好評の午前十時の映画祭、来年度の第2回のラインナップが発表されました。
http://asa10.eiga.com/2011/
ということで、詳しくは上のリンク先をご覧ください。
第1回の目玉は「ライトスタッフ」完全版の日本での劇場初公開でしたが、第2回の目玉は初公開時、テロの脅迫で上映中止に追い込まれた「ブラック・サンデー」の劇場初公開です。いやあ、あれはほんと、ビデオで見ても、これは映画館で見たいなあ、と思わせるものでした。
そして、ラインナップを見て、うれしかったのは、「ミツバチのささやき」(1973年製作)があることです(その後の追記 「ミツバチのささやき」は事情で上映されませんでした)。
ご存知、ボリス・カーロフの「フランケンシュタイン」をモチーフに取り入れたこの映画、日本での公開はだいぶ遅れて1985年でしたが、実は、私が創元推理文庫「フランケンシュタイン」(1984年発行)の解説を書くために参考にした本(70年代末発行の洋書)に、「フランケンシュタイン」関連の映画の1つとして、「ミツバチのささやき」がすでに出ていたのです(もちろん、原題で)。しかし、当時はまだ日本未公開で、どういう映画かもわからず、解説に取り入れることはできませんでした。その後、公開された映画を見て、ああ、この映画も解説に入れられたらよかったのに、と心から思いました。
「フランケンシュタイン」関連の映画は、その後、「ブライド」、「ゴシック」、「幻の城」、ケネス・ブラナーの「フランケンシュタイン」と、次々と新作が生まれていきましたが、これらは解説を書いたときには存在しなかったので、入れられなかったのはしかたなかった。でも、すでに存在していた「ミツバチのささやき」を入れられなかったのは今も残念です。
余談ですが、「フランケンシュタイン」解説を書いたとき、私の中には、リドリー・スコットの「ブレードランナー」について書きたい、という密かな欲望がありました。「ブレードランナー」が日本で公開されたのは1982年。当時はまったく話題にならなかったものの、私はこの映画に魅せられ、この映画の人造人間テーマについて、どこかに書きたいと思っていたのです(当時はまだ評論家にはなっていませんでした)。そのチャンスが来たのが83年秋の「フランケンシュタイン」解説執筆。まさに、キター!という感じで書いたのがあの解説。本が出たとき、「ブレードランナー」を入れたのはすごい、と、SFファンから言っていただきました。その後、「ブレードランナー」はカルト的な人気を博し、この映画の「フランケンシュタイン」のテーマは誰もが指摘するようになりましたが、あの頃は、ほんと、私以外はたぶん、ほとんど誰も言っていなかったと思います。もっとも、その理由は、「フランケンシュタイン」が当時はほとんど読まれていなかったからでもあります。創元の本が出て、初めて読んだSFファンも少なくなかったのです。
そんなわけで、「ミツバチのささやき」がまた映画館にかかるわけですが、スコットの「エイリアン」もラインナップに入っていますね。今回はホラーが入っているのが前回との違いに思えます。
私自身は、朝が苦手ということもあって、午前十時には映画館に行けないでいるのですが、来年度は終日上映の劇場もできるとのこと。そして、第1回の作品も引き続き、別の劇場で上映が続くそうです。
今度、ラインナップの100本について、一言コメントとかやろうかなあ。でも、実は、見てない作品もわずかですが、あるのです。それを見なければ。
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フランケンシュタイン
http://sabreclub4.blogspot.com/2010/11/blog-post_07.html