2023年9月27日水曜日

「アンダーカレント」&「ラ・ボエーム」

 オンライン試写で見せていただいた2本。どちらも10月6日公開。


「アンダーカレント」は「福田村事件」の井浦新と永山瑛太が出演し、どちらも真木よう子のヒロインにからむ役ということで、興味を持って見た。原作は漫画とのこと。

うーん、この内容で143分は長い。

そして、これは私個人だけの話だと思うが、私は銭湯通いの時期が非常に長く、人生の大半は銭湯に通っていたから、銭湯に関するところがどうも気になる。

映像を見ると、都心からかなり離れた郊外に見えるのだが、こんな場所で銭湯をやっていけるのか。

江戸川区の名前が出てくるので、設定は江戸川区が舞台らしいけど、どう見ても江戸川区じゃない。エンドクレジットを見たら、市川市、富津市、日野市の協力を得たようだ。市川市は江戸川区の隣、富津市は最後の方の海の場面だろう。遊園地や山の中の池は日野市って感じではないんだけど、銭湯のある町は市川市と日野市の風景を合わせたのかも。

市川市の銭湯組合の協力を得ているようなので、銭湯の周辺は市川市の街中なのだろうけど、ちょっと外へ行くと相当に遠方の郊外。バス乗らないと行けない場所みたいだし、あの辺じゃ銭湯、やっぱり無理じゃね? と、そんなことばかりが気になってしまった。

郊外でも多少は銭湯は残ってはいるのだが、やっぱり銭湯のある町のリアルがないのだと思う。

マキを使っているけど、街中ではマキを使うと煤が出るので、数十年前から街中の銭湯はマキは使わないと思う。

全体に町の描写が銭湯に通う人がいる町っぽくなくて、銭湯歴の長い私には相当な違和感があったが、話の方は秘密を抱えた人物が何人も出てきて、人物レベルでは面白いし、役者もいい。銭湯にこだわりがなく、あのスローペースがいい人にはよい作品かもしれない。


「ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌」はプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」をコロナ禍のニューヨークに置き換えたもの。出演者は売り出し中の若手オペラ歌手ばかりで、歌は聴きごたえ抜群。主役の男女は中国系、準主役の男女はヒスパニック、2人のボヘミアンは日本人とアフリカ系と、現代のニューヨークらしく白人以外をそろえている。ただ、舞台のオペラは役と歌手の人種が一致しなくていいので、黒人が白人の役を演じたり、オセロや蝶々夫人を白人が演じたりはかなり前から普通なので、カップルが同じ人種同士なのがかえって作為的で違和感がなきにしもあらず。

もとの舞台はもっと長いけれど、90分くらいでコンパクトに見られるし、歌はもちろんいいので、楽しめる。中華街を舞台にしたシーンが意外とイタリア語のオペラの世界に合っている。ちなみに、字幕はイタリア語のオペラの部分しか出ないので、人物が中国語などで話しているところは字幕が出ないのが少し残念だった。