3時間と長いうえ、評判がイマイチよくない「ザ・バットマン」。ペンギンとキャットウーマンが出てくるので「バットマン・リターンズ」大好き人間としては見るべきなのかと思ったら、悪役はこの2人ではなくリドラーだという。でも、監督は「猿の惑星」新三部作の人だから気になる。迷った末、一応見てみるか、と、出かけた。
終了から30分後に「ボブ猫2」があって、この映画館では今週がラストだったので、ハシゴした。「シラノ」と「ガガーリン」も今週がラストで、やっぱり入ってない3作。「ボブ猫2」は初日に別のシネコンで見たときは貸し切りだったけれど、さすがに今日はお客さん、自分含めて5人いました。
というわけで、「ザ・バットマン」。
前半は話もグダグダ、バットマンもグダグダで、この調子で最後までグタグタかと思ったら、真ん中あたり?で豪雨の中のカーチェイスになり、これが見ごたえ満点。バットマンも突然シャキッとして、炎の中から現れるのを上下逆さに撮ったシーンとか、なかなかよい。キャットウーマンとのキスシーンもよい。
これで後半シャキッとするのかな、と思ったら、リドラーが最後までグダグダ。これ、ポール・ダノの無駄使い。最初から顔出していた方がよかったと思う。かわいい顔との落差で。
で、リドラーがなんで連続殺人したりバットマンを付け狙ったりするかというと、自分は貧しい孤児だったが、裕福な家のバットマンというかブルースが両親を失って孤児になったらブルースばっかり注目されて、というのに嫉妬して復讐心を燃やし、ということらしい。
それと、嘘が気に食わねえ、許せねえ、というのとがどうつながるの? なんか、卑小なところに着地してない?
リドラーの謎が答えを聞いてなるほど、と感心するようなものじゃないのもなんだかなあ。
リドラー、明らかに頭変なんですが、なんでこうなったか全然描かれない。「ジョーカー」のアーサーに比べてあまりに安易。
で、ブルースがバットマンになって悪をたたこうとしたのも殺された両親の復讐から来てるようで(でも描写が完全に不足してる)、だからブルースは悪をたたいても被害者からも恐れられてしまうのだが、そのブルースが後半シャキッとしてキャットウーマンが殺人をするのを止めたりするのだけど、その後、怒りにまかせて過剰な暴力をふるってしまうシーンもあり、この辺のブルースの人物描写が行き当たりばったりでねえ。
最後は黒澤明の「天国と地獄」になるのだけど、リドラーが、自分が英雄になれると思ったら、バットマンが人命救助を献身的に行って英雄になったので悔しいとか、頭変としか言いようがない。「天国と地獄」は主人公が自分の会社も社長の身分も失ったけれど、小さな靴屋を営んで、そこで作りたい靴を作っている、今の方が幸せだ、と言われて犯人が愕然とするのだけど、これに比べてあまりにもバカバカしいリドラーの結末。
つくづく「ジョーカー」はよくできた映画だったと思いました。
というわけで、「ボブ猫2」で口直し。
前にも思ったけれど、まるでボブが死んだときのことを考えて作っているみたいなのですね。
実はこのとき、ボブは腎臓病を患っていて、もうあまり長くは生きられないとわかっていたようなのです。だから、近い将来に起こるボブの死を受け入れることも考えた上での脚本だっただろうと思います。
ただ、ボブは病気で死ぬと思われていた。それが、家を抜け出して交通事故死というのは予想外だったでしょう。
ボブ本猫が出演しているけれど、動きのあるシーンは代役の猫たちが演じていて、中には茶トラじゃなくて茶色いアメショーもいるんだけど、ボブの健康を考えた上での出演シーンだったようです。
ボブよ、永遠に。