノのテーマ曲は音質がかなり悪い。これだけががっかり。
この映画は退色の少ないテクニカラーなのだが、この頃のテクニカラーはなんちゃってテクニカラーで、本当のテクニカラーじゃないと言われてたが、これは色が昔の記憶とほとんど変わらないくらいきれい。

この映画、駅の別れのシーンが3回あって、同じデ・シーカの「終着駅」と比べられていたが、なかほどのソフィア・ローレンとリュドミラ・サヴェーリエワが出会ってから駅でローレンが発作的に列車に飛び乗って行ってしまうまでのシークエンスがほんとうにすばらしい。デ・シーカの演出と2人の女優の演技が絶品で、干してある洗濯物を見てローレンがすべてを悟り、迎えるサヴェーリエワもイタリアの妻が来たとわかり、その動揺を隠すために娘を叱り、その間、涙を隠すために顔を洗うローレン。そこにサヴェリーエワが戻ってきて、大きなタオルをローレンに貸し、自分は小さいタオルを持って、2人の女が目を押さえる。大きいタオルと小さいタオルというのがうまい。そのあとの駅でマストロヤンニを迎えるシーンがまたうまい。
ローレンが自宅の窓から物を捨てるシーンが何度かあって、これも最後にマストロヤンニの写真を窓から捨てるシーンの伏線で、自分の世界から追い出すことを表しているのだなと思った。

かれんなロシア人妻を演じたサヴェーリエワはこの映画で人気沸騰。そうか、若い頃に彼女のファンだったシニア男性たちだったのかな。
初公開で見たとき私は16歳だったから、お客さんたちは当時20歳前後かその上くらいの人たちだったのかもしれない。

それと、当時は冷戦時代で、西側世界とソ連の間の行き来が自由でなかったのも背景にあることに気づいた。当時はそれが当たり前だったので、そのことを考えなかったのだが、ローレンがソ連で出会うイタリア人がなぜ「今はロシア人だ」と言うのか、その背景にそれがあるのだろう。