アルノー・デプレシャン監督の「私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター」を見に行った。
この監督の映画は特に好きではないが、なんとなく題材にひかれて見たのだけど、姉と弟の確執がいまいちピンと来ないし、人間模様や家族の関係もうーん、別に、という感じだった。
読書はいろいろしているのだけれど、辻野弥生のノンフィクション「福田村事件」を近くの県立図書館で読んだ。
この本、市立や区立の図書館では順番待ちが数十人で、とても1年以内にはまわってこない。県立図書館にはまだ入っていなかったので、毎日チェックして入るのを待っていたら入ったけれど、郷土資料扱いで個人貸出不可。
千葉市にある千葉県立中央図書館には福田村事件関連の資料がいろいろあるが、ほとんどは個人貸出ができない。辻野弥生さんもここに通って古い新聞を調べたと書いている。
個人貸出不可の資料はどうやって読むか。図書館から申し込んで、資料が届いたらその図書館の中で読むのです。
かくして近所の県立図書館に取り寄せてもらい、館内で読みました。
1か月間通って読めるのだけど、次の人がいるだろうと思い、1日で読んで返した。返すとき、この図書館でも購入して、それは貸出可になる予定だと教えられたが、貸出可になったらあっという間に予約がたくさん入ってしまうよね。こんなにすぐに読めたのは館内閲覧だからでしょう。
中央図書館の方は建物がユニークで、でも、老朽化のために取り壊されるだろうと言われているので、早めに見に行きたいと思っている。
葛飾区の図書館だと寅さん関係の本が郷土資料になっていて、こちらも貸出不可だったりする。確かに貴重な資料が多いので、やむを得ないのだろう。「男はつらいよ」のDVDもそろっているが、こちらは一度に1本しか借りられない。
「福田村事件」の本は内容は完全に千葉県の郷土資料で、これが全国的に売れているのがある意味、ユニークな現象に思えた。
こちらは市立図書館から借りた本。
映画「福田村事件」にも飴売りの朝鮮人少女が虐殺されるシーンがあるが、この青年をモデルにしたわけではないと思う(パンフレットには飴売りの人の性別を変えたのは疑問とあるが)。辻野弥生の本にも、飴売りの朝鮮人たちが殺されたらかわいそうと、日本人たちがかくまったという話が出ているが、当時は飴売りの朝鮮人はたくさんいたのだろう。
この本の主人公・具は埼玉県の寄居村の人で、村では人気者だったようだ。物語は事実にもとづいたフィクションとされているので、どこまでが事実かわからないけれど、この本では村の人たちは彼を守ろうとしたけれど、よそから押し掛けた暴徒によって殺された、となっている。お墓があるけれど、これは日本人が建てたものだそうだ。
映画「福田村事件」と比べると、善人と悪人がはっきりしすぎているけれど、虐殺した人々は政府に扇動されたのだということははっきりと書いてある。辻野弥生の本でも、虐殺した民間人は裁判にかけられたけれど、軍隊や警察が組織的に行った虐殺はうやむやにされたと書いてある。関東大震災関連の他の本にも同じようなことが書かれていて、逮捕された人々を村が支援したのは、民間人だけ悪者にして裁いているという不満があったからでもあるらしい(福田村以外でも同じようなことがあったようです)。
暗い本ばかり読んでいても、ということで、一緒に借りたのがこれ。
1960年代なかばから10年くらい千葉県に住んでいたので、1970年代初頭の本八幡の話とかなつかしかった。あの頃、駅前の映画館によく行ったものだ。今はもうないけど、かわりに市川コルトンプラザのシネコンに行っている。
実は「翔んで埼玉」を見るまでジャガーさんを知らなかったのだけど、ものすごく多才な人。なんでも自作してしまう。本業は実業家。バブルがはじける前の10年間、千葉テレビを中心に活躍し、バブルがはじけたあとの10年はジャガーとしての活動はしていなかったが、その後、彼の影響を受けた千葉県出身のミュージシャンたちに担ぎ出されて再び活動開始、というあたり、なんか元気が出ます。とにかく明るい。この本も内容的には千葉県の郷土資料になりうる本です。