久々に某所のシネコンに行き、「スターリンの葬送狂想曲」を見たあと、ショッピングセンターの書店に寄ったら、創元の「フランケンシュタイン」が増刷になっていた。
スマホのゲームのキャラが創元の怪奇小説の人物がもとになっているとのことで、イラストの帯をつけた本が並べてあった。
「シャーロック・ホームズの冒険」、「オペラ座の怪人」、「フランケンシュタイン」、「ジキル博士とハイド氏」、「吸血鬼ドラキュラ」、「吸血鬼カーミラ」。全部読んでるわ。
創元のフランケンは数年前の100分de名著の放送のときに増刷されたのが最後で、この番組に合わせて出た新潮文庫、角川文庫、その少し前に出ていた光文社文庫はその後もほぼ毎年のように増刷になっていたのに創元はあれ以来ぴたりと増刷がとまり、もう二度と増刷はないのかと思っていた。
それに加え、創元の増刷がなくなったとはいえ、新潮、角川、光文社の3社がほぼ毎年増刷するほど売れてるのか非常に疑問だった。
これについては、大手は社内で少部数の増刷ができるという話を耳にし、少部数での毎年の増刷なら3社合わせて創元1社分になるかもしれないなあ、と思ったが、この辺はよくわからない。
書店に行くと新潮文庫は必ずあり、角川と光文社は時々あり、創元はめったにない(創元の怪奇ものの棚そのものがない)という状態だったけれど、この書店では新潮も角川も光文社もなかったので、スマホゲームのおかげでこの3社も売れてるのかもしれない。
「スターリンの葬送狂想曲」は非常に面白かった。
キネ旬の星取り表を見ると、なんだか他人事みたいな感想ばかりで、失礼ながらうーんと思ってしまったが、私はこれを見ながら、安倍政権が崩壊すると同じような感じになるのではないかとずっと思っていた。今は首相に忖度している人たちがいっせいに反対の行動をするようになり、また首相と一心同体だった人々は追放され、という感じ。
フルシチョフがスティーヴ・ブシェミとか、配役もなかなかよい。ラスト、フルシチョフの斜め後ろにブレジネフがいるんだが、顔を知ってるかどうかで効果が違うような。
キネ旬の別の号の小野耕世氏の紹介文がよかったのだが、小野氏がこだわる西部劇のシーンは実際の映画からとったものではないのでは、という気がする。ジョン・フォードとジョン・ウェインの名が出てくるが、他のシーンではクラーク・ゲーブルやグレース・ケリーの名も出ていて(字幕では俳優や女優にされてしまっているが)、当時のソ連の権力者たちがハリウッド映画をよく見ていたという皮肉か。原作はフランスの劇画で、映画はイギリス映画なのでせりふは英語なのが、旧ソ連だけの話ではなく、普遍的な話に感じられる。