ウェス・アンダーソン監督の新作「アステロイド・シティ」を初日に。
「春に散る」のロケがこのショッピングセンターで行われたらしい。
ウェス・アンダーソンの映画は「ライフ・アクアティック」、「ダージリン急行」、「ムーンライズ・キングダム」あたりが一番好きだけれど、その後、妙に洗練されて高尚になり、知性で見せるみたいになってきたので、芸術的な評価は高いのだろうけれど、以前ほど好きでなくなっていた。
今回の「アステロイド・シティ」もその系列。
モノクロスタンダードで描かれる舞台劇上演の舞台裏と、カラーワイド画面で描かれるその劇の内容が交互に登場する。いわゆるメタフィクション。
カラーワイドの方は舞台劇の内容なのだけど、描写は映画そのもの。幾何学模様のようなスタイリッシュな映像が次々と登場する。
劇の舞台は1950年代初頭の西部、そこは大昔に隕石が落ちたところで、今は近くで核実験をしている。そこで少年少女の発明の表彰式が行われるので、さまざまな人々がやってくる。
で、それ以上のものがあるかというとはなはだ疑問で、さらにメタフィクションの方もそんなに驚くようなものもない。
映像が洗練されていて、スターがたくさん登場するので、それなりに面白くは見られるけれど、かつて私が好きだった時代のアンダーソンの映画のような惹きつけられるものを感じないのだ。
核実験をお気楽に描いているのも、なんだかなあ。