2022年3月26日土曜日

奇妙な一日と「ベルファスト」

 25日金曜日、「ベルファスト」の初日に某シネコンへ行ったのだけど、小さなトラブルが次々と起こった。

まず、シネコンの入っているショッピングセンターにあるはずの某銀行のATM機がなくなっていた。以前、何度もお金をおろしたのだけど、え、どうして、とショッピングセンターの案内図を何度も見たが、ない。大手銀行でないのはその銀行だけ。しょうがないので別の銀行のATM機でおろした。

そんなことがあったので、シネコンについたのはぎりぎり。発券して入ろうとすると、ちょうど人気の映画の入場開始時間で、並ぶことになった。コロナのことがあるのですぐ後ろではなく、少し離れて並んだのだけど、たまたま前にいた男性がジャケットを脱いでいて、脱ぎ方が派手だったので、腕がこちらにぶつかってしまった。男性はかなり恐縮して謝ったけど、ちょっとびっくり。

「ベルファスト」は人気がないのかガラガラだったが、私が買った席のすぐ隣に大量の荷物が置かれ、その隣に高齢男性が座っていた。そして、私がその荷物を積んだ席の隣(買った席)につくと、その男性は突然、荷物をまとめて席を移っていったのだ。買った席が気に入らなくて移動したが、人が来たのであせって別の席に移動したのだろうか?

映画を見たあと、セルフサービスのレストランへ行ったら、今度はレジが壊れた。

そしてきわめつけは、JRから乗り換える私鉄が人身事故でとまっているというアナウンスがJRの車内であったこと。

その私鉄は乗るのは1駅なので、歩くことにした。帰りにコンビニでアマゾンの荷物を受け取る予定だったのだけど、歩くと自宅よりかなり先まで行かねばならず、こういう日はきっとまた何かあるだろうと思ったので、スーパーで買い物しただけで帰宅。夜は人通りがまったくない道を20分も歩くのだけど、なにごともなく自宅に着いた。

というわけで、いろいろあったが大過なく帰宅できたのだけど、肝心の映画「ベルファスト」ですが、うーん、私にはあまりよく思えなかった。


北アイルランドのベルファストに住んでいた少年時代のケネス・ブラナーの話で、プロテスタントとカトリックの両方が住んでいる地域でプロテスタントの過激派がカトリックの住民を襲うという事件が起きる。これがきっかけでブラナーの一家はイングランドへ移住することになる。彼の家はプロテスタントだが、父親が過激派に協力しろと脅されるからだ。

1980年代、当時はまだカトリック派のIRAのテロが起こっていた時代で、北アイルランド問題の映画もいろいろあったのだけど、その頃、映画の仕事で北アイルランドのテロの状況について知る機会があった。それによると、北アイルランドではカトリックとプロテスタントの過激派同士がテロを行っていて、住民が非常に困っていること、また、貧困や仕事のなさから若い人々がそれぞれの過激派に入ってしまうこと、双方ともに教会とつながりがあること、などといった問題があるようだった。

そんなわけで、この映画はプロテスタントの過激派を扱っているという点で注目していたのだけど、やっぱりケネス・ブラナーの映画はたいしたことないな、と感じてしまった。この人の映画って、最初の「ヘンリー五世」はよかったけど、あとは何かイマイチなものばかり。これもアカデミー賞の作品賞候補とか、トロント映画祭の観客賞とか、ちょっと信じがたい。

子どもの頃に北アイルランドを離れてしまったブラナーに多くを求めるのは無理なのかもしれないけれど、別にこれ、北アイルランドじゃなくても、過激派がいて、映画やテレビドラマが出てきて、家族の物語があって、幼い恋があって、という普通の定番の回顧物語で、深みも何もない。あんなにテロが起こってるのに、あまりにもきれいな街並みとか、父親の幼馴染の過激派の男とか、淡い恋の相手がカトリックだとか、そういうところが全然掘り下げられてない。最後に、去った者と残った者と死んだ者のために、という言葉が出るけれど、なんだか白々しいと感じてしまう。